日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために -20ページ目
嗚呼!!花の応援団 役者やのォー
1976年 日活
監督:曽根中生 主演:井上治之、香田修、深見博、なぎらけんいち、宮下順子
シリーズ第二弾は、1977年の正月映画。これも日活としてはかなりのヒットをした作品である。なぎらけんいち演じる、薬痴寺先輩というキツいキャラが加わり、地獄の合宿中心にこれもなかなかバランスのよい一作に仕上がっている。主人公の青田は、一作目と役者が変わっているのだが、あまり違和感はない。というか、こんな風体の男をふたり連れてくるのは大変だと思うのだが、ある意味、時代の奇跡なのかもしれない。
応援団に入りたいというペロペロキャンディーをなめる新人が入ってくる。彼が暴力団の息子としり、いうことを聴く4回生たち。そこに青田赤道(井上)がやってきて、彼を噛むのだった。案の定、父親の親分(山本麟一)が現れるが青田は褒められ一件落着。そんな事が冷めぬうちに薬痴寺先輩(なぎら)が現れ、シゴキ地獄が始まるのだったが、青田にはそれも通じなかった。そして恒例の地獄の合宿。一回生はしごきに続き、食事の準備。夜食に刺身だステーキだといわれ現地調達させられ、流石に嫌気が差し逃げ出そうとするが、結果的にはみな捕まってシゴキは倍化。そこに先輩(龍虎)が井上をつれやってくる。最後の日、龍虎が無礼講と言って始めた宴会も、最後はしごきから喧嘩に変わり、井上が暴れることに。帰って、井上はいれあげるキャバレーの女(宮井えりな)に母の手術で百万円が足りないと言われ、大団旗を質に入れるという暴挙を行う。宮井は喜んでくれるが、後日、彼女は男とホテルに入るのを見て、潜入した井上は騙されたことを知る。また、一回生は帰ってきてストリップにいき、泉北大と喧嘩になる。これも、前に井上が相手に喧嘩で火をつけた結果だった。そこで、深見はストリッパー(片桐夕子)にひろわれ、彼女のドサ回りについていくことになる。それぞれに忙しい中、泉北大とのラグビーの試合は応援団同士の喧嘩になり盛り上がる。しかし、そこで大団旗がなくなっていることがバレル。井上は香田をかたに旗を質からとりもどし難をのがれる。結果的には龍虎がたのんだ井上の最愛の女(宮下順子)がお金を出してくれるのだった。ラグビーの試合当日、南河大がボロ負けしている中、突然、井上が試合に入り、大逆転をする。そこには、深見も姿を現し、新たな応援団の生活が繰り返されるのだった。
薬痴寺先輩を演じるなぎらけんいちの怪演もあり、一作目をボリュームアップした感じのシリーズ第二弾に仕上がっている。ここでは、一作目以上に主人公の青田は応援団にいない。キャバレーの宮井えりなに入れ込んでいるということで、応援団そっちのけだが、最後は大学のために体を張るというヒーローになっている。まあ、日頃はのんべんだらりで、やるときにはやる的な文化は多分にこの頃の若者にシンクロしていた気がする。(私の高校の友人にもこんな奴がいたからそう思うのだが・・・。)
青田が恋する宮井は当時のロマンポルノのNO2といったところ。知的な美女で私も好きだったが、ここでは最後に青田に裸で逆さ吊りにされるという扱い。少しかわいそうな感じである。
それにひきかえ、深見を誘いかわいがるストリッパーの片桐夕子はなかなかいい女に描かれている。彼女の雰囲気にとてもあっている役であり、深見が彼女にはまっていく感じもよくわかるのがよい。
今回も二回生小林役の野崎英則が怪演。酒に酔ってなぎらを罵倒するシーンはなかなかおもしろい。このキャラクターは実にこのシリーズの中で重要な味になっている。
女に振り回される団員たちも、最後は皆戻ってくる。ある意味、熱い青春映画として成立していることが、この映画の成功している起因だろう。たぶん、脚本の田中陽造がえがきたかったのもそのへんにおもえるのだが、どうだろうか?とにかく、この時代を生きたものにはとてもなつかしい空気感を思い出すシリーズである。
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嗚呼!!花の応援団
1976年 日活
監督:曽根中生 主演:今井均、香田修、深見博、宮下順子、水原ゆう紀
曽根中生監督が8月26日に亡くなった。2011年に久しぶりに顔をみせ、元気な姿にまた映画を撮るのかと思いきや、新作を見ることはできなかった。しかし、遺作が「フライング飛翔」だったとは、驚いた。(この映画、競艇を描いたものだが、もう一度見たいトンデモ映画である)。そして、何を書こうかと考えたが、やはりこれだろうということで、彼の一般映画初演出作「嗚呼!!花の応援団」三作を続ける。彼はロマンポルノで光った監督であったことは間違いないが、その勢いのまま、この一世風靡をしたマンガ原作を映画作品として成功させたのは見事だった!
