日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために -17ページ目
人生、いろどり
2012年 ショウゲート(製作:アミューズ、C&Iエンターテインメント、衛星劇場、他)
監督:御法川修 主演:吉行和子、富司純子、中尾ミエ、平岡祐太、藤竜也
徳島の山奥の過疎と高齢化に苦しむ村での実話をもとに作られた映画。年寄りの話で、ちょっと暗いテーストで始まる映画だが、結果的にはさまざまに考えさせられるテーマをもって観客に訴えてくる。そう、生きるということは、なにごともチャレンジというところなのか?そして、家族の物語でもある。ラストには若い家族たちが明日を見る感じで終わるのは、世の中捨てたものじゃないというところか?こういう地方の映画は、最近、結構安定した出来を示しているのは喜ばしい限りである。
徳島の山奥の村。みかん農家が中心の高齢者の村だが、みかんが凶作で全滅。さまざまな作物をためすもうまくいかない。そんな生活に吉行ら老主婦は輝きを失い、吉行の夫(藤)はこんな仕事は自分の仕事でないという。農協の若者(平岡)は遠くの市場に作物をもっていくがうまくいかない。そんな中、飲み屋で客がつまものの葉っぱを持って帰るのをみて、これが商品にならないかと考える。しかし、皆はあいた口がふさがらないという感じだった。そんな中、吉行と友人の富司が手を上げる。だが、集めた葉っぱをただ市場に持って行ってもうまくいかない。そんな平岡をめんどくさそうにみる市場にかよう女(村川)がいた。その村川の実家の旅館につまものの勉強に行く平岡と吉行と富司だった。馬鹿にされながらも、女将(キムラ緑子)から必要なことを教わる三人。そして、その情報から葉っぱの大きさをあわせたりして少しは売れるようになる。そこに昔の友人(中尾)が故郷に帰ってくる。彼女は父が花木の仕事をしていて、結構周辺にくわしかった。その一方、藤たちは、吉行をよく思わず、借金をしてうなぎの養殖をはじめる。吉行と藤は考えがすれ違うが、自分で稼ぐと吉行たちは葉っぱの仕事を続ける。そして、そんな吉行たちをみて中尾も過去を精算するために参加。自分の土地にハウスをたて本格的に葉っぱをつくりだすことに。そして、周りの主婦も参加。平岡と村川の営業のかいもあり、徐々に儲けが出てくる。そんなある日、もう一度以前いった旅館に行って楽しんでいたところ、ハウスが火事を起こす。吉行はやる気をなくすが富司が自分の思いを告げたちなおらせる。しかし、藤のうなぎが失敗。山を売らなければならないところに追い詰められる。そして、突然、富司がなくなる。藤と吉行は衝突していたが、吉行の思いを藤が感じ、ハウスを立て直すことにする。ビジネスは村全体を明るくし、全国的に葉っぱを送り出すまでになるのだった。
実話という前提を知らないと、そんな夢みたいなという話だろう。だが、吉行、富司という名優の掛け合いに中尾がなかなかいい味を入れ、この三人がこの夢物語にうまくリアリティを持たせている感じだ。
冒頭は、とにかく暗い。今も日本中にこんな感じの村は少なくないのだろう。どうにも、自分たちの故郷の衰退を止められないという場所のことである。ここで、そんな、村を救うのは、若者の突飛な考えと、老人の無謀な思いだ。なんせ、只で手に入るものを銭にしようというのだ、まずはチャレンジしたことがすごい実話である。
老人たちの思い、家族たちとの考えの違い、そういう問題を提示しながらも、結果的には老人が自ら夢を持つことで村は活性化するという答えは、運もあるのだろうが、なかなか、この映画を見たから私もという感じではない感じはする。映画はあまりにも綺麗に描きすぎている感じなのだ。
ラストは若い平岡と村川の結婚をハウスで咲かせた桜が見送るというなかなか綺麗なシーンが待っている。そう、高齢化社会といっても、未来を創るのは若者たちなのだ。その答えは永遠に変わらない。
老人は自立して、夢見て生きることが必要だというテーマは描けている感じだが、少し出来すぎの感はある。
とはいえ、最後に大自然にシンクロしながら笑顔で暮らす老人たちの姿はなかなか心地よかった。たぶん、この映画の中では一番最高齢の佐々木すみ江さんの最後の笑顔がわたしには印象的であった。
その笑顔がこの映画の答えであり、監督が撮りたかったものだろうなという感じである。
- 人生、いろどり [DVD]/吉行和子,富司純子,中尾ミエ

