向こうに見えるCPから声が聴こえる。
遂に第二の山である正丸峠に辿り着くと骨骨ロックなカメリアさんがお出迎え。
「とりあえずカップラーメンシーフード味をください…。」
パイプ椅子に腰を下ろし、しばしの休憩をはかる。テント脇のシートには体を横たえて休んでいる人もいた。残る距離はフルマラソン一本分。24時間までの残り時間は約6時間。
「デビル行けるか?」
「カメリアさん、俺は正丸峠の伝説になるんだ…。」
そうのたまうと再び漆黒の正丸峠へ出撃して行く。本当に真っ暗だ…。
後ろを振り向いちゃ駄目だというカメリアさんの教えに従い前だけを見て歩を進める。時折走り屋がドリフトをしながら曲がってくる峠道を電飾光らせたデビルが行く…。
暗いだけではなく、事故を起こしてはいけないということで緊張が走る。深夜の正丸峠はいろんな意味で怖いところだ…。
「あの~、どうしてもこの子達が写真とって欲しいって言うんで撮ってもらえますか?」
峠を下るデビルに車を止めて記念撮影をするヤンパパヤンママなご家族。とても真夜中の光景とは思えない正丸の出来事だ。
やがて、峠道を降りきると街灯が明るい道へ出た。
「zoffyさん、この先に正丸駅があるって言ってましたよね。トイレに寄りませんか?」
真夜中の正丸駅に二人で並んだ個室トイレにはいるの図はシュール以外の何物でもない。やはり雁坂の魔女の呪いなのだろうか。相変わらずお腹の調子は悪いままだ。
川に沿って左に曲がる高い柵のある道を進んで行くが、延々と同じような風景が繰り返されるこの道では一種の幻覚を見ているような錯覚に陥る。いつまでもいつまでも同じ場所を走り続けているような…。それでも、歩みを止めなければゆっくりでも進んでいるのだ…。
CPはまだか…。
雨粒が落ち始めてきた…。
それでも何とか進み続け、前方に人参を降る人が見えた!!
25時59分 CP7 西吾野110.2キロ地点にデビルは何とか到達した…。
残り時間は4時間。残りの距離は33キロ。この時点で時間内完走は絶望的だと悟るデビルであった…。

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