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2019年青少年読書感想文コンクールの

課題図書が発表されており、

図書室でも、最初の発注で

中学校の部に選ばれている本を

注文しました。

 

この、課題図書に選ばれる本は、

少々小難しかったり、

時事問題に絡ませて、

考えさせられるようなものが多いです。

 

自分自身が知っている本が

課題図書になることは、

今までまずなかったのですが、

今年はめずらしく、

去年、面白そうだなと思い、

図書室へ入れていた本が、

課題図書に入っていたのでした。

 

それがこの本でした。

IMG_8163.jpg

小手鞠るいさん著、

『ある晴れた夏の朝』です。

 

発注はまず、

出版社が紹介するあらすじや

本屋さんのランキング、

話題性、著書の他の作品、

中学生・高校生に相応しいかなど、

色々考察した上で

選書しています。

何しろ、予算が少ないので

厳選しているんですアセアセ

 

小手鞠るいさんの作品は、

前作『きみの声を聞かせて』も

図書室に入れていました。

 

出版社の紹介内容は・・・

 

アメリカの8人の高校生が、広島・長崎に

落とされた原子爆弾の是非を

ディベートする。

 

肯定派、否定派、それぞれのメンバーは

日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、

アイルランド系、中国系、ユダヤ系、

アフリカ系と、そのルーツはさまざまだ。

 

はたして、どのような議論がくりひろげ

られるのか。

そして、勝敗の行方は?

 

・・・というものです。

 

戦争がテーマの物語、

しかも面白い視点で描かれている、

ということが選んだ決め手でした。

 

パラパラと流し読みし、

面白いと感じつつ、

中学生は、ちょっと難しいかな・・・

なかなか手に取ってくれないかも・・・

とも、感じていましたガーン

 

表紙を向けて良い場所に置いて

おすすめはしていたのですが、

なかなか手に取ってもらえずあせる

 

ただ一つ、おすすめに入れながら

気になっていた点もあり、

ちゃんと読みたいなぁと

思ってはいました。

 

すると、今回、読書感想文コンクールの

課題図書に選ばれたではありませんかキラキラ

 

これは、ぜひじっくり読んでみなくては、

と思い、学校から一晩借りて来て、

読んだ本でした。

 

 

・・・私が気になっていたこと。

 

それは、戦争作品を読むと気になるのが、

「自虐史観」で描かれているか

そうでないか、です。

 

私自身は、大阪市の公立小学校の、

社会担任の先生が

相当偏った考えの方で、

嫌というほど自虐史観を植え付ける

教育を受けさせられた口でした。

 

当時は素直だった私は

ある日堪えきれず、泣いて父に、

「日本ってこんなに悪い国やったんはてなマーク」と

訴えたことがありました。

父も、「ハッ??」とびっくりしていたのですが、

4つ上の姉や、母には

すでに有名な先生だったようで、

「あ~あの先生の近代史の授業やろ~(笑)と

しょうがないよねえー」

という感じだったのですが、

基本的に常に自虐史観な先生ですが、

毎年、特に卒業近い授業時間がが足りないような頃、

数時間を割いて近代史の授業が行われ、

日本がいかに野蛮な国だったか、

世界中から嫌われている国か、

というのをとうとうと6年生に語られたのでした。

 

卒業式を行う体育館の前で、

国旗掲揚、国歌斉唱反対の

ビラを撒いて抗議している先生の姿は、

今でもよく覚えていて、

いつもと全く違う表情に、

当時恐怖さえ覚えたものですガーン

 

学生時代にアメリカに短期ホームステイに参加し、

戦没者追悼の集いに参加するのですが、

その際、アメリカ人の戦争や軍人に対しての

想いが日本と全く違っていて、

それはなぜなのか、

もう一度自分なりに調べたくなり、

本を読んだり、ネットが普及してからは

ネットで調べて真実がわかったり、

元大阪府知事の橋下さんが

散々テレビで言われたのもあって、

小学生の時自分がどういう教育を受けてきたのか、

やっと理解できたのでしたタラー

 

今は、日本大好きですデレデレ

自己肯定感を高めるにも、

自分の国をまず誇りに思うような

教育が大切だと感じています。

 

そういうのもあって、

戦争を扱う書物には

少々構えてしまうものがあるのでした。

 

そんな思いで、この著者は、

「どっち」の方なのかな・・・はてなマーク

と心配しながら読み始めたのでした。

 

実際読んでみて、

考え抜かれた展開で、

とっても引き込まれました音譜

 

所々、涙しつつ、読み進めましたし、

とても読み応えがあり、大変面白かったです。

 

