日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために -19ページ目

日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために

日本映画をひとりの男が見続けます。映画はタイムマシンです。そういう観点も含め多様な映画を解説していきます。範疇は作られた日本映画全てです。

不良番長 出たとこ勝負
1970年 東映
監督:内藤誠 主演:梅宮辰夫、谷隼人、大信田礼子、山城新伍、待田京介

シリーズ第8作。これも、万博開催中の8月の封切り。万博で来日の外人に谷が化けるという設定が入るが、直接万博は出てこない。あくまでも東映東京作品である。舞台は目色を変えるためだろうか、福島県の磐梯熱海。とはいっても、話の流れはいつもの通り。最後は梅宮、谷以外は皆死んでいく玉砕世界である。しかし、この頃の福島はまだまだ茶色の車両が走るど田舎である。

梅宮率いるカポネ団は、日頃の鬱憤が貯まり、安部徹率いる暴力団に殴り込みを挑むも、相手の防備の凄さに驚き逃げ出す始末。しのぎを探して地方にバイクを走らせる。そして、来日中のアメリカ財閥に谷の顔がそっくりなのをいいことに、彼になりすまし福島の温泉に。そこでミスサウナを選び、日米親善をするという詐欺をはたらき一山当てようとするが、コンテストまではうまくいくものの、テレビに本物の財閥が映ってすべてがばれる。そして、そこには安部たちもきていて、梅宮たちは退散!途中で昔のダチの待田に助けられ、島にたどりつく。そこには徳川埋蔵金をほっている老人がいた。安部たちはその島も測量をし、なにかをたくらんでいた。埋蔵金を掘るのを手伝う梅宮たちだった。その老人の娘はミスサウナに選ばれた大信田で、そちらも狙うのだったが、老人も安部たちに殺される。そして、埋蔵金の発掘現場からは温泉が吹き出すのだった。梅宮たちは安部が開催するオートレースに紛れ込み、彼らに殴りこみをかける。待田も加勢するが、結果的には梅宮と谷だけが生き残り、暴力団退治は完了。すべては終わる。

冒頭はここではカポネ団の団結シーンからはじまる。場所は新宿中央公園。バックには建てかけの京王プラザホテル。まさに、1970年の絵面である。私はこのころ、小学生だったが、この絵面はよく覚えている。まさに、日本が暴走しだす時である。

そこに、学生紛争が終わり、ある意味、カポネ団のような愚連隊は実際はあまりいなくなった頃ではないかと思うが、映画の中ではまだまだ元気であり、東映映画のそれは思想よりもエロと金という点ではわかりやすい。そして、それを率いる梅宮が欲望のために戦う姿に気持ちよかった客は多いのだろう。

そして、ここではアメリカのVIPになりすますという、今のような情報社会では絶対に無理だろうというお遊び。(キイハンターなどではこういう話が多かった気はする)まあ、この当時の福島はど田舎だし、こんなことがあっても不思議ではなかったかもしれない。万博の年だから、この頃まではありえた話だろう。(万博の時は外人ならサインをもらった時代である)

そこに今もみつけられない徳川埋蔵金などもからみ、まあシリーズとしてみれば、これも及第点の一作である。

出演者では、安岡力也が新登場だが、あまり存在感はない。そして、菅原文太の代わりの待田京介もいまいち弱い感じ。シリーズの中でマンネリと持続がつらい時期に入ったということなのかもしれない。

不良番長 出たとこ勝負 [DVD]/梅宮辰夫,谷隼人,渡瀬恒彦
¥4,860
Amazon.co.jp
不良番長 一獲千金
1970年 東映
監督:野田幸男 主演:梅宮辰夫、谷隼人、山城新伍、大信田礼子、菅原文太

不良番長シリーズ5作品を続ける。まずはシリーズ第7作。6作目までで、基本的なテーストが仕上がっていてこのくらいになるとカポネ団もなかなか社会の利権相手に真っ向から立ち向かう感じもあり、映画自体はなかなか爽快感がある。この映画でも最後の銃撃戦はなかなか見せ場になっているし、ラストはヘリコプターで逃走というのもお金がかけられるような安定シリーズになっている感じである。

