2012年12月14日

 

 「幸太郎!退院しよう!!

 

 思わず、声に出した。

 

 幸太郎も、あまりに突然の母親の告知に驚いた様子だったけど、

顔には、笑みを浮かべてた。おねがい

 

 

「なんでもっと早く、思いつかなかったんだろう!」

そう思ったのを今でも覚えてる。

 

 幸太郎の食事量はいっきに下がり、水分もほとんど飲まなくなった。

病院食を配膳されても、2時間くらいそのままで、ずっ~と自分の体調と、食べるタイミングをうかがってる。ベッドサイドにつけた車椅子に乗るのも、ふらつく。

 顔は、低たんぱく血症でむくんで、幸太郎の顔ではなくなった。

酸素も必要になってしまった。

 

 抗ガン治療をしても効果がない。

 

 手術もできない。

 

 なら、家に帰ろう!

 

 

 看護師さんに、ホットの手続きを至急していただき、退院したいと告げた。

 

 ホットとは、病院のように自宅でも酸素を流せる機械で、今は亡くなってしまった義父が心不全をよく起こして、自宅療養している時に使っていた機械。それを思い出した。

 

 病院から自宅まで車で40分はかかる。

幸太郎にとっては、長い道のりになるけど、頑張ってもらうしかない。

 

 入院3ヶ月分の荷物は、半端なくあったけど、病院に来てくれてた長女が何度も往復して車に運んでくれた。

 

 幸太郎!! 家に帰ろう!!