感情を味わうには、比べるモノが必要だった。
小さな頃から体が弱く、いつも遊ぶことを我慢しなければならない日が続くと
丈夫な体に生まれたかったと願う。
小さい頃から両親がいつもお金がないことで喧嘩をしているのを見続けると
お金の存在が憎くなり、お金を征服したいと願う。
小さい頃から、誰かと比較し続けられ、あなたはダメな子と言われ続けていると
自分に、「私はダメな子だ。」と呪文をかけ、素晴らしい人と言われたいと願う。
嫌な感情を味わうと、その感情を味わうのが嫌で、その感情を味わわなくていい方法をみつけようとする。
体の恒常性と同じように、心も恒常性がはたらく。
「私はダメな子なんだ」と自分の記憶の中にインプットされると、その記憶は大きく膨らむ。
「ダメな子」と言う言葉を聞くだけで、犬の話しをしていても、自分のことだと勝手に思い込んでしまう。
99回、「あなたはいい子だね。」そう言われても、1回の「ダメな子ねぇ」と、笑いながら冗談交じりに言われた「ダメな子」が、インプットされる。
無意識の自分の中の記憶が、「ダメな子」でいっぱいになる。
でも、表面の私は、「ダメな子」と言われた時の感情を味わいたくなくて、
「ダメな子」と言われないように頑張ろうとする。
素晴らしい人と言われるためなら、どんなことでも頑張ってしまう。
人から見れば、そこまで頑張らなくてもいいのに。
そう思えることでさえ、まだまだこんな頑張りでは足らないと、もっと頑張ろうとする。
ストレス発散にと、2泊3日くらいの旅行に行く。
その旅行はとても楽しかった。
いつまでもこういう時間を持てたらいいのになと思いながら、帰路に向かう。
そして、住み慣れた我が家に到着し、床に寝ころんで
あぁ~、やっぱり我が家が一番いいわぁ~
心の底からそう思う。
それと同じで、
どんなに頑張っても、「ダメな子」が住み着いたその我が家が、一番居心地がいい。
どんなに、友達から
「あなたはよく頑張っているじゃない。」
「あなたは、そのままでいいんだよ。」
「あなたは、素晴らしい人だよ。」
そう言われて、一時的には嬉しいなって思っても、なんだか居心地が悪い。
なんたって、「ダメな子」が住み着いたその我が家が、一番居心地がいいのだから、仕方がない。どんなにバカンスを楽しんだって、やっぱり我が家が一番いい。
本当は、小さい頃、どんな風に言われたかったの?
可愛い子?
良い子?
小さい頃のあなたに戻って、どんな言葉をかけて欲しかったのか。
どんな風に抱っこして欲しかったのか。
どんな風に自分を見て欲しかったのか。
もうこれ以上ないって言うくらい、小さかったあなたを褒めたおして、
もうこれ以上ないってくらい、抱いてあげてください。
小さかったあなたが、本当はどんなふうにして欲しかったのかを知っているのは
あなたしかいない。
そして気づいてください。
他人と比較しているのは、周りの人ではなく、
あなた自身だったんだと。
あなたが、あなた自身を「ダメな子」だと言い続けていたことに気づいて、
今のあなたを褒めたおしてください。
朝、目覚ましで起きれたこと。
朝食を作って食べたこと。
空が青いと気づいたこと。
車を運転できること。
遅刻せずに出勤したこと。
今日も一日頑張ったこと。
あなたの望みが、素晴らしい人になることなら
人に言われる前に、自分が自分自身に素晴らしい人だと言ってあげてください。
それが、本当のあなたの望みだったんでしょ?