汚職と戦う?! | 日本出身モスクヴィチカの徒然

日本出身モスクヴィチカの徒然

いわゆるモスクワ情報ではない だけど少し紹介したいロシア人の頭の中、日々ロシアの現実と相対するニホンジンの思うこと、モスクワの子育てのこと…etcを綴っております。

1ヶ月くらい前のことになるんですが
「白いエプロン」なる、統一ロシア系青年部の
汚職追放キャンペーンが話題になりました。

「勇気ある人のためのキャンペーン」
なんて宣伝されていましたので
へー、与党もとうとう真面目に汚職追放に乗り出したか 爆
と思って、サイトを覗いてみたところ・・・

「OO市です。XX通りにカジノがあります」
「YY通りの薬局では麻薬を売ってるそうです」
「NN郊外には建設途中で放置されている建物があります」

・・・どーこーがー「汚職」なのぉーーーーー????


閣僚の収入の発表があったとき
なぜか奥様が閣僚本人の収入のウン倍 とかいうケースが
やたら多いんですけど? とか
どーして高級車や不動産が沢山あるんですか? とか
統一ロシアの幹部の皆さんから調べてみたら?

・・・って、ロシア人から突っ込まれてましたよねぇ
ロシア人じゃなくても突っ込むよ 汗

まあそういう、お膳立てされた汚職追放キャンペーンだった
というオチなんですが、それを思い出したのは本日のニュース

「ミロノフ上院議長、汚職追放運動の法による保護を提案」


・・・統一ロシアが一応、「議会は多数政党です」
という体裁を作るために設立した「公正なロシア」党の
もと党首、上院議長という、政権トップと非常に近しい政治家が
「市民の側からの汚職摘発運動は不可欠」
としてあげた例が、件の「白いエプロン」ではなく!

著名ブロガーAlexey Navalnyが主催する
Ros Pil だったのです!

政府側の高官が、政府系とは180度違った角度から物を見る
いちブロガー(とはいえ弁護士でもありますが)のプロジェクトを支持する
っていうのは、最近日本で「子供の20ミリシーベルト問題」で
原発推進派の小佐古氏が内閣官房参与を辞任した のと
同じくらい、インパクトのあるニュースです。

ミローノフさん、最近議員辞めろとか
どうも軋轢があるようなんですが
やけっぱちの発言なんでしょうかねぇ・・・

さて、そのRos Pil というプロジェクトですが
「政府関連機関が主催する入札から
税金の使われ方をチェックしよう」 という趣旨で
実際、入札公示情報をチェックし、関連書類を読み込んで
不正入札の疑いがある場合は公開して
閲覧者(その分野の知識がある人)から意見を募る というもの。
サイト右側に赤と緑の数字がありますが
赤の数字は「露見した詐取額」
緑の数字は「(入札中止により)詐取を阻止できた額」
本日時点で赤は16億ルーブル(=48億円!)
緑は3億3700万ルーブル(=9億1100万円) となってます。

市民がわざわざチェックしないであろうことをいいことに
実は入札でポルシェ買ってる奴がいるんだぞ など
ちょっと首をかしげるような入札のシステムと金額に
ツッコミを入れようというプロジェクトを立ち上げたNavalnyは
最近、「トランスネフチの取締役会議議事録の株主への公開」
を求めた裁判で勝訴し、この件でも注目を集めました。
ロシアの政府や政府と癒着している大企業の
透明性を高めようという活動をしている人 というと
わかりやすい説明になるでしょうか。

が、彼のブログやTwitterを読んでると
若者ネット言語での発言で、おちょくってる? としか
思えないんですけどね^^
そんなカジュアルさも、注目される理由だと思います。

が、Navalnyの行動は我慢ならないという政府は
「Navalnyがキーロフ州知事のアドバイザーだった当時
木材会社に大損害を与えた」なる罪状を作って
裁判をでっち上げようとしてます。

Navalny本人は、Twitterやブログ、記者会見を通じて
「召集も罪状も何も受け取っておらず、TVから本件知ったんですが
どこに出頭したらいいんですかね?」 とかまして 笑
罪状が事実無根であることを強調。
当時のキーロフ州知事もNavalnyは無罪と一蹴しています。

政府をおちょくりすぎた結果、相当怒らせたという図に
ホドルコフスキーも「君は海外逃亡してきなさい」 と
牢獄からアドバイスを送るほどなんですが
当人は全く意に介せず、元気にTwitterでつぶやいてます 爆

ホドルコフスキーとは違い、彼は一介の弁護士で
政治的意図というより「税金使い方間違ってね?」という
市民目線での指摘を続けている人物。
「第2のホドルコフスキー」とささやかれていますが
それとはちょっと違うかなー と。
ま、この国策事件がどこまで行くのか
Navalnyはつぶやき続けることができるのか
Ros Pilの行方は というのが、最近気になるニュースです。