残り4周。デビルマンはガッチャごんと袂を分かつ。
ここまで共に闘ってきたからこそ判る、限界だったのであろう。ガッチャごんは全てを理解した上で『ギャラクター』を倒すために、火の鳥となって所沢航空公園を駆け抜けていった…。
デビルマンにはもはやデーモン一族に勝利する力は残されていない。故障上がりのこの体で出来ることは幕の内一歩と同じ
相打ち
だけだ…。
痛めた右足の脹ら脛は問題ないが、逆の左脚がピキピキ言い出す。体が苦しくてペースはどんどん落ちていく。
それでも執念だけでデビルは走る。決して歩くことはしないのだ、完走が出来なくては意味がないのだ。
30キロを過ぎ、残りの距離が一桁になってくる頃には普通は少し気が楽になるのだが、今回は苦しさが増してくる。
もう駄目だ…
デビルマスクを脱いでしまおうと思ったが『不退転の決意』で縫いつけられたマスクは微動だにせず…。
そうだよな、どんなに苦しくとも、どんなに遅くとも、前へ進む以外に道は無いのだ。そして進めば必ずゴールは見えてくるのだ。仕事だって同じだ。どれだけ苦しくとも少しずつでも進む以外に道は無いのだ…。
年末の苦しみを乗り越えてきたデビルは、一心不乱に脚を前へ出す。もう、マスクを脱ごうとは思わない。必ずゴールしてやる…。
残り1周。
ちょうどガッチャごんさんが分かれてから4周を駆け抜けゴールした。見事なサブ4でのゴールにデビルは喜ぶものの、今は人に構っている余裕はない。
「ゴールで待ってます!!」
ガッチャごんに見送られ最終周に突入したデビルマン、野球場の周りのコースも、球場に向かう下り坂も、子供が遊ぶ遊具を左手に見ながら進む道も、何気に苦しい緩い上り坂も、芝生の広場に挟まれた道も、全てが見納めかと思うと苦しさと同時に寂しさがこみ上げてくる。
ゴール手前のストレート、ガッチャごんさんが待っていてくれた!!
デビル最後の力を振り絞り、お得意のデビル飛行ポースを繰り出しボランティアの
お姉ちゃん
が持ってくれているゴールテープをついに切った…。
こんなメタボな俺でもまだフルを走れるだけの力は残っていた。デビル感無量で特製すいとん入り豚汁を食べると始めて安堵の表情を漏らすのであった…。でもやっぱり
無表情
なのであるが…。
ということで、2009最後の闘いを終えたデビルマン、家庭の平和を守る闘いはまだ続くのであった…。

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