梅宮と谷は競馬場で一獲千金を狙っていた。しかし、梅宮が狙った大穴を谷が当たるわけないと買わずに、ふたりはオケラに。帰ると梅宮の女でトルコで働いている大信田に文句をいわれる。彼女の体をマッサージするうちに、女性専門のマッサージ屋を考えつきこれが当たる。そこに絶倫のヒモ男(山城)が女をとるなとなぐりこんでくる。山城の提案で女子寮でトルコのスカウトを行いこれも当てるが、暴力団に目をつけられる。そこには梅宮の旧友の菅原もいた。とりあえず引き下がり帰ってみると部屋がコソ泥に荒らされている。隠れていたコソ泥(鈴木やすし、団巌)も仲間に入り、愚連隊が集結。そこで、MHKの受信料集金のおやじ(田中春男)からそのカバンをひったくり、ニセの受信料徴収をはじめるのだった。そして、追いかけてきた田中も仲間に加わる。大信田は生活を荒らされおかんむり。そんな中、谷が知り合った女(夏珠美)が暴力団と造船会社の癒着の証拠になるテープを奪い、それを知った梅宮は大勝負のゆすりに出るが、大信田がテープを追うやつらに殺されてしまい弔い合戦になる。そんな中、夏は造船会社の社長(山本麟一)の娘であることがわかる。梅宮たちを追い込むために、夏はリンチにかけられる。そして仲間も殺される。造船会社のパーティーの席上にバイクで乗り込む梅宮たち。物量で危ういところを空からヘリコプターで加勢する菅原がいた。銃撃戦の末、梅宮、谷、夏だけが生き残る。警察の来る前にヘリコプターで逃亡する三人だった。

不良番長らしい話である。封切りは1970年の4月18日。ちょうど、日本が大阪万博で盛り上がっているところだが、そういう臭は一切しない。あえて時代を感じるのが和田アキ子が出演しているところだろう。この映画、彼女の映画デビュー作である。5月2日には日活で「女番長 野良猫ロック」が封切られている。似たような集団抗争劇の中で和田はイメージがぴったりだったのだろう。ここでも一曲歌っているがなかなか雰囲気がある。

ほかの部分は、シリーズの中ではそれほど破綻することもなく、なかなかまとまりはいい一篇である。レギュラーである夏珠美がサーカスで育ったということでアクションをみせているのはなかなか見所ではある。彼女が敵の娘だったという流れは新しい。リンチシーンも演じさせられ、体を張ってシリーズに溶け込んでいるのは、まあ東映らしい。

メインのヒロインは大信田礼子ということなのだろうが、こちらは途中で殺されてしまうし、アクションもそこそこ披露はしているのだが、いまひとつ印象が弱い感じに映った。

カポネ団の面々がここでやる商売は、マッサージ屋にトルコ嬢のスカウト。まあ、受信料の徴収詐欺というのは新しいが、タイトルにある、一獲千金には程遠い商売である。ここで、最初にその集金人として出てくる田中春男がなかなかいい味を出している。まあ、NHKのおじさんのイメージは私もこんな感じである。

敵は須賀不二男や中田博久など、まあそれなりの面々がそろっているし、ラストの銃撃戦も派手派手しくここちよい。シリーズ中盤の安定期の一篇だ。

不良番長 一獲千金 [DVD]/梅宮辰夫,谷隼人,大信田礼子
¥4,860
Amazon.co.jp
嗚呼!!花の応援団 男涙の親衛隊
1977年 日活
監督:曽根中生 主演:本間進、陶隆司、宮下順子、神戸誠、なぎらけんいち

シリーズ3作目の最終作。またもや主演の役者が変わる。1.2作で4回生を演じていた本間進が青田赤道に抜擢。これがこの映画のパワーをすこぶる落としている。ある意味、奇っ怪な前作の赤道に対し、本間は顔が整いすぎていて、おもしろくないのだ。芝居ににもなにかテレがあり青田赤道の偽物みたいにみえるのがいけない。そして、いままでの見せ場だったシゴキと応援風景がないため、どうもスピンオフの一作にみえてしまったりもするのだ。それなりにまとまってはいるが、パワーが落ちて、ブームも終わり、シリーズが終焉になったのがよくわかる一作だ。

