あるところに、
人間になりたい犬がいました。
犬は
自分がみんなと上手く付き合えないのは、
自分の姿形が、人間じゃないからだと思っていました。
どうしたら人間になれるかと相談すると、
蛇は
「脱皮しなよ、簡単だよ。
新しい皮は気持ちいいよ。」
と言いました。
「海老も、ザリガニもやってるし♪」
と言います。
でも、犬は
ちょっと皮膚を引っ張ってみましたが、
皮膚を切った痛みを思い出し
「無理、無理。
僕は蛇君じゃないから、そんなことは出来ないよ。」
と言って逃げ出しました。
そこへ、
ディズニーランドのミッキーマウスが来て、
「 内緒だけどね、 後ろにチャックが付いてるから、
それを下せば脱げるよ? 」
とこっそり教えてくれました。
犬は
崖から滑り落ちて擦りむいた痛みを思い出し、
「ふざけんな!
俺は本物の犬だ!
皮を剝いだら死んじゃうだろ! 」
と怒り出しました。
そこへ
【鋼の錬金術師】のエドがやってきて、
(マイナーですみません。息子が好きなもので。)
「 腕と足をオートメイルに変えちゃえばいいじゃん♪
人間みたいに二本足で歩けるよ。 」
と言いました。
犬は、
腕を切断する恐怖を想像し泣いて逃げました。
おしまい
犬は、悩みを相談する人で、
蛇もミッキーマウスもエドも
相談されてアドバイスする人。
本当は脱ぎ方より、
「君は本当は人間なんだよ。それ、着ぐるみなんだよ。脱げるんだよ。」ってことに気付かせてあげるのが先。
でも、
人間だって気付いちゃうと、
犬だったことで守られてるものも一緒に手離さなきゃいけないから、受け入れられない。
でも、人間じゃないと手に入らない幸せが欲しい。
犬の利点は手離さず、人間の利点も手に入れる方法を探してるから、
着ぐるみがいつまでも脱げないのかもしれない。