南河内大学に入学した香田と深見は、無理やり応援団に入れられてしまう。親衛隊長の青田赤道(今井)によって川に落ちた大団旗を虫干しするふたり。そんな中、浪速大に喧嘩をしかけたものがいて襲って来るという情報が入る。停学中の今井と一緒に浪速大に様子を見に行く香田と深見。だが、その間に浪速大が襲ってきて団長ほかは傷だらけ。そんな中、無傷のふたりはまたは旗の虫干し。しかし、そこで大切な大団旗に焼き焦げの穴を作ってしまう。たまたま近くで婦警(伊佐山ひろこ)とSEXしていた今井を団旗に寝かせ、彼のせいにする。そこで、今井は団旗をなんとかするために、浪速大に喧嘩を売ることにする。そして大勝し、彼らの団旗を奪い、自分たちの旗の負傷も彼らのせいにして一件落着。そんな中、野球部が活躍し応援団の出番になるが、今井が停学になり団旗をもつものがいない。みなで試した結果、香田がその役目。今井の応援もあり、なんとか試合をもたせ、彼らはひとつ箔がついた。そんな中、今井は父の妾(宮下)がでていくという話に荒れていた。香田が飛田で女(水原)を助けてやくざにやられそうになっているところに出会う今井はやくざをやっつける。香田は水原を好きになるのだった。そして、駅伝大会。先輩の龍虎が今井の停学をとき、彼が晴れて大団旗をはることになるが、その日は、宮下が結婚ででて行く日だった。今井は団旗を引っさげて頑張るが、途中でそれを運ぶトラックがパンクする。必死で人力で旗を運ぶ今井たち。龍虎はラストランナーに今井にいけという。今井は、言われたとおり走り、逆転優勝。そして、そのまま宮下のもとに走るが、そこには宮下のおき手紙があった。香田は水原の店にいく。しかし、水原はそっけなく香田を追い払う。窓越しにエールを送る香田だった。そして、南河大応援団は今日も活動するのであった。
曽根監督の最も脂の乗ったときに作られたヒット作である。当時、私は高校生だったが、応援団のマンガ本は教室をかけめぐっていた。少しハレンチな大阪の青年まんがは広範囲の層をとらえ、その原作に映画的な迫力をしっかりいれて作り上げられたのがこの作品だ。
ここには、日活お得意のアクションあり、青春あり、恋愛あり、なかなか幅広い中で、バランスのいいエンターテインメントとして仕上がっている。それもあり、この年のキネ旬ベストテンの第7位である。ちなみにこの年の1位は「青春の殺人者」。5位に「犬神家の一族」がいたりする。そんな中で公開されたヒット作なのである。
まずはアクション。ロマンポルノデビューとはいえ、日活育ちがよくわかる感じのアクションである。たぶん、浪速大との喧嘩のシーンは鈴木清順の「けんかえれじい」をモチーフにしているのだろう。肥をかけるところなどよく似ている。そして結果的に主人公が停学になるのも同じである。
そして、先輩後輩の応援団の無理な仕打ちが泣かせるし、笑えるのがよい。私が好きなのは二回生の小林(野崎英則)が靴磨きを無理にさせられ、先輩にタバコを買って来いと手書きの金券を持って走るところである。かなりベタなギャグだが映画で本当にやるとかなり笑えるし、その後、部室のジョニ黒を飲み干し、大団旗を持とうとして病院に入ってしまうまで、彼はこの映画の主役であったりもするのがよい。
とはいえ、この話をうまくつなげるのは、一回生の香田と深見である。この映画の後は映画では深見の方が出世するのだが、ここでは香田が主役だ。なんせ、大団旗を青田に変わって持つ役なわけだから・・・。そして、香田は箔を付け、飛田の遊女に惚れる。彼女役の水原ゆう紀はここでは脱いでいないが、後に曽根中生監督の「天使のはらわた 赤い教室」にでるのは、この映画があってのことだろう。なかなかカワイク強気の女をよく演じている。
女としては冒頭の方で青田にヤラれる婦警役の伊佐山ひろこが裸のサービス係である。SEXのあと、桜田淳子の「夏にご用心」を歌って帰るところは、時代を感じる。そう、この原作がブレイクしたのは花の中3トリオとリンクしているのだ。
そして、青田の初めての女でもあり、彼から離れて行く父の妾役の宮下順子はぴったりの役。彼女がもっとも綺麗な時でも有り、なかなかこの映画の花となっている。こういう品があるかないかという狭間を演じさせたら彼女はピカイチだ。
ラストは青田が駅伝のアンカーになり逆転勝利という若大将的な展開。これはこれでもりあがる。そのあとに青田の失恋が有り、一回生の香田の失恋がある。まさに青春映画として終わっているのもなかなか憎い流れである。
東映で鈴木則文がとったら、かなりえげつない映画になっただろう題材を、日活らしくまとめた手腕は曽根のチカラではあるが、田中陽造の脚本が見事だった部分もあると思われる。それをほとんど素人キャスティングでこなしたところ、たまたまかどうかはしらないがうまくパワーに変わったのがこの映画が成功した理由であろう。
