グッド・ジョブ媚薬8 黙示録96 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「亮さん、F電機の株式発行枚数いくらだと思いますか?
15億株ですよ。3000万株では解任請求しても
一蹴されて終わりです」
甲山は亮の安易な考えにショックを受けた。
「うーん、そうでもない。うちの会社が5000万株持っているぞ。
 甲山お前のところは?」
内村は甲山に聞いた。
「うちは3000万株持っていますが黒崎がOKしないと・・・」

「亮君、私たちの仲間が株を集めれば
5000万株以上になると思いますよ」
徳田が体を乗り出して協力を申し出た。
「私は1000万株持っているわ。
後は銀行がどれくらい亮の味方になってくれるかね」
絵里子は必ず亮に協力者が現れると信じていた。

「ご協力ありがとうございます。メインバンクのいなほ銀行は
 下がったF電機の株価を上げたいと思っていますから
 協力を得られると思います」
「その返事はもらったのか?」
「いいえまだですが、明日の株主総会までに返事がもらえるはずです」
亮は内村の質問に首を横に振った。
「ふう、合計1億4000万か・・・一割だな」
内村は若さを露見させた亮の考えの甘さにため息をついた。

「亮、今大丈夫か?」
文明から電話がかかって来た。
「兄さん、お久しぶりです」
「お前に頼まれたF電機の株の件
 2億5000万株分の委任状を取って送ったぞ」
「ありがとうございます」
「ただ、もし株価が上がらなかったら大変な事になるぞ」
「大丈夫です、任せてください」
「近いうちに日本に戻るからまた会おう」
「はい、お待ちしています」

亮は電話を切ると内村たちに話しかけた。
「劉文明が2億5000万株の委任状を取り付けたそうです」
「なんだって!」
内村と甲山と徳田は驚きの声をあげ、
絵里子だけがニヤニヤと笑っていた。
「F電機の株主の50%は海外の投資家ですから劉文明に
中国の投資家の取りまとめを頼んでおいたんです」
「劉文明って!あのユニオンチャイナグループの?」
甲山はあまりにも有名な中国人の名前に驚いていた。
「うん、いずれ亮君の義兄になる人だ」
「ほ、本当ですか・・・」
甲山は亮の人がうらやむような環境に
なんと言っていいか返事に困っていた。

そこにロシアのアイザックから電話がかかって来た。
「亮、1億株の委任状を取り付けたぞ」
「ありがとうございます。みなさんお元気ですか?」
「ああ、久しぶりのロシアで英気を養っている。そろそろ帰るそうだ」
「了解です」
「じゃあ、またな。頑張れよ」
「はい」

亮が電話を切ると内村たちが笑っていた。
「今度は何株だ?」
「ロシアで1億株です」
「合計で4億9000万株か33%まであと5000万株
 何とかなりそうか」

「はい、有効株数(6か月以上保有)を精査すると
 もう少し減ると思いますので1億株あれば安全圏内で
拒否権発動できると思います」

※拒否権とは重要議決が決定される場合
株主の3分の2の賛成で決定されるが3分の1の反対があれば
それを拒否できる。

「そうか、後1億株か・・・やはりいなほ銀行の考え次第だな」
内村はため息をついて座り直した。
「少なくとも企業年金の喪失の原因を追究して
社長及び取締役の責任の追及して
行きたいと思います」
「それは荒れそうだな」