徹は良子を寝取った満足感でいっぱいだった
「なあ良子、俺ロレックスデイトナが欲しいんだ」
「あれ100万円以上するじゃない」
「美宝堂の息子を騙せば簡単だろう。
童貞男に一発やらせれば夢中になって貢いでくれるさ」
「そんな事嫌よ!」
良子が断ると
「そうか・・・」
徹はニヤリと笑って良子をまた抱き始めた
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人並み以上の記憶力がある亮は
良子の裸身と声が何回も何回も頭をよぎり
記憶を消せないまま、西武線の椎名町駅から
目白の家までトボトボと歩いて帰った
家に帰った亮を見かけた輝樹は
「亮珍しく遅かったなどうした?」
「ちょっと・・・」
輝樹は亮の潤んだ目を見て何かを感じた
「どうした?彼女に振られたか?」
「えっ!」
亮は輝樹の言葉が的中したので足の力が抜けた
「あっ、的中か。悪かった」
輝樹は亮の肩を叩いた
亮は返事も出来ず自分の部屋に閉じこもった
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「母さん、亮が女性に振られたみたいだ」
「あら、あの秋山さんに」
「たぶんそうだろう、さっさと彼女に手をつけないからだよ
もう大学生なんだから」
「まあ、亮には女心が分からなかったのね」
「まあ、失恋もいい勉強だ。あいつの事だ二度と
失恋しない方法を考えるだろう」
「うふふ」
「しかし、亮は今年の夏は散々だったな」
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4日後亮の所に良子から連絡があった
「美宝堂で時計が見たいんだけど」
「何か欲しいものでも?」
「うん、父の誕生日のプレゼント」
「わかりました」
良子は亮があの日男女の関係を目撃したことを
知らなかった
そして良子が美宝堂で時計を見た後、待ち合わせの喫茶店に亮が来た
「何かいい物ありましたか?」
亮が良子の選んでいた物が気になっていた
「デイトナ素敵だった、でも130万円もしたわ」
「どれくらい値引きできるか考えてみます」
しばらく2人の間に無言が続くと
「私、キャビンアテンダント目指すわ」
「そう」
亮は秋山の目をじっと見ることが出来なかった
「僕は再来年アメリカに留学します」
「素敵、何処の大学?」
「ハーバード大学です」
「凄い!英語で授業を受けられるなんて」
良子は東大とかハーバード大とかこの世の中で
特別な人が行くコースを歩く亮を本気で憧れていた
「何の勉強するの?」
「経営学です」
「じゃあ、美宝堂の跡継ぎを」
「いいえ、あそこは姉達がやると思います。僕は製薬会社の方を」
良子は亮と徹の事を考えていた
「あのう、私達今まで付き合っていたのかしら」
「僕もそれを考えていました」
「確かに、映画を観たり食事をしたり、
團君の話もそれなりに面白かったし
でも・・・あなたの手も握らなかった」
「わかっています。何十回も握ろうかと思っていました」
「握ってくれれば良かったのに・・・」
良子はあの夜から3日間徹に抱かれ続けられ
身も心も徹の物になっていた
「・・・キスもして欲しかった」