詩一つ『第二の故郷へ』


足が震えるようで、いやだなと思う気持ちは、みんなに伝わらなくても、僕には伝わってくる。それがどんな理由であれ、僕には伝わってくる。

あそこで遊んだね。あそこで飲んだね。あそこでお別れしたね。あそこでお詣りしたね。あそこで生活していたんだね。

一人で洗濯して、一人でお米を洗って、一人でコンビニ行って、一人で真夜中の外へ出て、一人でTSUTAYAへ行って、一人で本屋をはしごして、一人で洋服買って、一人でこれ以上ない孤独を過ごしたんだね。

喉が苦しくて薬を飲み忘れていたことに気づく日が来るとは思わなかった。
自分が変わった性格だったことに気づかされるなんて思わなかった。
図書館で何万円も遣ってまで資料や作品欲しさに複写するなんて思わなかった。
近代文学の面白さに気づかされて研究に没頭するなんて思わなかった。
絵描きになるはずがいつの間にか文字書きになるなんて思わなかった。


気づかなかったことに気づかされた。
それが、第二の故郷がくれたものだった、なんて、私は幸せだね。


私は人のために研究する人間になる。
それが私から第二の故郷への恩返しだ。


#詩 #poem