「あと何周ですか?」
「あと二週なんで制限時間はちょっと無理ですね。」
「まあ、お金払って走ってるんだから、長い時間楽しんだほうが良いですよ。速く走ってお金貰える訳じゃないんだから」
「そうですよね。」
「そうそう、長い時間走ったほうが
時間単価
安くてお得なんだから。速くゴールしたって何もいいことなんかないって」
「確かにね」
「速くゴールしたってビールが呑めてお風呂でさっぱり出来るくらいなんだから…。」
「おいおい!」
なんて会話を一緒になったランナーさんと繰り広げながら最後の周回を行く。
「小江戸出たから来年は大江戸かな」
「いや、キロ単価考えたら小江戸大江戸しかないでしょ!」
「やっぱり!」
そんな馬鹿話をしながら走ればゴールまではあっという間だ。
そう言えば子供たちの伴走の前にも伴走してくれた美ジョガーさんもいたっけな。あの時も時を忘れて楽しく走れたな…。走るって孤独なようで孤独じゃないんだよなあ。やっぱり大会って楽しい!!
こうして彩湖デーモンを撃破して、チュンリーの待つゴールへと向う。
チュンリーと祝杯をあげることだけを楽しみにここまで頑張ってきたのだ!今全てが報われるのだ。
「ああ、チュンリー待ちきれないからって先に帰ったよ。」
何~!!!
スタッフくみさんからそう告げられるとデビルはゴール手前わずかのところで精神的支柱を失った…。
抜け殻のようになったデビルがゴールテープを切ると彩湖ウルトラの闘いも幕を閉じる。
デビルの後にもまだまだ走っているランナーさんが大勢いるのだ。こうして彩湖の平和を守りきったデビルマン、おかしなおかしな人達に囲まれた祝勝会が異常に楽しかった事は内緒にして家路につくのでありました。
《終わり》