久しぶりに見て、先輩役で龍虎がでていたのに少し驚く。時、同じくしてなくなっていったが、天国で監督に「あの時はどうも」とかいっているのだろうか・・・?この場を借りて両者のご冥福をお祈りします。これは、両者の代表作と言っていい作品であります。
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きみに届く声
2008年 エイベックス・エンタテインメント、LDH
監督:塩谷俊 主演:眞木大輔、戸田菜穂、杉本哲太、寺島咲、西岡徳馬
気分がイマイチでまた休筆していましたが、思い直し再開です。その間、曽根中生監督がなくなったり、昨日は山口淑子さんが亡くなられたりと、書かなくてはいけないことが多くあるなと思ったりもしておりますが、まずは休筆中に見た映画からです。
渡辺淳一原作「少女の死ぬ時」の映画化。この題名だと結果がわかってしまうから題名を変えたということもあるのだろう。企画としてはEXILEのMAKIDAIの主演作として売られたものであろう。しかし、その眞木大輔のつたない演技が映画をかなりダメにしている。そんなダメな眞木が医者として再起をかけてやってきたやってきた島で結局はあまり成長できずに、また成長するために旅立つ話であり、そういうことも含めあまり眞木にシンクロもできなかったし、将来的にも彼にあまり期待できない感じがとても危うい話である。
眞木は東京で外科手術におびえ自信をなくし、島の診療所にやって来る。若い先生が来たと、島の老人たちが彼をめざして診察に来たり、穏やかな日々が始まる。そんな島の少女(寺島)と話すようになる眞木。彼女は海にイルカがやってくるという。彼女は看護師(戸田)の妹だった。そして、彼女が思い心臓病をかかえているのを知る。そんな診療所に急患がやってくるが処置ができない眞木。怯える彼を遮って手術をしたのは新しく来た医者(杉本)だった。杉本は眞木を罵倒する。そんな杉本も患者を死なせ訴えられた過去をもっていた。そんな中、なんとか寺島の心臓を直そうと勉強しだす眞木。そして、イルカに出会う時が来る。寺島にもはげまされ、医者として頑張ろうと思う眞木だったが、寺島が急に倒れる。杉本と眞木は必死で彼女を生き返らせようとするが、声は届かず、彼女はなくなっていく。眞木は島を離れやり直そうと誓う。戸田にはまっていてくれというのだった。
渡辺淳一の原作の映画もまとめて書こうとは思っているのだが、エロティックな題材が多いので、そういう趣旨の話になると思われる。それに対し、彼がこういうものも書いていたのかと思わせる、なかなか洒落た短編というところなのだろう。だが、たぶん、映画にするには難しい題材だ。なんせ、話はハッピーエンドではない。そして、主人公の医者も目に見える成長はしないというドラマだからだ。
そして、MAKIDAIが演技者としてはなっていないので、あまりにもかよわい医者という感じで、こちらがシンクロしにくいというのはちょっと悲しいところである。たぶん、主役を違うまともな役者がやっていたら、20点くらいは評価が上がっていただろう。
結構、道具は揃っているのだ。少女との会話、イルカ、同じような過去を持つが自分とは真反対の医者との対峙など、そこをうまく描ければ、それなりにいい映画になった感じはする。
監督は、遺作の「種まく旅人 みのりの茶」をこのブログでも褒めたことのある塩谷俊。彼は、各役者たちの細かい心の機微をつみとるような演出をする。ここでも、その点は方向性は同じなのだが、眞木がすべてを壊してしまった感じである。やはり、棒よみの役者はやめていただきたい。まあ、彼の出演のみがこの映画を作った理由だろうし、そこに文句をいってもしかたないのだが、監督も困ったことだろう。
離島の昔ながらの暖かさに支えられ、その自然の大きさに自分の小ささを思い知らされ、そして人の思いの儚さを知り、医者は島をさるわけだが、そこには「逃げる」というニュアンスを感じてしまうのは私だけではあるまい。杉本との医者としての違いというメッセージもいまひとつ尻切れトンボであり、私を感じさせるまでにはいたらなかった。
結果的には、アイドルを使ったつたない一篇になっているのは、ちょっと辛いという感じだ。しかし、興味がないからだが、EXILEを役者としてよいとは全く思わないのは、私の偏見なのでしょうか??イカさないのですよね、本当に。
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