1965年 松竹
監督:桜井秀雄 主演:竹脇無我、香山美子、都はるみ、松山英太郎
都はるみのヒット曲の映画化。内容は瀬戸内の村の青年たちのもがきというところか。高度成長期らしい話で、地方の若者たちがさまざまに夢を膨らませていたことがわかる。しかし、結果的には映画の最後は澱んだ雰囲気で終わる。日本映画らしい脚本というやつなのかもしれないが、この雰囲気は今の日本にも残るようなもののような気がした。新しい時代を作るのに時間がかかるのがこの国のあり方だということである。
竹脇は東京の商船学校に通っているが故郷の瀬戸内に帰ってくる。妹の都は遊覧船のガイドをやっている。都が電報で竹脇を戻したのだ。なぜかといえば、竹脇が好きな香山が政略結婚させられることになったからだ。竹脇は花嫁姿の香山を見る。そして友人の松山と香山を奪い取ろうと計画する。しかし、香山はその前に姿を消すのだった。香山は都たちに匿われていた。竹脇は結婚相手(菅原文太)に直談判、結婚はごわさんになるが、竹脇は菅原の仲間にいためつけられる。竹脇は東京に戻り、香山も遊覧船で働くことに。そして、都も東京に出てきて野球場のウグイス嬢になる。そんな中、学校に手紙が送られてくる。竹脇のことを非難するものだった。竹脇は自分から学校を辞め、松山が勤めている運送会社に入る。しばらくして、そこに香山が訪ねてくる。菅原の嫌がらせが続き、船もとられてしまったという。竹脇は故郷に帰る決心をする。松山も一緒だった。船はなんとかとられずにすみ、松山と竹脇は漁師をやることにするが嵐の晩、松山は帰らぬ人となる。松山も香山を愛していた。そのこともあり、竹脇は外国船に乗る話を受けることにする。香山に「大きくなって戻ってくる」と言い残すのだった。
1965年当時の若者らしい話の気はした。根拠のない自信と怯えの中で、未来をうっすらみつめながらも高度成長期の世の中の流れに甘えている感じがよくでている。竹脇はその主人公としてはぴったりの感じではある。
香山は昨日書いた映画と同じ歳だから、21歳。まあ、一番美しい頃であろう。最初に花嫁姿で出てくるが、これは絶品である。そして、水着姿が二回出てくる。一度は競泳水着のようなワンピースで、二度目は水玉のセパレーツ。個人的には前者のほうがスタイルがわかって良い感じだ。若者たちが開放的になってきた時代だろう。この翌年にはビートルズがやってくるわけだから・・・。
都はるみは前年にブレイク、もっとも伸び盛りであり、なかなかここでは美人に見える。若さとはそういうものだ。そして、そのキャピキャピした感じと彼女の声のギャップがなかなか凄い。たぶん、当時もその辺がうけたところでもあるのだろう。
その都が東京に出てきて後楽園球場のウグイス嬢として働く設定である。映画に出てくるのは「巨人対大洋」お客さんはかなり入っている。そして、都が柴田は背番号12だという(まだV9最初の年である)。そして、ピッチャーの交代で宮田をアナウンスしている。まさに午後8時半の男の出番のシーンである。選手はアップで映らないが、当時の野球場の雰囲気はわかる。
このアナウンスの先輩役で桑野みゆきがでてくるが、彼女の存在感は他の俳優陣とは比べ物にならない感じだ。やはり、この映画自体は添え物の歌謡映画なのだなということがよくわかる。
そして、都はボクシングジムに住み込みしているようで、ゲストにファイティング原田、海老原博幸がでてくる。ボクシングも人気が高かった時代である。
話の芯になる、結婚破談からいじめに至る部分はよくある日本的な話だが、竹脇と香山があまり一緒にいることはないのであまり生腐く放っていない部分はよい。だが、松山との三角関係が最後のネタになっている以上その辺がうまく描かれていないのは消化不良の感じではある。
結婚を破断にされる男は菅原文太。彼の松竹時代のさえない役のひとつとしてわかりやすい。結局、彼は松竹では新東宝の菅原文太でしかなかったのだろう。ここで終わっていたら、「仁義なき戦い」は存在しなかったと思うと本当に松竹は・・・?と思うのではあるが・・・。
ラスト30分は松山が死んで、とってもみなが暗くなったままの映画。こういう描き方を日本映画的という方もいるとは思うが、わたしに言わせればただのへたなだけだと思う。
まあ、都はるみの歌謡映画です。そんな一作です。
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