- ¥4,104
- Amazon.co.jp
100回泣くこと
2013年 ショウゲート(製作:博報堂DYMP、ジェネオン・ユニバーサルEJ、小学館、他)
監督:廣木隆一 主演:大倉忠義、桐谷美玲、ともさかりえ、大杉漣
中村航原作の小説の映画化。原作は、ストレートにガンで恋人が死んでいく話らしい。わたし的に言えば、昔からよくある病気もの。それではひねりがないので、映画では主役の男が記憶を失い、もう一度同じ女性を愛するという複雑系を作っている。その装置はそれなりに見るものに興味を起こさせるが、成功したかどうかは??である。正攻法に原作を撮っても良かった気もするということだ。いつもながらに、廣木監督はセンスのある画を並べながら、暖かい視線でふたりの若者を綴っていく。それに答えるようにふたりの主役の真摯な演技は心をうつものはあるが、100回泣くような映画にはならなかった感じではある。
友人(忍成修吾と波留)の結婚式、大倉と桐谷は出会う。大倉は4年前バイクの事故をおこし、その1年の記憶が抜けていたが、今は真面目に働いていた。大倉はバイクを治す手伝いをしてくれた桐谷に結婚して欲しいという。桐谷は一年間、結婚の予行演習をしようといって大倉の部屋に越してくる。それなりに楽しい日々が続いていた。しかし、あることを知っていた周囲は心配する。ある日、桐谷が父親の調子が悪いと言って部屋を出ていく。実は桐谷はガンが悪くなり治療しなければいけなかったのだ。大倉はいなくなった桐谷を不審に思い、実家で一枚のはがきにたどりつく。それは大倉が記憶の抜けている間に住んでいた部屋にあてられたものだった。そして、そこを尋ねるとそこを桐谷がかりているという。そう、桐谷は4年前に大倉の彼女だったのだ。そして、彼女がガンになり、大倉は逃げた。そして、再度つきあう二人を周囲は危うげに見守っていたのだ。記憶が戻ってきた大倉は病院で髪の毛がない桐谷をみてまた逃げる。そして、桐谷の父親(大杉)にも、もう違う彼女を作ってくれと言われる。そんな中、桐谷に対峙した大倉は彼女に「バイクに乗せて欲しい」と言われる。病院からバイクで彼女をつれだす大倉。ついた海辺で彼女の話を聴くことしかできなかった。そして、彼女は逝く。彼女がいきたいといったハワイにいく大倉だった。
記憶を失って、また昔の彼女を愛するというひねりは映画的によかったのか?と考えればあまり機能ははたしていないような気がした。確かにストレートにガンで死んでいく話よりはサスペンス的な要素を含んだ感じにはなっているが、その分、ふたりのガンとの闘いをちゃんと描いていないので少し全体的に散漫という後味だ。
主役の大倉は関ジャニ∞の一員らしく、ジャニーズ的な破綻しない役作りで無難に主役を演じているが、最後までいまひとつ弱々しい感じはちょっと男目線では辛い感じがする。ガンと闘っている桐谷と一緒に戦ってやれていない感じはイライラもつのったりする。
桐谷は綺麗な人だが、その分、あまりおもしろさにはかける女優さんだ。それでも、ここでは一生懸命に役を作っているのがなかなか愛しい感じではあった。女優としてスキンヘッドになるのはなかなか度胸という感じもするが、そのあたりも作品全体の中でパワーには転化していない感じは少しもどかしい。
廣木監督は、ピンク映画時代から得意とするロングで孤独を捉えるような画作りを頻繁に挿入しながら、二人を遠くから見る友人たちのような感じでカメラを回し、客観的な画を積み重ねていく。なかなか良い画はあるのだが、ここではそれが、二人に観客がシンクロしにくい原因になっている気もする。
結果的には監督の視線自体がいまいち焦点が定まっていない感じにみえた。
ある意味、シンプルな原作をまわりくどくした結果が他人事的な傍観ドラマになってしまったという感じの一篇だ。
- 100回泣くこと [DVD]/大倉忠義,桐谷美玲,ともさかりえ

