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翌日、雪と一文字は小妹の案内で趙健徳に待っている社長室へ行った
小妹が趙健徳の娘と知らない一文字は小妹をただの通訳と思って
高慢な態度を取っていた
「おい、何語で話せばいいんだ」
「英語で大丈夫です」
「そうかそうか」
一文字は小妹がちゃんと通訳してくれるか疑っていた。
一文字は趙建徳に10億円相当のダイヤモンドを買いたい旨を
伝えた
「ありがとうございます」
小妹に話を聞いていた建徳は笑顔で答えた
「それで、間違いの無い物としてCGLの鑑定書をお付けします」
「それはすばらしい、それで日本で販売すると幾らか位で売れますか?」
「そうですね、2倍くらいですね。ただこれだけのダイヤをキャッシュで
一括購入する会社となると難しいかもしれません」
「なるほど時間がかかると言うわけですか?」
「はい、確実な方法なら金かプラチナがベストでしょう」
「プラチナですか」
「はい、200kgで10億円ですから」
「でもそれでは・・・」
一文字がはっきり言わない様子を見た建徳は一文字が
密輸を考えているのが分かった
「わかりましたではダイヤモンドにしましょう、よかったら私どもの
取引先を紹介しましょう」
「ありがとうございます」
一文字は頭を下げた
「一文字さん、1カラットのダイヤで2000個以上になりますので
そろえるまで明日まで待っていただけますか」
「もちろんです」
一文字は趙健徳と握手をして部屋を出て行った
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「シャオメイ、奴はダイヤモンドを密輸するつもりだ」
「うん、でもどうやって?」
「10億円で500g足らずだどうにでもなるさ、
それとダイヤを全部売るつもりじゃないようだな」
「えっ?どういう意味?」
小妹は首を傾げた
「あはは、内緒だ」
「意地悪、教えてよ」
「それは亮に聞いてみるといい」
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「雪、いい所を紹介してくれて助かったよ
お陰でダイヤを安く買えた」
一文字はとても機嫌が良かった
「はい、私は今から日本に帰ります」
「うん、気をつけてな」
「はい、あなたこそ」
雪はもう2度と会う気は無く深々と頭を下げて別れた
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「亮、一文字がダイヤを買ったよ」
小妹は一文字の考えが知りたくて直ぐに電話をかけた
「はい、お疲れ様です」
「ねえ、お父さんが一文字はダイヤを日本で全部売るつもりは無いと言っていたけど
意味が分かる?」
「ええ、もちろん」
亮は自信を持って答えた
「どういう意味?」
「一文字はダイヤを日本に持ち込んで半分を売って半分を賄賂に使うつもりなんだ
ダイヤが倍で売れれば半分を賄賂用に使っても元は取れる」
「そうか、賄賂用か・・・なるほど」
小妹は亮が言っている事が当っているようでおかしかった
「ダイヤモンドの密輸はX線で見つからなければ大丈夫ですから楽なほうです」
「なるほど、でもそれを見逃すの?」
「そうか、お父さんの仕事の邪魔をしたくないし・・・」
亮は珍しく考え込んだ
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亮は美咲に電話をかけた
「美咲さん、一文字がダイヤを10億円分日本に密輸します」
「了解、税関で捕まえるわ」
「いや、それじゃ困るので別なところでお願いします」