孤独に打ち震えながら、産まれたての子鹿のようにデビルウイングを組み立て、デビルマンは駐車場内で降臨する。
(あ、そうだ、デビルスピーカーを持ってきたから音楽を流さなくちゃ…)
スマホを取り出しスピーカーに接続したところで我に返る。
(俺の指、タッチパネル対応してねーじゃん…)
今時百均の手袋ですらスマホ対応しているというのに、これだけのために再び仮の姿に戻るのはあんまりと言えばあんまりだ。その時ふと足元を見ると
(ここはスマホ対応してる!)
サンダルを履いたデビルマン、スマホを足の親指に押し付けると、何とかミュージックアプリを立ち上げデビルマンのテーマを流すことに成功!!傍から見たら絶対に怪しい動きをしていたに違いないし、こんな所を他の誰かに見られなくて良かった…。
ほどなく、セブン-イレブンのトイレが超満員だと言う事で戻ってきた嫁さんさんに連行されながらメイン会場に向かうデビルマン、すれ違う人々からヒソヒソと声が漏れてくる…
「なんかすげぇな…」
「デビルマン?」
「あ、あれ?走るの?」
これだよ、これ。
埼玉方面ではすっかりお馴染みになっちゃって、どんな現れ方をしたところで至って普通に対応されちゃってるのとは違い、まだ馴染みの薄い房総の地では人々の反応が新鮮だ。
とは言え、写真撮ってもいいですか?とかは言われず、あくまでも悪魔を遠巻きに見ている感じではあるが…。
こうして、グチャグチャにぬかるんだグラウンド内の受付場所で既に足元のサンダル及びスマホ対応している足が汚れまくっていたのは内緒なのでありました…。
《続く》