自我の世界には、『比較する』というシステムがあります。

 

常に誰かと、常に何かと比較することで、自分のいる位置を確認します。

 

 

 

家族の中なら、

 

「お父さんとお母さん、どちらが好き?」 とか、

 

「仕事と家庭と、どっちが大事なのよ!」 とか、

 

「お兄ちゃんは、成績優秀だったけど、あなたはダメね。」 とか、

 

「男は仕事で、女は家庭を守ることが仕事だ。」 とか。

 

 

 

「わたしの貯金額が100万円なのに、あの人は1千万円もあるから、きっとあの人は、わたしより幸せに決まっている。」 とか、

 

「同じ年齢なのに、あの人はあんなに綺麗で、わたしは何でこんなに、ぼっさいのか。」とか。

 

 

 

ありとあらゆるモノで比較ができる世界です。

 

 

 

比較をすることで、

 

「わたしは、あの人より幸せだ。」 と、思ったり、

 

「いつもわたしばっかり損をしている。」 と、思ったり、

 

「どうせ、わたしなんか・・・」 と思ったり。

 

 

比較するというシステムがあったことで、自我が形成されていったんだろうと思います。

 

 

 

ただ、この比較があることで、

 

「あの人のようになりたい。」

 

「もっと、◯◯が上手くなりたい。」

 

「頑張って、優勝したい。」

 

など、意欲を沸かせてくれるシステムでもあります。

 

 

 

 

そしてもうひとつ、この宇宙の法則を知るには、この比較がとても役に立ちます。

 

 

 

 

例えば、わたしが、20年の経歴を持つ雑誌の記者だとします。

 

原稿が書きあがったので、上司に確認してもらうと、

 

「とてもいい。君にしかこれは書けないよ。」

 

と、とても高い評価をしてもらったとします。

 

 

 

翌月、新聞に掲載される、飲食店のコラムを任されて原稿を提出しました。

 

問題なく原稿は通り、新聞が印刷されました。

 

ところが、印刷されてから、商品の値段が間違っていたことが発覚し、誤り倒しました。

 

そこへ付け加え、他の原稿も、手直しされまくり、もはや、わたしの書いた原稿ではないというぐらい修正されてしまいました。

 

 

 

 

こんなふうに、とても褒められたり、とても高い評価を得た時に、

 

 

 

天狗の鼻状態になっていると、必ず次は、この鼻が

 

 

 

折れてしまうような出来事が起きます。

 

これは、宇宙の法則上、当たり前のことなのですが、

 

落ち込みます。ヘタレます。もう復帰できないくらい、どん底になります。

 

 

 

こういう時、考えることは、

 

「原稿を何度も確認したのに、なんで値段だけ見落としたんだろう。何で、その後誰も気づいてくれなかったんだろう。」

 

「あの原稿、あんなに書き直されて、あれじゃあわたしの書いたもんじゃないじゃない!20年も原稿書いているのに、何がダメだっていうのよぉ~」

 

と、結果にばかり意識が向いてしまいます。

 

 

 

実は、この結果になるのは、当然なんです。

 

次に、二度と同じ失敗を繰り返さない為にみるのは、結果ではなく、自分の意識の方なんです。

 

 

ここで、比較が役に立ちます。

 

 

 

褒められた原稿と、失敗した原稿。

 

どんなふうに取り組んだか、思い返してみます。

 

 

 

褒められた原稿を書いた時は、

 

図書館に行って、一つ一つ丁寧に取り組んで、締め切りまで余裕をもって仕上げた。おまけに、「こんな文献があったらいいのになぁ」と思っていたら、本と本の間に、わずか3㎜ほどの厚さしかない冊子をみつけ、そこに欲しい情報が書かれていて引用することができた。

 

 

 

失敗した原稿は、

 

「締め切りまでまだ間があるわ。」と、特に買い物もないのにショッピングに出かけたり、闇の多い映画を観た後に原稿を書いて、「ここは、淡々とした文章に書きあげるように。」といつも言われているのに、自分の想いや感情を入れに入れまくった原稿を書き、自分では大満足で仕上げ、「きっとこの原稿も、褒めてもらえるだろう。」なんて思いながら提出した。

 

 

 

Aの原稿は上手くいく結果になり、Bの原稿は失敗する結果になるのは、もう最初から決まっていたんです。

 

 

 

上手くいった原稿を書いた時、褒められることや評価されることなど一切考えておらず、原稿を書くことに全力を注いでいます。

 

こういう時は、褒められても一喜一憂しません。

 

「え?そうなんですか?」 くらいですが、誰かに褒められたことより、自分自身がとても満足しています。

 

 

 

でも、失敗した方は、20年の経験上、

 

「これくらいできるさ。」 と、

 

ただ、原稿を提出すればいいと思っている状態です。

 

 

 

この世界には、「自分が放出した意識とエネルギーは還ってくる」という法則があります。

 

それは、一切の例外がなく、完全に平等で、全く裏切ることはありません。

 

 

 

 

わたし自身、成功した後に失敗するという体験は、数えきれないほどしてきました。

 

でも、法則のことなど知りませんでしたから、いつも後悔するだけでした。

 

だから、何度も同じ失敗を繰り返していました。

 

「同じ」というのは、出来事が同じということではなく、

 

今、目の前に現れた出来事に対して、自分の気分や想い、感情で取り組んでいたことで、同じ失敗を繰り返していたのです。

 

 

 

失敗した時、必ずその前には成功があるように思います。

 

失敗した時と成功した時の違いを、結果で比べようとしますが・・・

(もちろん、物理的な結果は比較する必要がありますが、)

 

 

その結果になることは、今、この瞬間から決まっているんです。

 

 

 

わたしは、この法則を知ったことで、『今、この瞬間』が、どれほど大切な意味を持っているのかわかるようになり、

 

「手を抜く。」

 

「これくらいでいいか。」

 

「なんとかなるでしょう。」

 

と、いい加減な選択行動は、しなくなりました。

 

 

 

それよりも、最善を尽くしたらどうなるのか。

 

そちらの方に興味がありました。

 

 

 

上手くいった時と、上手くいかなかった時。

 

どんな違いがあるのか、検証してみることをお勧めします。