スキ!(1990) | 日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために

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日本映画をひとりの男が見続けます。映画はタイムマシンです。そういう観点も含め多様な映画を解説していきます。範疇は作られた日本映画全てです。

スキ!
1990年 東宝(制作:東宝、プルミエ・インターナショナル)
監督:渡邉孝好 主演:大江千里、島崎和歌子、藤田朋子、森口瑤子

バブル臭がする映画である。監督、渡邊孝好  脚本、野島伸司は「君は僕をスキになる」のコンビだが、この作品はそれと比べるのもなんだという感じ。まあ、野島脚本が映画で成功したこともないのでしかたないが、それにしてもつまらぬ映画である。そして、主演が大江千里と島崎和歌子というのも今考えると「何故?」である。今でもイロモノ的に残っているだけ不思議な島崎だが、ここではアイドルだったらしい。だが、役柄は迷惑なストーカーだったりして、何故にこれが成立したか、本当に不思議な一本である。  

大江は平社員から副部長に出世する。社長令嬢(藤田)との婚約が成立したからだ。大江の将来は周囲に嫉妬されるものに。そんな中、藤田と結婚式の打ち合わせをしていると、突然、高校生の島崎が飛び込んできて「結婚してください」という。当たり前のように藤田は逃げていく。島崎は運のない女子高生だったが、手相見(大竹まこと)に言われて、13日の金曜日の6時6分6秒から出会った100人目の男が運命の人だと信じ、それが大江だったのだ。そして、島崎は大江を追いかけ家にまで入り込む。その上、そこに藤田が現れ、万事休す。そして、島崎の追っかけを振り切れ無いうちに同僚に島崎との写真を撮られ、婚約解消とともに網走に左遷が言い渡される。悲しみにくれる大江の前に島崎がまた現れるが、そこにトラックが飛び出しかばった大江は事故で入院。そして、島崎を追い払うとまた運が戻ってくる。藤田は大江を愛してるといい結婚の準備が再開。だが、彼女の周囲にいるのが自分にそぐわないのを知る大江。そして、春。高校を卒業した島崎は、ひとり橋の上で絵を描く大江に再開するのだった。

ある意味。野島の失敗原稿が映画になったような映画である。恋愛模様も今一明確ではないし、結果的に二人とも幸せにもなっておらず、というか誰も幸せになっていないので、爽快感はない映画である。バブル期の恋愛はそれほど軽く、それほど意味を持たなかったのかもしれない。とはいえ、ここではSEXも描いていないので、観客を引き込まない。  

まあ、主役が大江と島崎では引き込まれることもないというところか?島崎はいまにくらべればアイドルしているが、あくまでも迷惑でしかない。さまざまな大人の事情の主役なのだろうが、本人もこの役、理解してない気もする。

大江も周囲につきまとう女が島崎だったり、藤田だったりするのは迷惑でないのがおかしい感じ。唯一美女の森口瑤子もこの映画ではあまり素敵な感じではない。そう、映画全体がブスな感じなのだ。その上、キャラがいまいちわかりにくいときている。今も野島伸司のファンはいると思うが、ある意味、彼の絶頂期の黒歴史的映画である。  

そして、舞台も、バブリーな会社が出てきたと思ったら、言問橋がでてきたり、そういうシチュエーションも無茶苦茶である。バブル期の意味の見えない映画で、その時代の研究する方々にもあまり意味をなさないので、ここで注意をしておく。  

みどころは、角野卓造や大竹まことの若い頃の姿がみれるとこくらいか?本当に島崎主演らしい色気のない映画である。