日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために -35ページ目
座頭市兇状旅
1963年 大映
監督:田中徳三 主演:勝新太郎、高田美和、成田純一郎、万里昌代、村瀬幸子
シリーズ4作目、監督は3作目に続いて田中徳三。ラスト、勝がいるボロ屋を囲まれて、一対多の立ち回りが繰り広げられる。座頭市もここにきて普通のアクション映画性を求められたということなのだろう。その分、勝新太郎が世の中に役に立つ男になっていく感じはシリーズとしては仕方ないのだろうが少し残念な感じもする。一作目からでてくる万里昌代が最後に殺され、最後に殺した男が「座頭市を売ったのは彼女だ」というところで終わる。真実はわからぬままに、座頭市は新たな旅に出るという感じは、シリーズの方向性を示しているかにも見える。
勝は祭りの相撲大会に飛び入りで出場。商品と賞金を得る。もらった酒をのみのんびりとしていると、彼を襲う男がいた。勝にかかった賞金目当てだという。勝は居合で殺してしまうが、彼の母親(村瀬)のところに自分が殺したと言いに行き、彼が言った賞金の額をもっていった。その弔いの場に勝を狙う男(安部徹)と子分たちが襲ってきた。そこは弔いの場ということで引いてもらう。安部は若い二代目(成田)が仕切る縄張りを奪おうとしていた。そして、その恋人(高田)の宿に勝はやっかいになる。高田の父親は元侠客で、彼も昔にもどりたく安部と結託していた。ある花会で成田が失敗をして消されそうになったとき、勝はでていき場を沈めた。そして、勝への風当たりも強くなる。勝のいる宿には昔彼に結婚を申し込んだ万里がいた。彼女は浪人(北城寿太郎)の女としてつかえていて、「昔の私ではない」と勝にいうのだった。祭りの夜、成田は安部によって殺されそうになっていたが、そこを勝が助ける。しかし、成田が刀を抜かなかったと安部が責め、恩人である勝を殺せと言われる。成田は勝をおびき寄せる。そこに高田と、万里、そして北城がきて、もめていると、その外は安部と多くの子分たちが囲んでいた。北城は万里と一緒に外に出る。そして、止める万里を斬る北城。それを聴いた勝は怒りに震え外に飛び出す。安部の子分たちをあっというまに殺し、最後に北城との勝負をつける。そこで死に際に北城は「勝を使って金をかせごうといったのは万里だ」というようなことを言った。信じないと言って去り、高田と成田の幸福を祈り、旅に出る勝だった。
世の中で静かに暮らしたいが、ヤクザ渡世でしかたなく居合いを使って追っ手を斬りながら旅する座頭市という男のキャラクターがかなり固まった映画なのかもしれない。冒頭の相撲のシーンなどは、彼が愛嬌があり、運動神経がすこぶるすぐれていることを示していたりもする。
だが、そこに対峙する敵は、こんな盲、多人数で襲えばどうってことはないだろうとたかをくくる。だが、それは間違いだったというのが、このシリーズの基本線として定着したといっていいだろう。
そして、傍らには、彼を好きだと思う、女たちがいる。今回は高田と万里のふたりがいて、なかなか良い感じだ。だが、万里の後ろめたい感じをもう少し描いていたら、最後の北城の死に際のセリフも生きてきた感じはするのだが・・・。この映画の中で見る限りは、80%は万里が勝をまだまだ愛しているというふうに見える。だからこそ、会いたいがために北城を動かしたというふうにも思われるが、そのあたりが観客にはよくわからない。
今回の悪役は安部徹。まあ、板に付いた悪役である。そして、最近は安部(漢字は少し違うが)という男が殺される映画はなかなか気持ちよかったりもする。安部徹が脇に出ている映画を特集してオールナイトでやったら結構、客を呼べるのではないか?だいたい、嘘つきで薄汚い役が多いのでシンクロしやすかったりもする。
