男ありて(1955) | 日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために

日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために

日本映画をひとりの男が見続けます。映画はタイムマシンです。そういう観点も含め多様な映画を解説していきます。範疇は作られた日本映画全てです。

男ありて

1955年 東宝

監督:丸山誠治 主演:志村喬、夏川静江、岡田茉莉子、三船敏郎、藤木悠


昨日の「不滅の熱球」に続き、菊島隆三が書いた脚本の野球映画である。そして、これを観れば、菊島が野球を知らない事がよくわかる。ほとんどマンガのラストに唖然とするのだ。まあ、この映画は、夫婦関係、家族関係と言う物の中での男のありかたみたいなものがテーマなわけで、野球は舞台にすぎないようだ。今回は中日ドラゴンズダイヤモンズ協力という記載がある。たぶん、中日の2軍であろう。野球シーンは、全て中日球場で撮られていると思われる。(後楽園といっている部分も同じ球場である)


志村は東京スパローズの監督である。家族は顧みないで、野球一筋の男だが、優勝経験もなく、ただいま最下位争いをしている。過程の事はすべて妻(夏川)にまかせ、トイレで作戦をたてるような人である。ある日、新人選手(藤木)を家に置くと勝手に決める。藤木は気のいい若者で、娘(岡田)にも好印象だった。ある日、藤木と岡田は映画を観に行く。志村は藤木をしかる。まず練習だと。そして、ある日試合の代走に藤木を使うがサインもださないのに勝手にホームスチールを行う。結果はセーフだったが、志村はしかる。そして、藤木は東京に帰される。藤木はあやまりチームに戻るが、こんどは志村が審判に文句をつけ、退場、出場停止になる。家でペンキ塗りなどをやってひまをつぶすが野球が恋しい。コーチの三船にも諭され、妻に歌劇を観につれてってやる。そして、その日、出場停止が解け、福岡に向かう志村だった。しかし、福岡で妻が死んだという訃報を受ける。葬式をすませ、その年、最後の試合に臨む。試合が終わり、辞職する志村であった。


昨日の映画もそうだが、何か、スポーツを題材にしているわりには、非常にドラマが堅い。作っている側がスポーツの魅力に関して理解していないのがよくわかるのだ。つまり、野球をどう描こうかなどということは何も考えていないというわけだ。時代は、まだ野球漫画もはやっていない時代だし、仕方がないのかもしれない。


志村は51歳という役である。見た目、こんな人が今いたら、老けていますねということになるだろう。まあ、この時代、50歳は老練なのである。


ドラマの中心は志村と夏川の夫婦関係である。夏川が家事を行い、志村は家の事は何もできないという構図。この時代にはよくあった構図であろう。そして、家族サービスもしない家庭の愚痴は、娘の岡田にいわせるという脚本である。岡田のしゃべりはそういうのに向いているし、夏川も、古いタイプの母親を実にうまく演じている。役者はそろっているのだが・・・・。


志村が三船に習ったお好み焼屋に夏川をつれていき、お好み焼を受け売りで指導するシーンはなかなか、かわいいシーンである。ここで目につくのは、お好み焼の大きさが妙に小さい事だ。関東のお好み焼は昔小さかった覚えがある。最近は、関西や広島のお好み焼きだけが残り、関東風はもんじゃだけが残ったということであろう(昔の関東のお好み焼を知っている方いますか?)


そして、唐突に夏川は死ぬ。試合に出れるので喜んでいる志村と対象化して描いているが、これはあまり生きていない。そして、葬式で涙を流さないで、最後の試合が終わってひとり泣くというのも、ちょっと演出としては、うまく成り立っていない。(観客に少しも志村の気持ちが見えないのはだめである)ただ火葬場で煙突の煙を見てたたずむ志村のショットは、いい感じではあるが・・・。


なんか、つながりが悪い中で、最後の試合になる。そして、最終回、キャッチャーが負傷。そのとき交代要員として、志村が自分ででていくのだ。昔でもこれはありえない。どう考えても、野球をしらない人の脚本であることがわかる。志村はキャッチャーフライを捕ったりするのである。そういう点では見ものである。


球場は名古屋で撮っているが、志村の家の周りは東京だと思われる。子供が遊んでいる原っぱの向こうに安田講堂らしき建物が見える。まあ、55年の東京はまだ、所得倍増計画が出る前だからこんなものであろう。空も広い!


そして、志村の家にはラジオとアイロン以外、家電らしきものはない。奥さんは大変なのだ。そして、この家の作りがこの頃の裕福な家庭の作りであると思われる。私の子供の頃、まだ残っていた古い家によくみられた作りである。ビールを氷の冷蔵庫で冷やしてあるのが時代をあらわしている。


まあ、野球を題材とすることで、目新しさを狙ったのだろうが、野球を知らない人の野球映画はつらいと思うわけである。マンガ原作なら許せるのですけどもね・・・。


まあ、1955年頃の家族の在り方を見るという点では資料価値のある映画であると思われる。


Twitter http://twitter.com/runupgo


ハウスクリーニングのご用命は、丁寧で親切 HOCA(ハウス・オフィスクリーニング協会)に!

http://www.hoca2008.jp/hoca/index.html