省三はプラットホームが終わったあたりで線路を横断した。信号も何もない砂利で盛り上がった線路を大またで横断して行った。

「省三、こんなとこ横断して駅員に見つかったらしかられますよ」母の美奈子は駅の改札口のほうを見ながらそれでも急いで線路を渡った。キュウちゃんも勇も急いで線路を渡った。


線路を渡るとすぐに細い山道を省三は先頭に立って登って行った。山道は人間が1人通れるだけの細さだった。省三の後を3人が1列になって登っていった。

「お兄ちゃん、今度のおうちの建っている場所知っているの」勇が息を切らしながら前をどんどん登っていく省三に声かけた。

「以前お父さんから土地の場所は聞いていたから大体わかっている。ここを登りきったらすぐ下に家が見えるはずだ」省三はどんな家が建ったのか早く見たいと思って早足で登って行った。


10分くらいで山の頂上に着いた。右斜め下に大きな赤い瓦葺の家が建っていた。家の東、南、西側に池が作られその周りを植えられたばかりで幹をわらで巻かれた庭木が数十本も見えた。

「すっげー。大きな家だ!」

「お父さんのやることはいつもこうなのよ。何しろ大きいことをするのが好きな人だから」

省三の後をはーはー言いながら登ってきた美奈子が言った。

「大きなおうちね」キュウちゃんも感嘆の声を上げた。3人はしばらく頂上の草むらに腰を下ろして家の全容を見続けていた。


~第38話に続く~