アニメ【烏は主を選ばない】 第18話「外界」感想・山内の結界と外界 | 占いworld♡エンタメ部

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雪哉が施した命をつなぐ糸を頼りに、暗い穴の道を行く若宮と雪哉。二人を追う人形に転身した猿たち。

 

 

雪哉「で、今更ですが、なんであなたがここにいるんです?てか、諸々わかんないことだらけなんですけど」

若宮「招陽宮は抜けてきた」

雪哉「それはわかってます!」

若宮「会談の失敗は目に見えていたからな。遅れるが私は必ず行くと予め朔王に伝えておいたのだ」

 

若宮は続けて雪哉に言います。朝廷と地下街の決定的な決裂を防ぎ、場を治められるのは朔王しかいない。朔王に兄上(長束)の会談を治めてもらったあとで私(若宮)がひとり穴に入り、猿の情報を探る手はずになっていた。雪哉が来たのは想定外。朔王は何を考えているかわからないところがある。油断は禁物だな。

 

一本道だと思っていた穴は帰路の途中で二手に分かれ、頼りの紐を辿っても、同じところに出てしまいます。

 

若宮「おそらくここは結界の外側だ」

 

続けて若宮は語ります。この現象は山内を守る結界の作用。外から入ってこようとする者を排除しているのだろう。我々は気づかずに結界を超えてしまい、戻ろうとしている今妨害を受けている。山内の外敵と認識されているのだ。

 

鬼灯籠の灯も尽き欠けた頃、猿に追いつかれます。若宮は雪哉に「猿は私が止める。お前はここを出る方法を考えろ。朔王は穴に入る前に必ずお前に何か手がかりを与えているはずだ。思い出せ。そして、考えろ」と言い、猿の群れに向かいます。

 

 

必死に考える雪哉。灯る時間の残り少ない鬼灯籠を壊し、周囲には襲ってくる猿たちが。朔王がくれた手がかりは白檀と陳皮の匂い。香時計の匂いが結界を抜ける道しるべ。暗闇の中、匂いを辿り道を見つけて、若宮は雪哉を背負い必死で出口へ走ります。

 

白檀はサンダルウッド。香木の代表格で三大お香のひとつ。陳皮はみかんの皮を干したもの。さわやかなみかんの香り。

 

入口の扉が完全に閉じる間際に若宮と雪哉はようやく帰還。雪哉は白いかけらを朔王に手渡します。

 

朔王「ほう。喉仏か。悪くない」

朔王「こいつからは独特の匂いがする。山内に存在するいかなる動物のものでもない。もちろん、八咫烏とも違う」

 

 

猿でもないそれは人間の骨。雪哉は「にんげん」とは外界にいる動物の一種とか?と聞きます。

 

若宮「雪哉、外界とは何だ?」

雪哉「山内の外のこと、ですよね」

若宮「山内の外は、そこはどうなっている?」

雪哉「どうって」

若宮「山内は結界の薄い膜に包まれた小さな世界だ。その膜の外全てを外界と言う。その外界を支配しているのが人間だ。人間は姿こそ八咫烏に似ているが、いや我々が人間に似せていると言うべきか」

 

たぶん招陽宮。若宮の外界遊学時の記録と思われる覚書を読む雪哉。そこには飛行機、ヘリコプター、ヨット、自動車、オートバイ、電車、ビル街(渋谷?)、男性、たばこ、バナナやドーナツ、ハンバーガーなどの画も描かれていました。

 

白いかけらを中央にした面々。地下街で朔王から雪哉がもらった人間の喉仏。

 

澄尾「猿の次は人間?勘弁してくれよ」

若宮「別に今すぐに人間が山内に何かを及ぼすという話ではない」

長束「そうだ。我々の目下の敵は猿なのだからな」

若宮「現時点では人間はむしろ被害者だ。おそらく猿は山内と外界の狭間をねぐらに人間を食料として暮らしてきたのだろう。だが、最近になり、山内への通路が開き、そこに人間によく似た生物、八咫烏を見つけた。もしかしたらその区別も、奴らにはついていないのかもしれない」

