【世田谷区 電力入札へ】
“東電離れ”が加速
東京都世田谷区は二十三日、新年度から区役所庁舎や区立小中学校など百十一施設で使用する電力について、競争入札を実施すると発表した。これまでは東京電力のみから購入していたが、東日本大震災による原発事故で電力供給が不透明になる中、供給体制を多様化することにした。経費削減の狙いもある。
入札は二月下旬に行い電力自由化で参入が進む特定規模電気事業者(PPS)に参加してもらう。電力の入札は、都内では立川市や国立市などが導入しているが、二十三区では初めて。対象は消費電力が多い区役所本庁舎や支所、区民会館、小中学校などで、区施設全体の一部。東電の料金が割安な夜間電力が多い老人ホームや体育館などは経費削減につながらないため除外した。
競争入札によって、年間六億七千万円の電気料金の3%にあたる二千万円の削減ができると見込む。さらに東電が事業者向けの電気料金を値上げした場合、値上げ分を含めて一億一千万円の節約になるという。
(保坂展人世田谷区長)
保坂展人区長は「リスクのある原子力への依存から脱して、再生可能エネルギーへシフトする流れがある。電力は一社独占体制が強いが、入札で経費削減と電力制度の改革を促したい」と話した。
PPSは電力自由化に伴い電力小売りに参入した事業者(当ブログ過去記事~"東電以外の発電所"を参考)。企業の余剰電力を買い上げる事業者や、自前の発電施設を持つ事業者がある。電力調達コストや人件費の削減で、電力会社より安く供給できるという。送電線は自由化されておらず、既存の電力会社に使用料を払って送電している。ガス・石油会社や商社などが事業展開している。
より引用。
【都内、広がる電力入札】
東電値上げで19区実施・検討
自治体が使う電気を、東京電力などの電力会社ではなく、電力自由化で参入した特定規模電気事業者(PPS)から購入しようとする動きが広がっている。首都圏では都県や政令市、多摩地区で競争入札などが導入され、経費削減効果を上げている。東電の値上げ方針で注目度がさらに高まり、東京二十三区では十九区が実施・検討している。
(発送電分離案)
電力の小売り自由化は二〇〇〇年に始まった。当初はPPSも少なく、入札を実施しても東電以外に応札がないケースもあったが、PPSの増加と販売対象電力の拡大で、徐々に電力入札の導入が広がった。
都内の区市町村では、立川市が一〇年度に市営競輪場が使用する電力の供給会社(当ブログ過去記事参照)について、PPSらから見積書を出させて選定する方式で、商社系PPSと契約し、年間千六百六十万円(27%)の節約を達成した。一一年度は導入対象を小中学校など五十三施設に広げ、PPS三社と契約し、15~20%の節約を見込む。市の担当者は「効果は十分。一二年度は市役所本庁舎にも導入する予定だ」と話す。
(特定規模電気事業者PPSの川崎天然ガス発電所)
特別区では、世田谷区が二月下旬に百十一施設を対象に競争入札する予定で、年間計二千万円(3%)の節約を見込む。渋谷区は本庁舎と渋谷公会堂について入札を実施して今月から購入し、東電に比べ年間約三百万円(3・6%)の節約ができるという。足立区も「東電が値上げを予定しているので、電力料金の低減化を図る」として一二年度に入札を行う方針だ。
東京都、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬県でも一部入札を行っており、千葉県は本庁舎使用分で約10%の経費削減ができたという。横浜市は〇一年度に五施設で入札を始め、いまでは約九百施設に拡大。三分の二をPPS、残りの大半は東電が落札している。
ただ、PPSは電力会社に比べて供給能力が大幅に低い上、事業者数も四十九社にとどまり、「東電の値上げ発表でPPSに需要が集中し始めたと聞くので、供給力がどれくらいあるか調べなければならない」(豊島区)との声も出ている。
実際に渋谷区は指名競争入札で六社を指名したが、参加したのは二社にとどまった。埼玉県では一一年度分の本庁舎の入札に応札が一社しかなく、担当者は「燃料価格の変動など、いろいろな要素があるのだろう」と話している。
より引用。
※特定規模電気事業者PPSは多数あります。一例として川崎天然ガス発電所を参考に取り上げました。
[特定規模電気事業者とは?]
(1999年度の改正電気事業法(2000年3月21日施行)により新たに認められた事業で、電気の小売自由化の対象需要家に電力会社の電線路を使って又は自営線を敷設して電気を供給する事業者です)
電気の供給は、地域ごとに国から許可された電力会社(以下「電力会社」とします。)のみが行ってきました。しかし2000年4月の「電力の自由化」という制度改革により、新たに電気事業に参入した事業者(特定規模電気事業者)や他区域の電力会社から電気を購入することができるようになりました。電力会社との契約で高圧500kw以上の利用者(中規模工場、中小オフィスビル、デパート、スーパーなど)が電気を購入する事業者を選択することができるようになったのです。さらに2005年4月からは高圧50kw以上に範囲が拡大され全国の電力需要の6割強が自由化されました。
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