- ¥4,104
- Amazon.co.jp
- 100回泣くこと Blu-ray&DVD愛蔵版 (初回限定生産)(オリジナル・レインボー・ミニ.../大倉忠義,桐谷美玲

- ¥8,532
- Amazon.co.jp
- 100回泣くこと (小学館文庫)/中村 航

- ¥494
- Amazon.co.jp
劇場版ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILL
2013年 東宝(製作:TBS、電通、ジェイドリーム、角川書店、他)
監督:木村ひさし 主演:中居正広、堀北真希、北村一輝、栗山千明
テレビシリーズは見ていなかった。映画を見終わって見たいとも思わなかった。中居が嫌いなのもあるが、おふざけのデジタル犯罪劇にのれなかった。「プラチナデータ」のときにも書いたが、デジタルのデータでの犯罪は見ていてもあまり面白くない。やはり、無機質だからだろう。殺人現場も雰囲気が軽すぎるのだ。ましてや、ここでの犯人は堀北真希。なにか乗れない。乗れないのは私ばかりではないようで、この映画のために新しく加わった松雪泰子もいつもの硬質な芝居はなく、おもしろくもない演技に終始している。中居の芝居をほめるひともいるみたいだが、セリフがないことでまあ、楽な役だろう。数日前に朝ドラで脳科学者が特別出演して棒読みで巷を騒がせていたが、彼だってセリフがなければ好演とかいわれたかもしれないのだ。そして、サヴァン症候群とかいっているが、結局は裸の大将と同じわけである。そう、「裸の大将FBIに入る」という話なのだ。
ラスベガスをはじめ爆破事件があいついでいた。そして、日本でも成田超特急が爆破される。日本に村上弘明をはじめとするFBIが乗り込む。その中にはサヴァン症候群の中居もいた。中居はラスベガスの爆破事件の日にその近くにいた。日本に戻る中居を栗山たちは歓迎する。そして、彼の能力を知る者は彼から手がかりを求めるが、この事件に派遣された管理官(松雪)は彼を疑う。そして、彼を独房に放り込むのだった。また、事件に使用されたコンピューターウィルスを作ったとされる中居の同僚だった堀北は爆破現場から死骸で見つかる。DNAが彼女と一致したのだった。そして、また爆破事件がある。中居はその時間に隠し持っていたPCを動かしていたことが防犯カメラでわかる。栗山はその時間に中居は弟(岡田将生)とネットでゲームをやっていたのを確認するが、PCからはウィルスがみつかり、松雪は中居が犯人だと確信していた。そんな中居のもとに堀北が現れる。彼女は彼が自分が逮捕されるのを守ってくれなかったことを根にもって中居を犯人にしたてようとしていたのだ。栗山や北村たちは、堀北のDNAの解析プログラム自体がいじられていたことを発見し、堀北が生きていることを知る。そして、次の爆破現場が予想され、松雪は中居にPCを渡す。そして、中居の操作で爆破は回避され、松雪は中居を釈放するのだった。そして、中居はいなくなる。彼が訪ねたのは堀北のいる場所だった。そこをみつける栗山と北村。それを見て中居が裏切ったと思う堀北だった。ウイルスにある魔法陣の謎を解いていた田中哲司は、アメリカのある場所を特定する。村上に問うと、そこは中居と堀北が最初に事件を解決した場所だった。その時、中居は消えていた。そして、捜査はアメリカに移る。その場所には中居と堀北が縛りあって座っていた。銃を持つ堀北はみなを威嚇して、結果自殺をはかる。中居ももっていた銃の引き金を引くがその銃に弾は入っていなかった。そして調べが終わり、現場に花をたむける中居がいた。
