塗り終わったパーツが、

部屋を埋め尽くしていった。

乾燥スペースが狭くなるほど、

一度に作業できる数が少なくなっていく。

全パーツが終わった時には、

足の踏み場がなくなっていた。

 

マスキングテープを剥がしていくと、

ペンキとアイアンペイントの境界線が

露わになってくる。

この瞬間、今までの苦労が報われる。

DIYの中で一番好きな作業だった。

ポールは少し厚めに吹いたおかげで、

爪で引っ掻いても問題なかった。

 

深呼吸して

そっとシェルフの穴にポールを通していく。
金属が触れる小さな音が響く度に、

ビクッとなる。

 

ポールに触れずに

通すのは不可能だった。

何カ所か塗料が剥がれて、

銀色が覗いている。

ショックだったが、

ここまでやって無理なら仕方が無い、

とも思った。

 

綿棒で塗料をそっと置くように

なぞってみると、

簡単に修復できてしまった。

1mほど後ろに下がったら、
どこが剥がれていたのかもわからない。

あれだけ悩んでいたのに、

あっけなく解消されてしまった。

でも、

むしろ早い段階でわかってよかった。

今後、気を遣わなくて済む。

 

・・・

ラックの再構築

塗装テスト

地獄のメッキ剥がし

工程の見直し

数々の試行錯誤が、

この瞬間、終わった。


組み上がったラックを
壁の前に移動する。
間接照明をつける。


少しだけ、
後ろに下がる。

・・・
思わず、
もう一歩離れてみた。
銀色のラックの面影はない。

ホームセンターの棚が、
アイアン家具に

変わっていた。


アイアン塗装の凹凸が

間接照明の灯りで、

わずかに浮かび上がっている。
まるで最初から
そこにあったかのように、
空間に馴染んでいる。


しばらく
そのまま眺めていた。

 

 

 

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