桜の切手 <#64> | くさはらの日々

くさはらの日々

日々の瑣事のひとつひとつに新鮮な気持ちでむきあいたい....と思いつつ、くさはらの中で迷子になったような気分からの脱却。心と体と暮らしの変化を見つめていたら、いろんなことが少しずつ整いはじめた。思考の整理をお手伝いするibマッピングカウンセラー、やってます。

うつくしい満開の桜模様の切手を貼った
封筒が届きました。

ちょっと気持ちが浮き立って
裏を見ると、
あれ?娘さんの名前だ。

友人Aさんが旅立ったことを知らせる、
お嬢さんからの手紙でした。

”友人”と言っては申し訳ないような、
尊敬する人生の大先輩。
91歳でした。

『旅立ちの日」からは
ちょっと時間がたっています。

「お知らせは新しい春がめぐってから」
という遺志に添ってのことだそうです。
Aさんらしい。

Aさんと出会ったのは30年以上も前の春のこと。
たまたま1年間だけ住んだ町で、
たまたま公民館の前を通りかかった時、
たまたま中から出ていらしたAさんと、
たまたま目が合って。
それ以来のおつきあいでした。

Aさんの家の裏には八幡様があります。
参道の桜並木が、
春になると、とてもうつくしいのです。

Aさんは毎日その参道を、
身寄りのない猫ちゃんたちに配る夕食を
かごに積んで、自転車で走っていました。

今日は、桜の柄のカードを買ってこよう。
娘さんへのお返事の封筒の切手は、
猫の絵のにしよう。

世界はうつくしい、ということを
その生きる姿勢で教えてくださった
Aさんに、心から感謝と祈りをささげます。

きっと今も、にこにこと笑っている気がするな。


    *


「花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生だ」

という言葉を、
中学の時の国語の時間に教えてもらいましたが、
当時はいくら解説を聞いても、
ちっとも意味がわかんなかった。

今やっと、だんだんと、
先生が教えてくれた意味が、
じわじわとわかる年齢になってきました。