さすがここの主催者はウルトラマラソンの何たるかを判っているな…。暖かい時期の大会ならビキニエイドを出してくれるに違いない。
「温かい飲み物いかがですが?」
「じゃあコーンスープぬる燗で。人肌で温めて」
「ぬる燗です、どうぞ」
「いやあ、よし、そこの焼肉屋でご飯食べに行こうよ」
「し、仕事中ですから…」
男子高校生に最低と言われる所以ですな…。
最後のエイドを出発すると軽い丘越えの寂しい道を行くD&H。
暗闇に怪しく点滅する電飾デビルウイングが後方のランナーたちに勇気を与えていたに違いない…。
予想以上に骨のあった三浦のデーモンを撃破し、最後は海岸に続く農道のような道を行く。
「こんな所をコースにするなんて、やっぱりウルトラは面白いな~」
雁坂デーモンに完膚無きまでに叩きのめされ、走る事への意欲を失いかけていたデビルにとって、原点を思い出させてくれるような手作り感たっぷりの温かい大会は、参加して本当に良かったと思えた…。
ウルトラは楽しい
こんな単純な事を思い出させてくれるには十分な良い大会だ。
やがて、三度海岸線に出るとゴールのマホロバはもうすぐ。
「で、で、で、デビルマン!光栄です~」
「ん、何が?」
追い抜いて行く女性ランナーからお声がけを頂く。前半飛ばして後半ボロボロのいつもの作戦はどうやら成功したようだ。
何人もの方にお声がけを頂いた。
こうしてD&Hはマホロバに行く最後の坂を上り、遂にゴールにたどり着いた…

【終わり】