オリンピック雑感(3) | 鈴木 彰の ミドル・シニアランナーのためのランニングブログ

鈴木 彰の ミドル・シニアランナーのためのランニングブログ

@runnerのCEO、e-Athletesヘッドコーチの鈴木彰が、なるべくプライベートな部分は避けつつ、主に概ね40歳以上のミドル・シニア(中高年!)ランナー向けにランニング関係のあれこれを綴ってみようかなってとこです。

 男子マラソンです。


 てことで、合宿中だったので、会員の皆さんと食堂のテレビで。

 昨年、早起きして女子サッカーワールドカップの決勝を見た、縁起の良いテレビです。


 そういや、4年前の北京五輪の女子マラソンの時も合宿中でしたね。。。


 さてさて、そーゆーことで、オリンピックらしい、実に面白いレースでしたね。


 スローペースで始まり、途中から急激にペースアップする~というのは十分に想定できる展開でした。


 ケニア勢は、2時間03~04分くらいのペースでも最後まで持っていける脚はあるのですが、それはコンディションが良い中でペースメーカーがいて、タイム狙いの場合の話。


 今回のような高温下で、 勝負がメイン~しかも、ケニア勢同士、協力もするけど最後はライバル~みたいな状況下では、いろいろ勝手が違ってきます。


 そんな中で、とにかくスピードでは圧倒的に優るわけですから、それで勝負を決めにくることは間違いありません。そこで、「スローペースで始まり、途中から急激にペースアップする」~ということが考えられるわけです。


 ただ、確実に勝つ、スピードを生かしきるためには、そのスピードを持続できる「射程距離」を考える必要があるわけで、そこんとこで、だいたい25Km地点前後~というのが、切り替えの目安として想定出来ることになります。


 マラソンは30Kmから~という、30Kmまでは楽々で当たり前~残りの12Kmで余力で勝負する~みたいなマラソンとは大きく異なるわけですね。


 ところが、キプサングの切り替えが、予想以上に早い段階で、しかも予想以上にペースが速かった!そのまま逃げきれば、スゲ~なこりゃ!という話になるところでしたが、さすがにこれは射程に届いていなかった…。これでレースが面白くなりました。


 

 キプロティッチの勝因は何か~と言われると、よくわかりません。ケニア勢の自滅っぽいところもありますが、それ以上に恐ろしくスピードもスタミナもあった…ということなのでしょうね。あるいは異常に暑さに強いとか。


 日本は、中本選手の6位入賞!という素晴らしい成果を上げました。

 もちろん、これは世界で6番目の実力があるということにはなりませんが、オリンピックで入賞したという事実、実績が重要です。それがオリンピックです。


 後ろから詰めて、前を1人ずつ食っていく~というのは、日本が古くから得意とするオーソドックスな戦法です。前が全然落ちてこなくて失敗することもありますが、悪条件下で実力がちょっとかけ離れている場合には有効な手段です。今回がまさにそれでしたね。


 キプサングの想定外スパートのおかげで、メダルを意識する有力選手が消耗戦に巻き込まれ、次々に脱落していったのも中本選手には奏功しました。

 

 一方藤原選手は、付かず離れず~で、ちょっと中途半端なペースになってしまいましたね。これも、キプサングのスパートが想定より10~15秒/5Kmくらい速かったことで、藤原選手自身も、射程を考えると、その分のオーバーペースになってしまったということがあるかと思います。ここで想定以上に脚を使ってしまいました。。。中本選手は、この時点ではまだ、もっと後ろに待機していたことで脚を残せたわけです。


 最後は4位が目の前に見えての6位ですから、ちょっと惜しい気もしますが、ラストスパートが効かない選手であることも想定内。。。立派な6位入賞でした~。


 

 マラソンのスピード化がどんどん進む中で、オリンピックでこんな展開のレースになるというのもマラソンの面白いところです。てか、終始ハイペースでいって、ラスト勝負!のレースよりも、今回みたいな展開の方がぜんぜんいいですね。終始楽しめる、本当に面白いレースでした。


 そんな中で、日本人の中でもスピードに劣る中本選手が入賞するわけですから、まだまだ打つ手はいろいろあるはず。


 もちろんスピードが必要ないわけではなく、やはりメダルを考えるのであれば、スピードはどうしても必要です。今回も4位の可能性はあっても、3位に入る可能性はまったくなかったわけですから。。。前とその後ろとでは、違うレースをしていた感じですね。


 日本の問題は、ここ数年、スピードのある選手が次々に、尽く、マラソン進出に失敗していること。

 スピードがないのではなく、スピードを生かせないのです。