徳す

台湾の一大イベントが終わった。
というわけで少し感想を。

僅差かどうかは別にして
民進党の頼清徳が総統に決まった。
台湾的には順当な結果だったかなと。
なにしろ、国民党の候補がふたりとも
魅力がなさ過ぎる。
たとえば、民衆党の総統候補・柯文哲候補は、
はっきりと一国二制度は受け入れられないと
言明している。
一時期、民衆党に中国から資金援助があると
まことしやかに噂が流れたが、
柯文哲にしてみれば、
いまさら香港的一国二制度など
認めるわけがない、というところなのだろう。
その点、国民党はあまりに曖昧すぎた。
投票の直前、
馬英九が「習近平を信用しなければならない。」
などという、あまりの調子っぱズレな発言をしてしまったのも、
そもそも国民党が大陸の共産党と
つるんでいることの証左なのではと
あらためて思った台湾人も多かったのでは、
と思う。
台湾人の中には、
大陸での国共内戦で負けた国民党が、
なぜ、今さら中国共産党と仲良くするのだと、
不信感を持つ人も多いのではと感じる。
国民党の総統選ペアの曖昧さが
そのまま魅力の無さにつながったと
思わざるを得ない。

中共の方をチラ見している国民党なら、
清新な民衆党に、
という流れは出来つつある、
そう感じられる選挙だった。



さて、民進党。
総統選では出来過ぎの勝利だった。
立法議員選では
獲得議席数から言えば惨敗だろう。
ただ、前回が勝ち過ぎ、という側面もあるから、
台湾的には当然の結果なのかも。
中国との関係で、
あまり偏って欲しくないという
台湾人の民意があったのかも。
すなわち、中国との関係を崩さない、
そこそこの関係(現状維持)がベスト、
習近平政権が終わるまでは
刺激しすぎない、が台湾の選択かなとも思える。

ポイントは、
総統の頼清徳よりも副総統になる
『蕭美琴』ではないか。
蔡英文が総統だったわけだから、
近くにいた蕭美琴もトップを狙うだろう。
駐米代表を務め、
なおかつ神戸生まれの蕭美琴が
いったいどんな台湾の未来を描いているのか、
このまま行けば、蕭副総統は、
習近平後の中共と対峙することになる。
8年先、あるいは10年先へのロングパス、
それをどう考えているのか、とても興味がある。