ホテル内にある和食屋さんで、中井君と田口君に会う事になった。
おバカなことをする中井君に会えるのは楽しみだった。
入口で待っていると、予定時間に若い2人が現れた。
多分、この子達だ・・・
「中井君?」
「はい、そうです。」 照れくさそうに、そう答えた。
田口君も、幸太郎のマンションによく遊びに行っていたらしく、中井君が連絡をとったところ、田口君も休みだったので一緒に来てくれた。
中井君は、幸太郎が「あのさぁ~、それさぁ~」って言葉を使うのが面白くて、
わざと「さぁ、さぁ」って言い続けたら、幸太郎が
「さぁ、さぁって、うるさいんさぁ~」って言ったのがとても面白かったと、その時に戻ったような顔をして笑った。
専門学校で手話のグループに入ったけれど、彼と幸太郎以外は全員女の子で、幸太郎は先生からも好かれていて、いつも何かの誘いを受けていたのに、僕には一度もなかったこと。
そんなたわいもない、幸太郎の思い出話しをしてくれた。
彼らにとっても、専門学校を卒業以来、他の同級生とも会っていないから、幸太郎がもうこの世にいないということに現実味がないようだった。
あっと言う間に時間は過ぎ、2人と別れた。
楽しい時間をありがとうね(^^)
この後、私はホテルの近くにある本屋を尋ねた。
無性に、死後の世界のことが知りたくなったからだ。
医学書や看護雑誌にしか興味がなかった私は、そんな本が売っているのかさえわからなかった。
それでも
「死んだらおしまい、ではなかった」大念寺住職 大島祥明氏 PHP研究所
「人は死なない」臨床医 矢作直樹氏 バジリコ
この2冊をみつけ、むさぼるように読んだ。
私は、幸太郎のいる世界を知りたかった。