 

ここでの長束様は朔王にいきり立っているご様子。路近の舎弟扱いがよほど腹に据えかねたようで、なんだか子供っぽい。齢14~15歳の雪哉の方が大人な印象です。そんな中、話題の焦点は猿の山内への通路がどこなのかに移ります。

 

地下街の回想。朔王の考えによると「通路は中央」北領の猿の出没は目くらまし。中央で若い娘がさらわれる事件があいついだのはおそらく取引に使われたため。猿と八咫烏の取引。猿のねぐらには人間の骨がごっそりある。人間の骨は猿にとってはゴミだが、八咫烏には欲しがる連中がいる。人間の骨は金になる。娘は猿の餌になり、その報酬に猿から人間の骨をもらった八咫烏が闇で売りさばく。取引の担い手の八咫烏を地下街は追っていた。

 

若宮「(朔王に)ひとつお忘れではないですか?骨を売りさばいた男の名を。白いかけらを持ってきたら、知る限りのことを話すと雪哉に約束したそうだが」

 

 

朔王から聞いた話では、骨を売りさばいた男は「水売り治平」。小梅の父親です。そして、人間の骨の使い道。地下街では人間の骨の流通を禁じているが、一部では薬として密かに利用されている。粉にして微量を含めば幸福感を得られるが、加減を間違い、飲みすぎると依存になり、正気を失い、烏の姿から人の形に戻れなくなる。その薬は「仙人蓋」。


八咫烏にとって人間の骨は麻薬なんですね。そして、かなり憤った様子の長束様。

 

長束「本人に吐き出させるしかない。もはや手段は選ばん。どんな手を使っても水売り治平をあぶり出す!」

 

水売り治平の人相書きが街中に立ち、人相書きの前で町人たちが噂しています。治平本人が出てこなければ、娘を晒し者にして引き回すらしいと。顔を隠した治平が通りがかりにそれを耳にします。

 

夜の招陽宮。植物の鉢が置かれている庭にいる若宮と雪哉。

 

雪哉「何も知りませんでした。僕は故郷を守ることばかり考えて、誰かに守られているなんて思ったこともありませんでした」

若宮「当然だ。平時であれば、外界や人間など、普通の八咫烏には知る機会もないからな。このような事態になってしまったのも、私の力が至らぬゆえだ」

雪哉「あなたは真の金烏なのですか?金烏とはいったい何なのですか?」

若宮「金烏とは八咫烏全ての父であり、母でもある。いかなる時も慈愛を持って我が子たる民の前に立たねばならぬ。いかなる困難を前にしても、民を守護し、民を教え導く者であらねばならぬ。そう泰山大綱に書いてある。まさに私はそのために生まれた。山内を守ってきたのは結界だ。その結界が近年弱まっている。不知火、綻び、猿の侵入、そして新たに人間が」

雪哉「殿下は八咫烏は人間の姿に似せている、と。あれはどういう意味なんです?今起きている異変と何か関係あるんですか?」

若宮「雪哉。山内は今、崩壊に向かっている」

 

どこかの門の前。人が集まり、見上げる先には血だらけの人が。見せしめに吊るされた死体だと思われます。


チラっとしか見えないですが、原作ではこの死体の描写がかなりエグいと私は思いました。アニメではかなりぼかしている気がします。

 

桜花宮の小梅にひとりの女房が訪れ、告げます。


女房「小梅。気を確かにお聞きなさい」

 

 

 女房に声をかけられた小梅の表情を映し、次回へ続きます。山内の外、人間界が登場してきました。この平安風の山内の世界は、現代日本の一角にある閉じた世界。めちゃくちゃ面白いですね。昨今流行りの異世界ジャンルに含めてよいのかもと思ったりもします。あるいはパラレルワールドの一種と言えるのかも。


その閉じた世界が崩壊の危機に晒されている。だからこそ真の金烏、奈月彦が生まれてきたのかもしれません。ということで第18話の感想を終わります。