連続テレビドラマの続きの映画化と言って馬鹿にする時代は過ぎたとは思う。映画もテレビドラマも機材は似たり寄ったりで、撮影も特に変える必要はないのだから、コンテンツとしてあまり差はなくなったわけだ。ただ、テレビドラマは連続性のロングタイムを通してテーマを追い、その割にはお金はかけられない。そして、テレビという特性上、セリフが多いといったところか・・・。
そして、この映画の監督のようにテレビ出身の監督は、別に映画だといってスタイルを変えることもしない。そういう時代なのだ。テレビのファンがそのまま、劇場に見に来てくれれば興行もそこそこ成功するというビジネスモデルである以上、変える必要もないのだろう。
だから、そんな環境の中で、映画だテレビだという議論はもう無駄なのは分かっているし、これからも、その差をあまり気にせずに作る作り手たちが、凡庸なエンターテインメントを作り続けることは予測できる。そんな中の一本に目くじらを立てても仕方はないとは思うのだ。
だが、この作品、結果的には中居と堀北の友情と恋がテーマなのだろうが、そのあたりをもっとデフォルメしてほしかった感じはする。周囲の警察はすべてバラエティのような中、そういう重い感じには作れないのだろうが、やはり映画全体がつまり2時間がただバカ騒ぎ的なのは、今のテレビ的な感じである。
中居の演技が一貫しているから、それなりにうまくみえるし、善悪がわからない感じもうまく表現しているのかもしれない。ただ、私はこのチョコザイという男がみていて面倒くさいだけだ。先にも出した「プラチナデータ」もそうだが、「特殊な能力=コンピューターの使い手」というのもやめたほうがいいと思う。ただ、理解不能というところにドラマはおこりにくい。
そして、被害者が元犯罪だったり、警察だったりするので、あまり犯罪のエグさがないのも、どうもおもしろくない。というか、こういう軽い犯罪劇がネット犯罪を助長するようにも感じるのは私だけだろうか?まあ、どう描こうとネットの中のバカはいなくならないだろうが・・・。
サヴァン症候群というのはアナログ的な謎なのだろうと思う、彼ら自身がPCのような処理能力を持っているというのはわかるのだが、そういうものを描きたいのなら、中居はロボットでもいいはずだ。彼がおにぎりとカレースープを好むのはドラえもんのドラ焼きと何ら変わり無い。
テレビオリジナル作品ということでは、それなりに評価すべきだろうが、最初に書いたように「裸の大将」を事件ものにしただけのようにも感じる。映画全体のバラエティ的作りも含め、私のリズムにはまったくあわなかった。
元祖テレビっ子的な時代を生きた私である。テレビ的なものを嫌うわけではないが、この映画を見て、元のテレビを見たいと思わせないのなら、やはりそれは失敗だろう。
しょうじき、見ている俺に「チョコザイナ!」といわせてほしかったりするわけです・・・・。
- 劇場版 ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILL ブルーレイ .../中居正広,北村一輝,栗山千明

- ¥10,152
- Amazon.co.jp
- 劇場版 ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILL DVD ス.../中居正広,北村一輝,栗山千明

- ¥4,104
- Amazon.co.jp
- ATARU Blu-ray BOX ディレクターズカット【初回生産限定】/中居正広,北村一輝,栗山千明

- ¥28,512
- Amazon.co.jp
- ATARU DVD-BOX ディレクターズカット/中居正広,北村一輝,栗山千明

- ¥22,572
- Amazon.co.jp

