日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために -32ページ目

日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために

日本映画をひとりの男が見続けます。映画はタイムマシンです。そういう観点も含め多様な映画を解説していきます。範疇は作られた日本映画全てです。

馬鹿っちょ出船
1965年 松竹
監督:桜井秀雄 主演:竹脇無我、香山美子、都はるみ、松山英太郎

都はるみのヒット曲の映画化。内容は瀬戸内の村の青年たちのもがきというところか。高度成長期らしい話で、地方の若者たちがさまざまに夢を膨らませていたことがわかる。しかし、結果的には映画の最後は澱んだ雰囲気で終わる。日本映画らしい脚本というやつなのかもしれないが、この雰囲気は今の日本にも残るようなもののような気がした。新しい時代を作るのに時間がかかるのがこの国のあり方だということである。

竹脇は東京の商船学校に通っているが故郷の瀬戸内に帰ってくる。妹の都は遊覧船のガイドをやっている。都が電報で竹脇を戻したのだ。なぜかといえば、竹脇が好きな香山が政略結婚させられることになったからだ。竹脇は花嫁姿の香山を見る。そして友人の松山と香山を奪い取ろうと計画する。しかし、香山はその前に姿を消すのだった。香山は都たちに匿われていた。竹脇は結婚相手(菅原文太)に直談判、結婚はごわさんになるが、竹脇は菅原の仲間にいためつけられる。竹脇は東京に戻り、香山も遊覧船で働くことに。そして、都も東京に出てきて野球場のウグイス嬢になる。そんな中、学校に手紙が送られてくる。竹脇のことを非難するものだった。竹脇は自分から学校を辞め、松山が勤めている運送会社に入る。しばらくして、そこに香山が訪ねてくる。菅原の嫌がらせが続き、船もとられてしまったという。竹脇は故郷に帰る決心をする。松山も一緒だった。船はなんとかとられずにすみ、松山と竹脇は漁師をやることにするが嵐の晩、松山は帰らぬ人となる。松山も香山を愛していた。そのこともあり、竹脇は外国船に乗る話を受けることにする。香山に「大きくなって戻ってくる」と言い残すのだった。

1965年当時の若者らしい話の気はした。根拠のない自信と怯えの中で、未来をうっすらみつめながらも高度成長期の世の中の流れに甘えている感じがよくでている。竹脇はその主人公としてはぴったりの感じではある。

香山は昨日書いた映画と同じ歳だから、21歳。まあ、一番美しい頃であろう。最初に花嫁姿で出てくるが、これは絶品である。そして、水着姿が二回出てくる。一度は競泳水着のようなワンピースで、二度目は水玉のセパレーツ。個人的には前者のほうがスタイルがわかって良い感じだ。若者たちが開放的になってきた時代だろう。この翌年にはビートルズがやってくるわけだから・・・。

都はるみは前年にブレイク、もっとも伸び盛りであり、なかなかここでは美人に見える。若さとはそういうものだ。そして、そのキャピキャピした感じと彼女の声のギャップがなかなか凄い。たぶん、当時もその辺がうけたところでもあるのだろう。

その都が東京に出てきて後楽園球場のウグイス嬢として働く設定である。映画に出てくるのは「巨人対大洋」お客さんはかなり入っている。そして、都が柴田は背番号12だという(まだV9最初の年である)。そして、ピッチャーの交代で宮田をアナウンスしている。まさに午後8時半の男の出番のシーンである。選手はアップで映らないが、当時の野球場の雰囲気はわかる。

このアナウンスの先輩役で桑野みゆきがでてくるが、彼女の存在感は他の俳優陣とは比べ物にならない感じだ。やはり、この映画自体は添え物の歌謡映画なのだなということがよくわかる。

そして、都はボクシングジムに住み込みしているようで、ゲストにファイティング原田、海老原博幸がでてくる。ボクシングも人気が高かった時代である。

話の芯になる、結婚破談からいじめに至る部分はよくある日本的な話だが、竹脇と香山があまり一緒にいることはないのであまり生腐く放っていない部分はよい。だが、松山との三角関係が最後のネタになっている以上その辺がうまく描かれていないのは消化不良の感じではある。

結婚を破断にされる男は菅原文太。彼の松竹時代のさえない役のひとつとしてわかりやすい。結局、彼は松竹では新東宝の菅原文太でしかなかったのだろう。ここで終わっていたら、「仁義なき戦い」は存在しなかったと思うと本当に松竹は・・・?と思うのではあるが・・・。

