(冷えてきたな…。)
幹線道路を行き交う大型車両に煽られながら、進んでいくも、その速度は明らかに遅い。
リュックに忍ばせていたユニクロのウルトラライトダウンをついに取り出す。
昼間は暖かくてだいぶ汗をかいていたが、やはりこの時間になると寒いのだ。
(これで明日雨とか信じられんな…。)
走り続ける理由を探しながらも、やめる理由なんて掃いて捨てるほど出てくるものなのだな。
娘のため、そう言えば聞こえは良いかもしれないが所詮は負け犬が理由を探していただけかもしれない…。デビルが正義のヒーローなんて遠い昔の話、もはやただのメタボ予備軍のおっさんだ…。
いつもお世話になっているさかこさんに追いつかれると、リタイヤすることを告げる。
誰かに言わないとずるずる行きそうな気もするから、ここは断言しておくのだ。
やがて…
デビルの会社の先輩にも追いつかれ、リタイヤすることを告げると、ここからおしゃべりをしながら川越を目指す。
こういう時って辛いのを忘れるから不思議だ。
こうして、ぎあす姉さんの指入りいちご私設エイドを経由して川越でリタイヤ。
お風呂に入ることもなく、その日のうちに自宅に戻ることだけが最後の仕事だったわけで、次回以降の小江戸大江戸は白紙状態に。娘のダンス発表会は常にこの時期に重なるということなので…。
《終わり》