日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために -18ページ目

日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために

日本映画をひとりの男が見続けます。映画はタイムマシンです。そういう観点も含め多様な映画を解説していきます。範疇は作られた日本映画全てです。

不良番長 やらずぶったくり
1971年 東映
監督:野田幸男 主演:梅宮辰夫、山城新伍、渡瀬恒彦、菅原文太、一ノ瀬レナ

シリーズ11作目。梅宮、山城、安岡力也の他は渡瀬、潮健児、芦屋小雁、一ノ瀬とカポネ団の顔ぶれもかなり変わってしまった。そして、水銀公害というような社会問題も取り入れながら、今まで以上に細かいギャグを取り込み、裸も増やしながら、70年代的なエンターテインメントが繰り広げられる。初期作品に比べて、ある意味作品に安定感があるのは、稀有なシリーズでもある。今見てみるとこういう社会を嗤いとばすような映画が懐かしいし、コメディだからこそ、そうでなければいけないと思ったりもする。だから、今見ても、見終わったあとはかなりここちよいのだ。

警察のあった場所にヤサをかまえる梅宮ひきいるカポネ団は、トルコ嬢の引き抜きをしていたが、同業者の山城とあって、最初はいがみあうも、一致団結、一儲けを考えるが、暴力団に目をつけられ撤退。そこに昔のダチの菅原が現れる。今は気質の漁師になっていた。梅宮たちは乞食までやる始末だったが、思いついたのが熟女用のコールボーイ。しかし、これも体力勝負の割には結果が出ず、スーパーから料金代わりにもらった缶詰を持って旅に出るカポネ団。しかし、その缶詰が水銀入りの手配もので警察に。一文無しで着いたところが菅原の働く魚港町。そこは缶詰を作った会社がある場所だった。売春付きの射的や賭博で儲ける梅宮たちだったが、魚を菅原から買って東京で売ろうと考える。しかし、魚は水銀汚染で何の役にも立たないという。だが、裏には水産会社が利権を横取りしようとする罠があった。梅宮たちはそれを知るが、その地に東京から顔を知る暴力団がやってくる。梅宮たちは彼らの罠で警察につかまるが、そこで元社員に会い裏を知る。警察から戻され、証拠をつきつけると、彼らは仲間を殺すことで報復。弔い合戦は決まる。銃撃戦の末、残ったのは梅宮、山城、渡瀬。警察のサイレンを聞き、大型船を盗み、アメリカにいこうと旅立つのだった。

東映でしか作れない、エグさを持ったエンターテインメントとして、不良番長シリーズの完成度はかなり高い。それなのに、最近では見る機会もないし、評価されないのは少し残念である。監督が、野田幸男と内藤誠ということでB級扱いなのだろうが、今見ても、かなり気持ち良い活劇であり、ここに出てくる社会問題は今も変わらずリフレインしていることを考えれば、そういうことに対し映像に何ができるかということのお手本でもあるように感じる。

最初の方は、梅宮たちのヤサが元警察の廃屋というのがおもしろい。まさに、私設警察状態で、すき放題の生活である。まあ、税金で作った建物があいたら、自由に使っていいことにすれば、そこで起業して経済がまた回ることもある気はしますよね。

ここで偉いのは、いつもは女の子に稼がせてピンハネしている彼らが、自ら体を張ってコールボーイをやっているところだ。そのお客が丹下キヨ子だったり、若水ヤエ子だったり、まあ、なんともはやで、辰アニイも若水ヤエ子に3発抜かれて金が貰えないという、羽賀研二に笑われそうな状態はおかしい。

潮健児がジョッキーの服を着ていて、ものがウマナミというベタなギャグも結構好きだ。そんな細かい、オヤジギャグ的な積み重ねが、観客をあきさせないのは作り手の勘の良さだろう。

今回のカポネ団の紅一点は、一ノ瀬レナ。まあ、おっぱいをみせられる女優ということで選ばれたのだと思うが、東映らしいなかなかそそる女優である。もうひとり、菅原の同郷で渡瀬に惚れる女の役で渡辺やよいがでてくる。こちらは、まだスケバン映画にも出る前だからだろうが、下着にさえならないが、ミニスカートでうろつくだけで、なかなか色っぽい。個人的に好きなのもあるので、露出がもう少しあって欲しい気はした。

敵はまたもや、天津敏。西洋カミソリでひげを剃りながら、子分を諭すシーンはなかなか怖かった。刃物の使い方としてこういうのもあるということだ。

話の流れはいつもの通り、そして今回も最後の殴り込みのシーンはなかなかこっている。いつもと違うのはアニメがつかわれているところだ。自分たちが作った爆弾で空に跳ね上げられたり、山城新伍が口から火を噴いたり、凧に乗って包丁を投げたりと、もう、なんでもありの殺陣が楽しい。同じ東映の鈴木則文監督の世界に近いのだが、少し品があるところが、私的にはこちらのほうが好きだ。