応援団は外から桜を斬ってきて学内で花見のシーズン。そこでは、一回生がセミにさせられ、木の上から飛ばされるという荒療治が行われていた。そんな頃、青田(本間)のところには父(陶)からミス日本の見合い写真が届き、ニヤニヤ。そして、黒メガネの男に追いかけられているのに気づき、てっきり探偵だと思い、喧嘩も控える本間だった。浪速大の団長(神戸)が仕掛けても適当にいなす本間。黒メガネの男は家の中まで除くが、彼は精神病院から逃げた醜悪人間愛好家だった。同じくしてお見合いがおじゃんになる。ある日、電車の中で二回生の小林(野崎英則)が恋に落ちる。そんな彼女のいる電車の中で先輩は野崎に大恥をかかせるが、野崎は彼女の定期入れを拾い、届けて愛の告白をしようとする。しかし、彼女は先輩(龍虎)の女だった。荒れる野崎がいる部室の本間がやってきて一回生に試験の代行を頼む。試験当日、潔癖症の教授(河原崎長一郎)はそれを許さないとするが、本間にボコボコにされ完敗。試験も終わり、陶が大阪に剣道の試合のためにやってくるという。新大阪に迎えに行った本間だが、あえずに一回生とアルサロにいってしまう。陶は駅で神戸とあい、意気投合して酒を酌み交わす。そして、途中であったなぎらと一緒にアルサロへ。そこで本間とあってしまう。なかなか交わらぬ親子関係だったが、そこに恋する宮下がやってきて、「陶を応援してやって欲しい」といわれ心が揺れる。だが、そのあと、宮下は神戸をはじめとした浪速大の面々が本間を半殺しにしようとしているのを聴き本間を会場にやらないようにするのだった。だが、本間は宮下の心を知りながらも会場に向かう。そこには決勝に進出した父がいた。本間は大団旗を掲げ父をはげます。そして、奇跡的に勝ったが倒れた父を背負い会場を出る。外には父を称えエールを送る神戸たちがいた。

青田赤道の役者がいなかったということに加え、一回生の中心にいた香田修がこの当時、事件を起こしてここでは役者がかわっている。そういうこともあり、一回生のしごきを中心にした内容が続かなかったということはあるのだろう。とはいえ、最初の花見でセミをやらせるシーンはなかなかエグイが、ここだけである。

あとは、どちらかといえば、はじけない青田赤道が喧嘩もせずに破綻をきたさない演技で全編を通すので、とてもフラストレーションンがたまる。最後は父子愛の話なわけで、映画を見に来たみんなはそんなものは見たくはなかったであろう。

そんな中で、二回生の小林は安定して笑わせてくれる。彼が恋する女(折口亜矢)がなかなか清純な感じなのでなおさら笑えるのだ。しかし、オチが彼女が龍虎の女だったというのは辛すぎる感じはする。

あとは、試験の替え玉で潔癖教師の河原崎が青田にボコボコにされるのがまあおもしろいところだが、河原崎のキャラを応援団ともっと全編で対決させればそれはそれで面白かったようにも思える。なぎら対河原崎でもドラマはできるしね。

結果的には、原作のエピソードのパッチワークなのは三作品とも同じなのだが、この三作目に至ってはどうもその組み合わせが上手くないようで、そして大騒ぎの喧嘩シーンが少ないのも手伝ってどうも見終わったあとで物足りなさが残るという感じである。

とはいえ、この「花の応援団三部作」は曽根中生が日本映画の中で存在感を示した貴重な作品であり、今のクリエイターが忘れかけている、映画屋のバカ騒ぎ感覚が気持ち良い。それは、約40年を過ぎても変わらずパワーを持っていることを今回見直して確認できた。まあ、見たことない若者は是非、みてやってください。結構面白く思うはずです。

そして、最後に今一度、曽根中生監督のご冥福をお祈りします。

嗚呼!!花の応援団 男涙の親衛隊 [DVD]/本間進,川畑信三,深見博
¥4,104
Amazon.co.jp