今回の貰い役というか、印象的なのは村瀬幸子である。もう、十分おばあさんのこの当時だが、息子を殺した勝を最後は母親代わりにしてくれというなかなか泣ける役。勝の周辺の空気も知りながら、彼にしっかりとした意見も言えるなかなかできた女の役である。こういうベテランがしっかりした芝居をしていると本当に映画は締まる。
ラストは「座頭市よ何処へ行く?」という感じで終わっていく。ヒーローとして、またどんな悪事と対峙していくのか楽しみな感じはシリーズとして定着をした感触を持っている一編だ。
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新・座頭市物語
1963年 大映
監督:田中徳三 主演:勝新太郎、坪内ミキ子、河津清三郎、須賀不二男
シリーズ三作目で初めてカラーになる。やっと、これでシリーズ化という感じなのだろう。この映画で座頭市の居合の師匠がでてくる。そして居合を覚えたのは4年前のことということがわかる。その師匠の娘から結婚を申し込まれるというシーンがあったり、なかなかてんこ盛りである。座頭市という人間が、この映画でもひとつ明確になっていく感じはワクワクするものがある。
故郷に向かう勝と出会ったのは幼馴染の男だった。旧交を温めた旅籠に追い剥ぎがくる。勝は黙って金を出すが、次の日、その追い剥ぎの正体を突き止め金をすべて取り返してやる。座頭市があらわれたと、おうものもいた。勝に殺された男の弟(須賀)とその仲間たちだった。彼らに襲われそうになった時に勝の前に現れたのは、彼の居合の師匠(河津)だった。河津もその妹(坪内)も勝を暖かく迎えた。その間も勝を狙う須賀だった。だが河津は天狗党という盗人からたのまれ金策のために誘拐を手助けしていた。そんな、夜、坪内は結婚してくれないかと告白される。それに答え、気質になると誓う勝は、そこにきた須賀に「見逃してくれ」と頼む。そして、結果、サイコロで負けたら腕を斬っていいから、勝ったら見逃してくれと頼む。それに答える須賀。だが、サイコロは勝の言った目にはならなかった。須賀は賽の目を替えて勝を見逃してやるのだった。そんな須賀だったが、その夜河津に殺される。それを見てしまった勝は、誘拐事件のからくりを知り、天狗党を襲う。そして、その裏で誘拐された息子の父親を殺し、金をまきあげる河津。坪内はそれを見てしまう。勝はそんな河津に対峙し、師匠を斬るのだった。
座頭市というヒーローは盲ということもあるが、けして、勧善懲悪な中のヒーローではない。ただ、ヤクザの世界で汚い輩は許せないし、その世界から足を洗おうともがく感じは日本人の心をゆするに値するキャラクターであることは、この三作目でほぼ確立できているような気がする。
自分の師匠に裏切られるというような話もいつの世にもある話だし、結婚を誓うも、結果的にはそれが不幸をよんでしまうような因果な部分も心をくすぐる。すべてが、当時の現実の社会にもシンクロして書かれたものだったようにも見える。
そして、この三作を見る限り、座頭市はすこぶる優しいヒーローである。そして、人を斬るときにはいつも涙を流しているような心模様が見え隠れする部分が高度成長期の他のヒーローに対しひときわセンチメンタルな感じでもある。すべては、同化した勝新太郎のパーソナリティーにも思えてくる。
今回のヒロインは坪内ミキ子。少し、インパクトにかける。そして、ライバルとなる河津にしても師匠という設定とは言えいまひとつ役不足の感じがした。あまり、強さを感じないのだ・・。
そんな中で、兄の仇討のために勝を追いかける須賀不二男は貰い役である。憎い相手だが、気質になるという勝にサイコロ勝負で八百長で負けてやる男前の演技は、ただ悪いやつの役が多い彼の演技生活の中でもめずらしい印象的な役である。この映画での最高の見所といっていいだろう。
座頭市は、三作目で師匠を斬ることで、また先の見えない旅に出るというような設定となる。その旅路は勝自身の役者生活そのものになろうとは、この時にはもう意識していたのだろうか?