ラスト30分は松山が死んで、とってもみなが暗くなったままの映画。こういう描き方を日本映画的という方もいるとは思うが、わたしに言わせればただのへたなだけだと思う。

まあ、都はるみの歌謡映画です。そんな一作です。


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調子のいい奴 いたずらの天才
1965年 松竹(製作:松竹、マナセプロ)
監督:二本松嘉瑞 主演:坂本九、香山美子、谷幹一、三原葉子、桂小金治

坂本九主演のサラリーマンものである。調子のいい男の話は植木等のそれのパクリにもみえるが、そんな爽快感はないし、狙った彼女を最後のものにできないのはダメだろう。香山美子がここではなかなかいい女なだけに残念。というか、松竹という土壌ではサラリーマンものがうまくいかないことがよくわかる。

坂本は調子の良い男であった。学生の時に街で見かけた香山にウィンクされ、彼女のいる会社に入ることを決める。そして無事入社。しかし、彼女は彼を覚えておらず、興味もないと言われる。会社をやめようと思うが、鬼係長(谷)の存在でやる気を出す坂本。しかし、調子よくサラリーマン生活を続け、香山にアタック、デートしてもらえるようになる。谷はそれをよくおもわずに無理な書類の整理をさせようとしたりするが、坂本はうまくこなしていく。そのころ外国との大取引がありライバル会社と争っていたこの会社。谷は、神戸にその接待役で坂本をいかせることにするが、香山と離れたくない坂本は交通事故だと嘘をつき、谷を代わりに行かせてしまう。だが、この神戸行き情報はライバル会社が流した嘘で、谷は行方不明になる。坂本たちは警察を使って谷を探すと、彼は芸者(三原)と熱海にいた。そこに取引先の社長がくるという情報があったのだ。しかし、それもライバル社の桂が流した嘘。桂は着々と取引の結果をだそうとしていた。そして、その傍らで課長(穂積隆信)が書類の横流しをしていたことも発覚。谷と香山もつれて坂本はライバル会社に潜入、無事に書類を取り返す。そんな夜、坂本と谷は桂が外人の女と食事をしているのを発覚!その席をめちゃくちゃにしてしまう。次の日、その女が取引の関係者だとしり大慌てするが、取引先の社長(E.Hエリック)は坂本のユーモアを気に入り、東京見物を一緒にしてくれという。結果、合格、無事取引が成立する。そして、坂本は谷を飛び越えて課長になることになるが、それではやる気がおきぬと谷を課長にし、自分はその下で働くことにする。もちろん、香山へのアタックは継続中である。

坂本九の映画にしては結構とがっている。いたずら好きの坂本九というのは、新しい路線を作ろうと考えたのだろうか?ギャグを受ける相手が谷幹一であり、そういう意味ではそこそこにおもしろいが、爆発しない映画なのはしかたないのか?

最初に、日比谷公園でジェリー藤尾のおまわりさんとベンチで寝るなという問答をするところが最も面白かったりするのは、この映画のすべてを語っている感じだ。そう、最初のギャグの羅列は、「ゲバゲバ90分」的なスピード感があり、全編これでいいという感じもするのだが、10分もすると松竹のスピード感になるのは残念だ。

監督の二本松は本数は撮っていないが、「宇宙大怪獣ギララ」を撮った監督である。ある意味、路線違いのものをあてがわれたということなのだろう。

冒頭で出てくるギャグ以外で、おもしろいのはE.Hエリックが握手をすると手が抜けるといったベタなものだけである。デートの時に噴水に洗剤がこぼれて泡だらけになるとか、機密書類を奪うために、タイピストをトイレにいかせないとかいうギャグは作っている方は面白いと思ってる感じがするがそれほどでもない。当時はどうだったかわからないが、今見ると微妙に観客が置いてきぼりにされている感じだ。

そういう意味では、見所はなかなかスタイルのいい香山美子か?とはいえ、色っぽいシーンもないので残念。ただ、彼女自体は、コメディを演じるのを楽しんでいるようにも見える。

東京の街はオリンピックの翌年である。まだまだ発展途上の東京の風景だが、このくらいでいい気はする。高いビルがないのはなにかさっぱりしていて落ち着く。開通して1年たっていない新幹線が出てくるが、車両が綺麗な0系は実に光っている。夢の超特急だったことがよくわかるカラーの絵である。

坂本九の映画の中では、たぶん最も見る機会がない映画かもしれないが、彼の歌があまり売れなくなった頃の映画として貴重である。だから、中で歌われる歌を、私はまったく知らなかった。そういう意味で、彼の方向転換をはかろうとした映画なのだろうなと思うわけであります。

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赤い夕陽の渡り鳥
1960年 日活
監督:斎藤武市 主演:小林旭、浅丘ルリ子、宍戸錠、近藤宏、大坂志郎

