ベランダ編①

 

日当たりは最高
辺りは静寂に包まれている。
条件だけ見れば、申し分なかった。

ただ、なぜか落ち着かなかった。

このマンションは、
洗濯機置き場が外にあり、
正面も隣も、視界を遮るものがない。
正面の緑地は、
住人の洗濯物干しスペースになっている。

掃き出し窓を開けるたびに
軽く身構えてしまうことが、
ちょっとしたストレスになっていた。

住人が外で煙草を吸っていることもあり、
目が合うことも、気まずかった。
洗濯機を回すときも、干すときも、
若干急ぎ気味な自分に
違和感を感じていた。

なんで自分の部屋なのに、
落ち着けないのか。

カーテンを閉めていれば視線は遮れる。
生活できないわけでもない。
ただ、それでも消えない違和感があった。

それは不便というより、
ずっと鳴り続けている
小さなノイズのようなものだった。

部屋の中には、
まだ開けていない段ボールが転がっている。

普通に考えれば、
先にそっちを片づける方が
正しい気もしていた。

ただ当時は、
ベランダのノイズの方が
強く感じられていた。

この選択によって、
どこへ向かうことになるかは、
まだ知るよしもなかった。