このシリーズ、梅宮をはじめとした役者たちのチームワークがいいことが作品の良さにつながっていると思われる。結構、役者が入れ替わっても、それが続くのは、梅宮の人徳というところなのかも知れない。意外に真面目な人なんだよね。

ということで、このシリーズは残り5本あるのだが、またの機会ということで今回はここまでです。

不良番長 やらずぶったくり [DVD]/梅宮辰夫,渡瀬恒彦,一の瀬レナ
¥4,860
Amazon.co.jp
不良番長 口から出まかせ
1970年 東映
監督:野田幸男 主演:梅宮辰夫、山城新伍、大信田礼子、菅原文太、安部徹

シリーズ10作目は、12月30日の封切り。1971年の正月映画である。ということで、最後には新年の挨拶もついている。この映画から谷隼人は消え、梅宮と山城のコンビが中心のシリーズになり、コメディ要素が増幅されている。そして、エロいシーンでここから乳首解禁である。各社みな、このあたりで解禁しているのだが、1971年には大映がつぶれ、日活が製作転換したことを考えると、東映もそれで客引きをせざるを得なかったのだろう。ある意味、日本映画が壊れだした転換期でもあるのかもしれない。

アメリカめざして海を漂流していた4人(梅宮、山城、安岡力也、ルーキー新一)は大陸発見とばかり上陸すると、関西弁をしゃべる女たちが彼らを攻めてくる。そして、その後ろから大阪の愚連隊ジャンボ団が因縁をつけにくる。そこを梅宮はなだめ、東西愚連隊の共同でヌーディストクラブで儲けることにする。そんな中、ジャンボ団が製薬会社の娘(大信田)を誘拐してくる。梅宮はそのことで、対立、ジャンボ団とは袂を分かつ。だが、大信田の父親の会社が麻薬を流してると聞き、ゆすりで儲けようと考える。だが、バックには暴力団がいて退散。梅宮たちは東京に戻り、出直し。薬品のモニターになりすまし潜り込むが、見事に精力剤を飲まされ撃沈。だが、麻薬の秘密を知り、精神病院に入れられた社員の情報をつかみ反撃に出る。だが、その社員とルーキーが殺されてしまい弔い合戦。麻薬の取引現場にいき、5億の現金を横取りしようと御殿場の取引現場に向かうが、そこに大阪のジャンボ団が到着、まずは彼らをやっつけるも、多数の暴力団が彼らを囲むのだった。そんな中、昔の仲間(菅原)の助太刀もあり、自衛隊の残した不発弾を使いながら、彼らをやっつけるが、現金は燃える車の中だった。生き残った梅宮、山城、安岡は大信田たちが追いかけてくる中、逃げるのであった。

シリーズはこのあたりで大きく転換している。学生紛争の残り香もなくなってきて、街の愚連隊のありかたも変わってきたということもあるのだろう。このあたりの空気感の変化が映画の中から汲み取れるのは興味深い。

そして、カポネ団のメンバーも梅宮、山城、菅原以外は変わってしまっているので、コメディのテーストが変わってきているし、山城の存在が以前よりも大きくなってきている。そして、先にも書いた乳首解禁はエロのパワーも過激にしていて、暴力団が女たちを換金し、逆さ釣りでおっぱいをバーナーであぶろうとするシーンは一気にすごいことになっているなと思わせるわけである。70年代初頭の映画のエロ解禁は一気に限界を超えてしまっているのだが、このあたりは映画不況のたまものだったのだろう。

話の骨格は以前のシリーズ通りだし、麻薬がバックにあるとか、それのルートが戦時中に作られたとかなどは古いアクション映画の流れだが、このシリーズにとっては、そういうものを取り入れて世界が大きくなってきた感じではある。

ラストの舞台は御殿場の荒野。ジャンボ団と喧嘩したあと、暴力団が富士をバックに横並びして銃を向け梅宮たちを驚かせるシーンはなかなか圧巻。最近の映画でこういう絵を創造する人いないよね・・。まさに、映画屋の仕事だ。自衛隊の演習場で、残った不発弾をパチンコで飛ばすなど、今、描いたら怒られそうな遊びがいっぱいあるが、正月映画らしいはじけ方である。

最後、全てが終わって、清水次郎長生誕の地という碑の前で時代劇の旅姿で新年挨拶する梅宮たち。こんな正月映画がつくられることは、もう、ほぼないだろうなという感じで見てしまった。古き良きプログラムピクチャーの時代の香りが私は大好きである。