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続・座頭市物語
1962年 大映
監督:森一生 主演:勝新太郎、城健三朗、水谷良重、万里昌代、柳永二郎
正編の一年後、約束通りに死んだ天知茂の供養に帰る座頭市の周辺を描く。その旅の傍らに描かれる盗人の浪人(城健三朗=若山富三郎)が、最後に市の愛する人を奪って逃げた兄だったというサイドストーリーも含めて描かれる。市の肉親が描かれることで、ミステリアスな市の過去をもっと知りたくなる感じは嫌いではない。一作目に比べ、多人数との斬り合いがしっかり描かれるが、居合い斬りの殺陣は、舞台劇のようでなかなか演出が難しいという感じだ。映画の冒頭とラスト近くで、市が海に入る水中シーンがある。エンターテインメント性も考えた演出であろう。
勝は一年前に戦った天知茂の供養に彼が眠っている寺に向かっていた。途中、やくざに追いかけられるも居合の腕で追い払う勝。そのヤクザたちを斬り、盗みをする城がいた。城は勝を知っているかのように見ながら去る。ある宿場で殿様のあんまをまかせられる勝。しかし、その殿様は気がふれていて、その病気が勝の施術中に出てしまう。それを見られた傍らの侍が勝を消そうとするが斬られる。そして、勝はお尋ね者になる。居酒屋であった水谷は彼に興味を持つ。同じ居酒屋に城もきて、水谷を買おうとするが、水谷は勝と消える。水谷に勝は獲られた昔の女の話をきく。水谷は追ってが来る中、勝を逃がす。勝は、一年前にせわになった柳の組に現れる。そして、そこには勝を追ってきたやくざもいた。万里と再会し、天知の墓参りをすますとき、勝はやくざに囲まれていた。勝は居合で相手にしないが、そこに城がやってくる。勝に勝負を挑む城。城は勝の兄で勝は城に恋人をとられた過去があった。ふたりがもみ合う中、こんどはお尋ね者の城を追ってくるものたちが囲む。橋の上に逃げるとふたりは川に飛び込んだ。追ってたちは探すがみつからず。ふたりは坊主に匿われていた。だが、城は死に、勝はひとり柳の前に現れる。勝と城の悪口をいい歩く柳を一瞬に斬り裂く勝だった。
二作目は、最初から居合い斬りが船の上で行われ、勝は水にもぐり、泳ぎが達者のところを見せる。一作目では見せなかった座頭市の運動神経と過去がかいまみられる二作目である。そして、殺陣もある意味派手になりつつある。とはいえ、一瞬の技の連続でどちらかといえば舞台的なのが座頭市の殺陣である。
ラスト、柳を一瞬で斬り裂き、間髪入れず「完」の文字が出る感じは、座頭市ならではの演出という感じもする。なかなか格好いい。
今回のライバルは兄である城である。本当の兄で殺されるという設定は逆に若山富三郎にとってはあまりうれしいものではなかったのだろう。実際、大映時代の城健三朗名義の映画は本人もあまり前に出られず不遇の時期とされている。そういう意味でもあまり魅力的なキャラになっていない。
万里昌代が勝と再開するが、それよりも印象的なのは水谷良重である。この時期、大スターたちと多く共演している彼女だが、「悪名」も含め、勝とのコンビがもっともにあっている気もする。なにか、ふたりにはあっても全く不思議ではない臭いがするのがよい。
映画的には一作目より出来がいいとは言えないが、座頭市というキャラクターが観客に面白く思えてくる感じがわかる。ある意味、不確定で不完全なヒーローが生まれつつある感じが今見てもわかるのは、勝自身がそのキャラクターに力を感じ同化していっている感じからくるものなのではないだろうか・・・?
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