渡り鳥シリーズ第4作。舞台は会津であるらしい(あまり詳しくは説明されていない)。とはいえ、新幹線の通る今とは全く違う福島駅がでてくる。話は牧場を通るバス道路とそれに付随する湯元の権利をめぐってのいやがらせからの解放する話。もうこれで、だいたいの流れは想定できるという感じだろう。シリーズはかなり安定した感じになっていて、特質すべきは浅丘ルリ子がめちゃくちゃ綺麗なところである。この人、すごくわかりやすいのだが、恋する時の映画は綺麗なのだろうと思う。

旭は子供(島津雅彦)が崖から落ちているのを助けたが、一緒に下に落ちてしまう。そこに来たのが錠で、縄を落として助けるものの、旭の馬を獲っていってしまう。旭が錠に再度会うのは焼かれたと思われる小屋の前だった。錠は牧場の人たちに犯人扱いされていた。旭は錠の潔白を教え馬を返してもらう。その夜、キャバレーで旭は錠とカードで勝負することに、錠はいかさまでかせいでいた。錠はキャバレーのマダム(楠郁子)がボスを裏切って逃げたのをおってきたのだった。その楠は今はキャバレーの支配人の近藤のもとにいた。旭は牧場の娘(浅丘)にバス道路の計画があり、近藤達が牧場を荒らして湯元の権利まで獲ろうとしているのを聴く。浅丘は自分の誕生パーティに旭を誘う。パーティーは華やかに開かれたが、裏で近藤が牧場の女(白木)をゆすっていた。錠はそれを見て、白木が東京でストリッパーだったことを思い出す。錠も白木をおどす。そんな中、近藤の手下がパーティーを襲う。旭は近藤のバックにいる資産家の大坂に話をするが埒があかなかった。そして、近藤は殺し屋(深江章喜)を雇いまずは錠を殺しに掛かり、成功したとみるや、すべての計画を知っている楠を殺し、大坂も裏切って殺し暴走を始める。そして、浅丘を拉致し旭を誘うい出す。旭が近藤を追い詰めるとそこに深江がナイフで助太刀し、旭の危機一髪となるが、そこに死んだと思われた錠があらわれアシスト。無事に近藤たちを全滅させるのだった。そして、バス道路が開通するその日、旭は島津をつれて街をでていくのだった。

作られた1960年は高度成長の入口で、こういう道路の利権問題などはあちこちにあったわけで、そういう身近な話とドンパチのアクションを組み合わせたおもしろさというのはあったのだろう。しかし、いくらなんでもこの時代にこんなに殺し屋がうろうろしていたわけではない。そして、拳銃も自由に持てることはなかったので、そのあたり、若い人は信じないようにしていただきたい。

しかし、ラスト道路ができて終わりになるが、悪党を殺して道路ができるまで、どう考えても1年はかかるような気がするのだが、旭はその間ここにいたののだろうか?そう、時間軸がラストだけおかしい。そして、ここでは旭が子供の面倒をみることになっているのだが、かなりいいかげんな脚本である。まあ、そんな細かいことどうでもいい作品ではあるのだが・・・。

タイトルがいままでの筆記体の手書き文字から、ちょっと格好いいレタリングの文字になっている。渡り鳥の映画が出世した感があるのだ。そして、映画の内容もまあ安定していて、錠の旭に対するスタンスもわかりやすくはなってきている。冒頭の方で二人でカードさばきを競うようなシーンがあるが、二人共自分でこなしているのだろう、カット割の妙もあるが、なかなか見せてくれる。

そして、もうひとりでてくる殺し屋の深江がなかなかふたりとは違った味を加え、最後に向かうにつれ、アクションの仕込み方はなかなかスピーディーでこなれた感じの作品に仕上がっているのは好感が持てる。

白木マリは今回は牧場で働く娘だが、東京でストリッパーをやっていたという設定で、ちゃんとダンスシーンもし込まれている。当時、彼女のダンスのファンもいたのだろうか??いたんだよな、これだけ似たような場面がよくでてくるんだから・・・。

そして、先にも書いたように、ここでの浅丘ルリ子は艶やかだ。誕生日パーティーのシーンのおめかししたシーンを筆頭に、なかなかファションも楽しめる。旭との一緒のシーンも多く、恋心がはっきりと描かれているのは前作までとは違う触感である。

とはいっても、ここまで作品見続けるとすべてがまじってくるシリーズですがね。

ラスト、浅丘が旭をおいかけて福島駅に来る。ここで、当時の福島駅舎の全景がでてくる。すごい雰囲気のある駅舎である。走る蒸気機関車とともに、とても貴重なシーンだと思われる。

渡り鳥シリーズ、残りの5作品はまたの機会に・・・。

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