この本は、ぜひぜひ、

中学生、高校生、

それに、大人の方にも

おすすめしたい1冊ですビックリマーク

 

原爆の是非を問う、なんて

日本では答えは一つしかありませんよね。

 

だけど、それが

アメリカで行われており、

しかも参加者は、

それぞれ違ったルーツを持つ、

高校生たち。

 

カルチャーセンター主催の

カルチャーイベントの

ディベート、ということで

学生の意見という形で、

原爆投下の是非を問いながら、

人類の戦争と平和について、

あらゆる視点から

わかりやすく、優しい言葉で

解説されていきます。

 

ディベートに参加するのは、

否定派、肯定派、各4人。

 

否定派であり、主人公のメイは

お母さんが日本人で

お父さんがアメリカ人の

日系アメリカ人。

 

他のメンバーは、

アイルランド系、

中国系、ユダヤ系、

アフリカ系、

そして、メイと同じ日系だけど、

両親もアメリカで生まれ育ち、

生まれも育ちもアメリカという

ケンは、肯定派に。

 

このメンバーの意見を通して、

日米と、それに関わる国の

主要な出来事や考え方を

網羅しつつ、問題提起されます。

 

「原発が戦争を終わらせた」

「欲望を満たす為の人体実験だった」

「南京虐殺」

「真珠湾攻撃」

「原爆実験」

「人種差別」

「白人至上主義」

「日本の教科書」

「『過ちは繰返しませぬから』の意味」

 

などなど、多方面から、

検証していくのです。

 

否定派は、戦争が続いていた場合助かる人数について、

「なんら根拠がなく、推察に過ぎず、数字は嘘をつく」

 

自国の都合の良いように主張している。

そのように指摘します。

 

そして、

黒人は白人に酷い差別を受けてきたが、

だからといって、黒人が白人を処罰していい、

という理論はなりたたない。

 

「目には目を、歯には歯を、

という考え方を持っている限り

人類に平和は訪れない」

と訴えます。

 

一つの戦争について

自国を主観に語ると、

それぞれ違った側面が見えてきます。

 

増幅する数字のことや、

繰り返す報復措置で、

いつまでも

戦争や内戦が終わらなかったり、

決着点が見いだせなかったり・・・

 

『世界はもちろん、日本もまだまだ

平和国家ではないし、

戦争は過去のものではない。』

 

著者は、インタビューで

そう読者に訴えかけています。

 

そして、

『日本は決して平和ではない。

平和だと思いこまされている。

そう思い込まされているものは何か。

この本に、その答えを書きました』

 

とあります。

深いですね~

 

私自身、このことだろうと思うものありますが、

著者のそれと同じなのでしょうか。

ハッキリとはわかりませんし、

逆にいうと、いくつもの理由があって

日本は平和ではないと

言えるのだと思います。

 

そして、この討論会という形式は

編集者からの強い希望があり、

高校生8人の、自出や性格についても

編集者と意見交換をして固めていった、

とのことです。

 

なるほど~

さすが、うまいっとうならせる、

よく練られた構成でした拍手

 

「あっち」の方も「こっち」の方も、

それぞれの想いが浮かぶことでしょう。

 

この物語の良い所は、

登場人物たちが、

お互いを尊重し合って、

敬意を払いあうところですラブラブ

 

よく、テレビで討論会だとか、

野党与党の会議などなど、

結果や結論が出ることなく、

水掛け論で、

自分の主張をしあうだけで時間切れ、

という印象がありますが・・・

 

こちらののディベートの結末は、

とっても爽やかです音譜

 

主張の中には、

相容れないものもありますが・・・

 

ちなみに、著者は岡山県生まれで、

現在はアメリカ在住とのことです。

そのことからも、

戦争や原爆について、

深い関心を抱いているとか。

 

この著者あっての、

この作品なのですね音符

 

良い作品に出会えました照れ

 

あ、だけど1つだけビックリマーク

ちょっと残念に思ったのが、

この題名です・・・

 

『ある晴れた夏の朝』

 

綺麗な題名ですが、

SNS時代に生きる、

中学生や高校生にとって、

第一印象や見た目が重要。

なかなか、手に取ろうという

気持ちにならないかもあせる


良いお話しだっただけに、

印象の薄い題名と表紙が

惜しいなぁと‥

 

本を開いた先の世界は、

やはり、実際に行動を起こした人しか、

その世界を知ることができませんよね。

 

気になった方は、ぜひぜひ

手に取ってみてくださいね音譜

 

 

 

 

ある晴れた夏の朝 ある晴れた夏の朝
1,512円
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 ちなみに、他の中学校課題図書はこちら下差し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後まで読んでいただき

ありがとうございました爆笑

 

 

 

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