木を運び出す人の掛け声ももう聞こえません。
いつか杣小屋も朽ち果ててしまった事でしょう。
そんな中、幾人かが山に残ります。
猟師としての生活を夢みた人たちです。
しかし槍の信仰登山の流れも消えた時代、人も去り、ただ1軒あった湯屋も閉鎖されていた頃の事、人里離れた上高地での猟は、一家を支える収入に結びつくとは言えません。
趣味を兼ねた、今流にいえば副業的なものだったのでしょう。
後年、山案内人として名を残すことになる上条嘉門次も、その山に残った一人です。