もう冒険は、
したくなかった。
ケース前面を、
完成したカバーと端材で挟み、
ビスで固定する。
ケースが閉まった状態なら、
端材は目に入らない。
この方法で、
カバーを取り付けることにした。
問題は端材のサイズ。
厚さが、
収納スペースを圧迫する。
かといって、
薄すぎると割れる可能性もある。
実際にビスを打ってみて、
強度を念入りに確認した。
ビスはブロンズ色にした。
カバーの色に似てるから、
目立たない。
ひとつ目のビスは、
ガッチリ固定された。
端材も割れてない。
一気に完成させた。
冷静に考えてみれば、
ネジとナットでも固定できる。
この方がスマートだし、
収納スペースも圧迫しない。
だが、
そこまで考える余裕はなかった。
塗料の選択。
ダメージ加工の実験。
ケースを傷だらけにしてしまうミス。
ワンポイントの研究。
ここに辿り着くまでが長すぎた。
もう終わりたい。
これ以上、失敗したくなかった。
とはいえ、
強度は十分。
使用には問題ない。
傷だらけにしてしまった
ケースの上部も、
デスクの影で目立たない。
黒の塗装が、
エイジングしたカバーを際立たせている。
下の部分を手で持って、
手前にスライドしてみる。
気持ちいいほどスムーズに開いた。
中身は、
使い勝手抜群の収納ケース。
だけど、
見た目はアンティークなチェスト。
ニトリの収納家具の面影は
どこにもない。
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