「なぁ、お母さん。」
「ん?何?」
「あのさぁ、カボチャの種、まいた覚えがないのに、畑にカボチャの花が咲いとんのさなぁ」
お風呂上がりで、ドライヤーで髪を乾かしている私に、主人がそう話しかけてきた。
カボチャねぇ
博子さんが営んでいる雑貨屋の下で、1年前から野菜を売り始めた方が、
「すきなカボチャ」を作って売ってみえた。
私は、へちまのような細長い形をしたそのカボチャを見たのは初めてで、とても美味しいと教えてもらったので、購入した。
そのカボチャは、皮がとても薄くて、種も少なくてとても調理がしやすかった。
値段もそれなりに高かったけど、スーパーで売っている物よりずっと大きかった。
私は、このカボチャでケーキを作ることにした。
レシピを検索して、ちょっとアレンジして作った「カボチャケーキ」は、とても美味しく、家族や知人、職場でも好評だった。
何度も楽しそうに一生懸命ケーキを作る私の様子を見て主人が、「僕もかぼちゃ、作ってみようかな。」そう言ってくれた。
うちの家の横に、小さいけど畑があり、そこで作ろうと思ってくれた。
私は早速、その野菜を作っている方に、すきなカボチャの作り方を教えて欲しいと伝えた。
「結構難しいから、苗を育てたら上げるよ。」
そう言ってくださった。
ところが、まてどくらせども、その方からカボチャの苗が届く気配はなく、もう諦めていた。
翌日の朝、主人が
「彼、新聞に載ってるよ。」
え どういうこと
えーーーー 今日は、父の日やん
すきなカボチャじゃなかったけど、
このカボチャを使って、今年もたくさんのカボチャケーキ、作っちゃいました
幸太郎、ありがとうね
あなたも好きだったもんね。