アニメ【チ。地球の運動について】 第24話「タウマゼインを」あらすじと感想 | 占いworld♡エンタメ部

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親方の「大学へ行け」との申し出に「生活できればいい」と断ったアルベルト。親方は店で売るパンには規定がある。実は、当局にはバレないよう値段よりよいパンを作っていると言います。危険を顧みないでパンを焼いている理由は「パンを焼くのが好きだから」

 

 

親方「生活さえできれば十分満足?そりゃ、最低の嘘だぜ。俺じゃなく自分についてる嘘だからだ」

昔、アルベルトの父親に聞いた。全ての門にはアレテーがあるって。自分に得意なこと、自分にしかできないこと。賢人たち曰く人間のアルテーは考えることだってな。

※アレテー:ギリシャ語で徳・卓越性・有能性・優秀性・人間としての善や徳。

親方「俺のアルテーはパンを焼くことだ。じゃぁ、お前のは?」

人は自分の特性を生かしていることが一番幸福だとアリストなんちゃらは言った。趣味は神様が与えて下さった使命だ。自分が自分でいられる場所だ。

親方!至言!めちゃめちゃいい事言ってる!自分に嘘をつかないこと。自分が自分でいられる場所を見つけ、そこに生きることが使命。アリストテレスの名前が全部言えなくたって、そんなことはどうでもいい。親方はパン屋として生きることでアルテーを体現してる。

アルベルトは自分のアルテー、本当にやりたかったことを思い出して星座を指でたどりますが、書き終える前に過去がフラッシュバックし、その手を止めてしまいます。

 



オープニングメインがアルベルトになり、ラスト仕様に。いよいよ「チ。」も終わりなんですね。これまでの主要メンバーの画に感慨もひとしお。話は変わりますが「チ。」の後は「ガメラ リバース」らしいですね。個人的には「キングダム」続編を期待していたので残念。う~ん「ガメラ リバース」を見たいテンションがない。

親方から教会にパンを届けることを頼まれたアルベルト。親方が書いた地図を片手に教会へ。声をかけるも誰もいない教会。アルベルトは目についた扉を開けます。「ようこそ。告解室へ」と突然、「悩める者の罪の告白を聞き入れ、神に取りつぎ、赦しと和解を与えます」との声が聞こえます。



このシーンのアルベルトと司祭のやり取りが面白い!異端や拷問、逃走など深刻ムードが濃かったこれまでを思うと、かなりギャグ要素強めな印象。「悩みを話せ」とグイグイくる司祭にアルベルトは悩みとして「大学へ行けと言われたこと」を告げ、パンを置いて帰ろうとします。しかし、司祭は続けます。自分も誰にも打ち明けていない悩みを告白するから話してみては?語ることが慰めになる。それを聞いたアルベルトは告解室に入り、語り始めます。

母を早くに亡くし、父親に育てられたアルベルト。農民でありながら父親は学びを重んじ、文献を読む機会も得ていた。その影響でアルベルトも早くから文字を学び、アストロラーベも家にあった。子供時代のアルベルトは天体観測が好きで、取りつかれたように夜空を毎晩眺めていた。心が動く気がして。

ある夜。北の真上に動かない星を発見したと父親に報告したアルベルト。「それは北極星という星だ」そして、発見は何かの役に立って初めて意味がある、そうでなければ無駄だと言う父親。
 

父親「息子よ。この先何かを学ぶ時、知りたいと感じた時、これだけは覚えていてくれ。疑うのだ。自分の知識も世界の常識も、動機も方法も。探求心は歯止めが利かなくなる。世界を決定的に変えてしまう取り返しのつかない怪物を作り出してしまうかもしれない。だからゆっくり疑って、人の役に立たない道なら止まるべきだ。それでも学びたいと願うなら、お前に特別に家庭教師をつけよう」

 

 

アルベルト「そうして僕は出会ったんです。先生に」

 

父親が紹介してくれたのは「ラファウ先生」。12歳のラフアウではなく、成人のラファウ。声は12歳のラファウと同じ坂本真綾さん。ここで登場するラファウは若いけれど成人ぽいので男性声優さんになるのかと何となく思ってたんですが、進撃の巨人のアルミンが成人後も女性の井上麻里奈さんが引き続き演じてたし、変わる訳ないか。

 

父親は自由農民で有力者に気に入られていたという事ですが、子供に家庭教師つけられるくらい余裕があるってことなんですよね。土地の所有権を持つ、経営者的農民ということなのでしょう。

 

授業の休憩時、ラファウ先生に「部屋にアストロラーベがあったけど、星を見るのかい?」と聞かれたアルベルト。

 

アルベルト「先生も星を見るの好きですか?」

ラファウ「いや、好きとかじゃない。愛してる」

 

