甲子園口の商店街で隼人は省三の下着やTシャツの着替えを買ってくれた。


釣具店ではモンドリというプラスチック製の丸い筒状の魚捕具を買ってくれた。


「これをもって武庫川へ魚とりに行こう」


「へーこんなので魚取れるの?」


「この中にさなぎ粉など混じった配合餌の団子を入れて川の中に沈めておくと一度入った魚は外に出られなくてこのモンドリの中は魚で一杯になるんだよ」


「どんな魚が取れるの」


「こちらではハヤ、とかハスとか言ってる魚だ」


「その魚なら知ってる。四国でもよく釣ったよ」


「から揚げにするとおいしいよ。キュウちゃんに今夜の夕食のおかずに作ってもらおう」


2人はまだ残暑が残っている武庫川の川原にモンドリと団子を持っていった。


1mくらい段差のあるコンクリートの堰きとめの下で水が激しく泡立って入るところにモンドリを沈め流されないようにタコ糸で杭に縛りつけた。

「30分くらい散歩してこよう。きっとたくさん入っているよ」





夏の武庫川の夕暮れは涼を求めて多くのアベックや老夫婦がそぞろ歩いていた。


水量は豊富で青くきれいに澄んだ水がとうとうと流れていた。淀んだところでは子供たちが水遊びしていた。


「家の近くにこんな川があるとはいいね。毎日でも遊びに来れるね」


省三は今にも川に飛び込みそうな姿勢で言った。


「子供1人で絶対川で泳いだらだめだよ。この川は見た目より流れは速いし急に深いところもあるし毎年何人かがこの川で死んでいるんだ」


隼人は厳しい口調で言った。


「わかりました。絶対泳ぎません」




ー第20話に続くー