万博が終わり、1971年になる頃、新宿にそびえ立つ京王プラザホテルは真っ白である。

不良番長 口から出まかせ [DVD]/梅宮辰夫,山城新伍,大信田礼子
¥4,860
Amazon.co.jp
不良番長 暴走バギー団
1970年 東映
監督:内藤誠 主演:梅宮辰夫、菅原文太、カルーセル麻紀、植田峻、天津敏

シリーズ第9弾。70年の10月封切りで、京王プラザホテルは外装がほぼできている。万博が終わり、ちょっと静かになった日本の世情をギャグをちりばめながら、なかなか小気味よいコメディアクションにしあげている。最後は、海に向かって逃げ、いかだで漂流というシュールなつくりは今までとは違ったものをという意思の表れだろう。主題かも「番町シャムロック」ではなく「ウッシッシ節」なるものが使われている。

集団万引きでつかまったカポネ団。まちがいだとされて、モデルハウスの宿に帰る。しのぎは歩行者天国での「スッポン精力剤」のバイだったが暴力団に追い出される。しかたなく、車を当てられて賠償金を稼ごうとするが、途中で出会ったトラックの運転手(植田)と事故をおこし、うまくいかない。モデルハウスがなくなり、すむとこがなく、植田の実家のバタ屋にやっかいになる。野良犬を血統書つきとだまして売る商売もするがうまくいかず、そこで友人の菅原が不動産屋で儲けているのを知り、他人の不動産を売りつける商売を始める。そこにまた暴力団の横槍が、結果的に仲間を殺された梅宮たちはバギーに乗り込み、彼らに殴りこみ、すべてを清算する。そして、警察の駆けつける中、海に逃げる生き残った梅宮と植田。その三ヵ月後いかだで漂流していると、仲間の山城が泳ぎ着くのだった。三人は、海外目指して進むのだった

話は、いつもと同じような安定系だが、谷隼人があまり活躍もせずに、殴りこみ前に殺されてしまう。たぶん、ほかの仕事があって、映画に専念できなかったということだろう。考えれば、この当時はキイハンターで彼はスター街道を昇っていったころである。

その谷にかわり、サミーデイビスジュニアに似ている植田が梅宮の相棒格でなかなかよい芝居をしている。あとは、夏珠美にかわり、カポネ団の紅一点がカルーセル麻紀になっている。梅宮を誘うが、「どうやってやるんだ」とあしらわれる役である。まだ、モロッコで手術する前の映画やテレビに出始めたころであろう。まあ、声はかわらずなのだが、当時の彼女、かなりの美人である。はるな愛をスリムにして凛とさせたようないい女。まあ、いまのオカマとは違うプライドみたいなものを感じるし、あくまでも彼女は役者であることがよくわかる一作だ。しかし、長い髪がきれいである。

万博が終わったとはいえ、余韻があるのだろう。梅宮が立ち上げる不動産会社が「万博不動産」である。そして、マイホームブームにのって、山奥の物件を売ろうとする悪事は、けしてフィクションではない気がする。ここで、山奥の土地を借りるために娘と仲間の砂塚秀雄が結婚させられるのだが、この娘役が今はゴスペル歌手として活躍する亀淵友香である。ちょうど「リッキーと960ポンド」で活躍していたころだろう。こんな事もやっていたんだとちょっと驚く。

また、梅宮に車を当てられゆすられる藤村有弘の愛人役で五十嵐じゅんがでている。彼女、この当時スケバン映画の脇役もしていて、結構、ズベ公の役が多かった。テレビで清純派で売り出すのはこの二三年後であり、このあたりの彼女はある意味、黒歴史になっている感じがする。そういう意味では貴重である。大原麗子もそんな役が多かった時期の話である。

あと、社会がいろいろと動いていたのだろう。ハイジャックだとか、東京畜犬が倒産しただの、辺見マリだの、当時のネタが羅列される。当時を知っている人にはかなり懐かしいと思われる。山城が突然、鼻血を出して「鼻血ドバー!」を実写で見せるシーンなどもある。

敵の親分は天津敏。まあ、悪役のいやらしさとしては東映一二を争うお方なので、映画がしまる。そして、その弟役で八名信夫がでている。当時の八名は確かに天津によく似ていて、兄弟だといわれて違和感がない。このあたりもこの映画の見どころかと思われます。

役者が少し変わっている分、いつもとは少しテーストは違うが、最後はタイトルのバギーに乗って殴りこみ。これは、なかなか絵になる。作り手はまだまだ、遊べるシリーズだった感じである。

そして、最後はイカダで漂流して、ロビンソンクルーソーみたいになった梅宮が出てくる。こういうコメディタッチで終わらせているのはシリーズとしては珍しいし、まあ、まだまだ精力バツグンの感じが今見てもよくわかる一篇である。

不良番長 暴走バギー団 [DVD]/梅宮辰夫,谷隼人,鈴木やすし
¥4,860
Amazon.co.jp