ラファウは言います。夜空は寂しい自分を救ってくれた。夜空を眺めていた時、ふと気づいた。僕たちの住んでる世界の外が存在することに。僕たちはひとりじゃない。それらは全て同じ空にある。きっとみんなひとつの大きな何か、真理と呼べる何かによってつながってる。それを知るために生きようと思った。

 

ラファウの言葉を聞いたアルベルトは言います。僕は目標がない。僕がつけている星の記録は、目的もなく、人を助けたり、信仰の役にも立たない。だから無意味なんです。記録をつける理由はわからない。ただ知りたくて。でも、そんな自分勝手じゃいけない。

 

 

ラファウはアルベルトに星座を教えます。指で星に線を引き、まずは射手座を。「どうだい?弓を持つケンタウロスに見えなくもないだろう?」否定的な反応のアルベルト。

 

ラファウ「確かに無理やりだよね。でも、形は覚えやすくなったろ?無秩序な情報に線を引く。すると今まで見えてなかったものが見えてくる。こんなことが起こせるなんて僕らの理性はどうなっているんだろうね?遠い昔、ギリシャで星座と神話が結びついた。それぞれの星座に様々な逸話があるけど、射手座はケンタウロス族の賢者ケイローンとされてる。賢者とは探求者だ。どんな苦難にも折れず、普遍的な真理に情熱的に迫ろうとする。君もその気持ちがわからないかい?夜空を見ると感じるだろう?タウマゼインを」

アルベルト「タウマゼイン?」

ラファウ「あぁ。それは古代の哲学者曰く、知的探求の原始にある驚異。簡単に言い換えるとこの世の美しさに肉体が痺れること。そして、その美しさに近づきたいと思う精神のこと。つまり「?」と感じること。神がこの世界を創り、人はそれを知りたいと願った。これ以上に尊い欲望を僕は知らない。この成功のためだったら、どんなことも厭わない。たとえそれが命だったとしても、平気で投げる。君は悩んでると言ったね。自分のやってることが何の役に立つかわからない。そして自分がただ漠然と知りたいと思ってることが、無意味だともダメだとも言った。それに対して、僕は今から極めて不適切な発言をするけど、知の探究が人や社会の役に立たなければいけないなんて発想はクソだ。知りたいからやる。それだけだよ」

 

ラファウ「アルベルト君、これだけは覚えていてくれ。真理の探究において最も重要なことだ。信じろ。自分の直感を。この世の美しさを。僕は何があろうと、君の好奇心を否定しない」

 

アルベルトの父親が語った言葉の反対軸となる言葉。原作を最初に読んだ時、なんでここで死んだはずのラファウが登場するのかがよくわからなかったんですが、生き戻りかどうかはともかく、この言葉は他の誰でもないラファウに語らせなくてはいけなかったんだなと思いました。理由はよくわかりませんし、説明もできないけれど、ただそう思います。

 

ラファウの言葉を聞いたアルベルトは求積法までマスターするくらい数学にやる気と関心を寄せます。そんなアルベルトにラファウは「素晴らしい」と呟き、真理の自由な探求が信条の集まりにアルベルトを誘います。アルベルトは参加させてもらうことを心から喜びます。

 

 

会に参加したアルベルト。プラフマグプタが起こした革新的事件、ヒサーブ・アル-ジャブル・ワル-ムカーバラの翻訳、エーテルの正体は第5元素と言うより、などの言葉が聞こえてきます。

 

※プラフマグプタ:7世紀頃のインドの数学者・天文学者。父親は有名な占星術師。

※ヒサーブ・アル-ジャブル・ワル-ムカーバラ:最古の代数学書のひとつ。筆者のアル=フワーリズミーは9世紀前半のアッバース朝時代に活躍したイスラム科学者。数学と天文学で足跡を残し、アルゴリズムの語源となった人物。

 

子供時代、ラファウから知に対する大事な言葉を聞いたアルベルトが何故探求をやめてしまったのか。詳細忘れちゃってますが、この会の参加がその原因、きっかけだったかと思います。アルベルトに「素晴らしい」と呟いたラファウが不穏な雰囲気なのもそれを暗示している気がします。ただ、アルベルト編はほとんどが忘却の彼方なので違ってたらすみません。

 

でも、ほとんど忘れてるけど、物語が集約していく非常に大事な章なのだなぁと思います。もの凄く重要なフレーズがこれまで以上にてんこ盛りだとも感じます。結末が近いのであたりまえかもしれませんが、やはり凄いお話しだなぁ、と。凄いとしか言えない己の語彙力のなさが悔しいというか、呆れるしかない感じなんですが、おそらく次が最後の回。終わってしまうのがとても残念ですが、楽しみに待ちたいと思います。ということで第24話のあらすじと感想を終わります。