緊張の糸が

切れていたのかもしれない。

 

エイジング加工の目処が立ったので、

収納ケース本体に取りかかることにした。

色は白。

ポリプロピレン製。

安さと機能性に特化したニトリのケース。

主役は、

前面のエイジング加工したカバー。

ここは黒で覆うだけでいい。

カバーの引き立て役に徹するだけ。

こだわる必要はない。

 

マスキングの後、

黒ペンキで塗る。

塗料を弾く箇所があったが、

そのまま塗り進めた。

乾燥を待って、塗装面を見てみると、

なにかおかしい。

数カ所、

塗膜が縮れていた。

こんなことは今までなかった。

そっと触ってみると、

ぽろぽろと塗装が剥がれてきた。

 

頭が真っ白になった。

数カ所だけが剥がれてくる。

目の前のケースから目が離せなかった。

・・・

そういえば、塗っている途中、

塗料を弾いた箇所があった。

剥がれた部分を触ってみると、

ヌルヌルしている。

製造過程で付着したオイルだった。

 

それどころか、

オイルが付着していない箇所も、

爪を立てただけで、

剥がれてくる。

 

・・・

プライマーを忘れた!

 

塗った塗料を、

すべて剥がすしかなかった。

剥がし方が不十分だと、

プライマーが乗らないかもしれない。

スクレーパーで、

数時間かけて削り続けた。

静かな部屋に、

カリカリと削る音だけが

響く。

 

シンナーでしっかり拭き取った後、

ヤスリがけを行う。

失敗した反動からか、

念入りに擦り続けた。

その後、

プライマーを塗布し、

再度黒ペンキで塗装した。

 

今度こそ、

大丈夫なはずだった。

・・・

乾燥したケースを見た瞬間、

身体が固まる。

塗装面が、

傷だらけになっていた。

 

またしても、

思ってたのと違う。

視界が一瞬、

歪んだ気がした。

 

しばらく、

その場から動けなかったが、

落ちついたら、

いろいろ見えてきた。

ヤスリをかけるのは、

木材塗装で、

定着をよくするため。

ポリプロピレンに、

ヤスリをかける必要はない。

何を勘違いしたのか、

プライマーの定着が良くなると

思い込んでいた。

 

エイジング加工が終わって、

集中力が切れたのか。

塗料が乗らず、

テンパっていたのか。

 

さっきまで新品だった

6台のケースは、

 

無残な姿に

変わり果てていた。

 

 

 

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古材っぽさが出せない - 収納ケースDIYで傷を作り続けた話