「zoffyさんからヘルプの連絡が入ったので先にゴールへ向かったよ。」
そうか。
きっと今までのフラストレーションを晴らすように激走してゴールへ向かっているのだろう。そして、デビルの時間内完走を確信してくれたのだろう…。
ありがとう友よ…。
こんな弱々しいデビルにここまで付き合ってくれて。超ウルトラではいつもみんなに助けてもらってばかりだな…。いつかは俺も誰かを助けてあげなくては…。
羽根倉エイドで温かいものを頂き、T師匠とともに再びゴールを目指す。
バイパスには川越市街までの距離表示が1キロ毎にされていて、いよいよカウントダウンが始まる。ところがこの最終盤での距離表示、自分が思っているほど進んでいないので1キロがいつもの3倍はあるかのように感じる。どれだけ頑張ってもゴールまでの距離が一向に少なくならないような錯覚に陥るのだ。
そして、気が付くと辺りは暗くなり始め、遂に二回目のライトオン!
バイパス沿いの歩道は、自転車レーンと歩行者レーンがあるくらい広くて走り易いのだが、所々で微妙な凸凹があり、何度となく
ルナサンダル
の先端を引っ掛けてはつまづきそうになる。その度に大きくなった足底の水ぶくれがクッションの役割を果たしているのがわかる。
暗くなった道を何とか進んでいくと、前方のランナーが蛇行しているのが見えた。
(まだ、痛いの苦しいだの言っているうちは闘える。這ってでも進め!)
人のふり見て、自分で自分に檄を飛ばし、戦友達と共に川越湯遊ランド目指して進んで行く。
やがて…
大型家電量販店の眩しい光が見えた!!
「あそこからはゴールまで残り僅かだ」
T師匠に教えて貰った通り、電車の高架を過ぎて、あそこまでたどり着けば街中に入る。
途中で既にゴールして再びお迎えに向うガッチャと会い、甘党仮面の中の人と会い、後続のランナーに追いつかれと、河川敷からの寂しさとは打って変わって賑やかなラストを迎えていた。
「さあ、ゴールだ!」
T師匠にお礼を言い、遂に遂に203キロの距離を踏破した…。
川越ゴール(203.1キロ)
到着時間:19時06分
こうして、長い長い幾多のデーモンとの闘いは幕を降ろした…。
先にゴールしていたみんなと喜びを分かち合うと、次から次へとゴールしてくるランナーの喜びの笑顔が川越湯遊ランドの駐車場に溢れていた。完走請負人となったzoffyさんや見事なアシストをしたハッタリさん、そしてゴール後に迎えに行ったガッチャの姿まで…。
デビルご満悦…。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ、大丈夫です。」
風呂上りにほんの一瞬だけ気を失って倒れていたのであったが、流石にフラフラである。
娘のひな祭りのためにも家に帰らなくては…。
そんな時一通のメールが。
「もし帰るのが大変なら、健康ランドで仮眠して帰ってきて」
相方は何でもお見通しだな。
お言葉に甘えて湯遊ランドの地下にある仮眠室へ向う。途中二階でコーラを買って飲みながらWBCを見ていたらそのまま眠ってしまったようだ。トレニックワールドの代表が声をかけてくれて起き上がり、なんとか仮眠室まで辿り着いた…。
一晩グッスリと眠り、翌朝早くに湯遊ランドから移動して、朝食を食べながら独りで祝杯をあげた生ビールの味は忘れることが出来ない。
超長距離を走ることで見えてきた自分の弱さと、共に走ってくれた仲間の有り難みと、途中で応援してもらった人達へ感謝の気持ちと、こんな大会を運営してくださるスタッフの皆様に敬意を表して、来年こそは満足行く走りでリベンジ出来るように精進しなければと心に誓うデビルなのであった。
《終わり》

にほんブログ村