「そっか 持ってしまっただけなんだ」
いっちーが、そう言った。
毎月、第2火曜日は、仕事を休んで、母の内科受診の付き添いをする。
私が、働いていた病院だから、顔見知りの人とよく出会う。
今月も予定通り内科受診を終え、薬を待つ間に、お昼ご飯を調達するために、病院内のコンビニに行った。
結局毎回、同じような物を買ってしまう。
お弁当を手に取って振り返ると、いっちーがいた。
いっちーは、看護学校の後輩で、病院でも同じ職場で働いた。
「久しぶり~」 と声をかけると、いっちーは驚いた顔を見せた。
いっちーは、いっちーで私に、
「いいところで会った~」 と、今、悩んでいる事を話しだした。
結局、弁当を片手に
「こんな所ではなんだから・・・」 と、改めて会う事を約束して、その場は別れた。
3日後に2人で会い、いっちーの色々な体験を聴くことになった。
私は、心には法則、いわゆる方程式のようなモノがあり、方程式だから解けることを話した
。
帰り際に、いっちーも、私が通っているテニスラウンジに通っていることがわかった。
私はまだ通いだして4年だけど、いっちーは、マッカランじゃないけれど、28年ものだった
テニスを一緒にやろう! ってことになって、
そして昨日、夜の部で、一緒にテニスをした。
その時、いっちーが、こんな事を話してくれた。
「まだちょこっとしかわかってないけど、そうか!持ってしまっただけんんだ!って言うことがわかったよ。」
私は、驚いてしまった。
その通り
そして、いっちーは、尚も話しを続けた。
「あのあと仕事が終わって、ナースウエアーを、院内のクリーニングに出した後、駐車場へ行ったところ、何の前触れもなく、急にナースウエアーの左ポケットに200円入れたままにしていたことを思い出した。でも、戻るにはあまりにも遠かったから、まだ残っているであろう同僚に携帯から電話をして見つけてもらった。
これが、ガイドなんや~
でも、もうちょっと早よ教えてくれたらええのに と、思ってしまったわ。」 と。
いっちーは、ガイドの存在も素直に受け入れ、おまけにガイドに文句を言ったようだ
でも、なんかガイドも喜んだんだろうなぁ~
ガイドだって、自分の存在をわかってもらえた方がきっと嬉しいよなぁ~
たとえ、文句たれられても・・・
いっちーは、昔っからそうだったけど、ほんまに素直やわぁ~
私なんか最初の頃、理屈をコネコネコネコネしてました
これ、思考にどっぷりってやつですわぁ~
合理的で納得しないと納得しない。
ま、今思えば、それはそれでいいんだけどね。
でも、本当にそうなんだ。
ただ、持ってしまっただけ。
持ってしまったから、手放すだけ。
理由はどうでもよくて、ただ、何を伝えようとしてくれているのか?
それだけ。
でも、いっちー。
ガイドが教えてくれなかったら、その200円は、ドラムの中で、カランコロンと転げ回っていたと思うヨ。
これからも、二人三脚で楽しんでおくれ