ホラー小説 地獄タクシー 一章 双鬼④ | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

さあ、説明してくれ

「話せば長いけど、要するに鬼退治」

「鬼退治?どんなに長くても

話を聞かせてくれ。それと高速代


「うん」

礼司は魔美から受け取り


高速料金700円を払うと

魔美に領収書を渡した。


「最近、首都高で事故が

増えているでしょ」

「ああ、毎日人が死んでる、

俺も通るのが怖いくらいだ」

「それが、ここ1週間の死亡事故は

全部カップルだって知ってる?」

「そういえば、そうだな」

「あれは、殺されたのよ」

「だ、誰に」

「鬼、双鬼という鬼」


鬼だと?訳がわからん事言って

「首都高が出来てからもう40年

もたっていてるでしょ

そこで死んだ人がたくさんいて、

その霊が、縛霊となっていたるところにいるのよ」

「ほう、怖い話しだ」

「信じてないでしょ」

「まあな」


タクシーは霞ヶ関料金所に入ると合流した

目の前は赤いテールランプが光り渋滞していた。

「おお、夜間工事かい」

礼司が横を向くと口をとんがらせた

魔美は今流行のメイド風の黒いミニワンピースと

白いブラウスと白いハイソックスを着ていた。


「鬼がいたらもっと騒ぎになっているだろう」

慰めるように言った。

見えればね。まあいいや、ね。

そのライトを一番下まで回して」

「うん、あれこんなのあったかな」

礼司はワイパーのレバーについている


ライトダイヤルを回した。


すると道路の両車線の路側帯に数メートル

おきに白い銅像のようなものが浮かび上がってきた。

それは一つ一つ人の顔をして、動かなかった

「なんだ、コリャ」

「地縛霊よ」

「こんなにいるのか?」

「うん、交通事故は突然だから死んだ

本人もわかっていないし、

この世に未練がたっぷりあるの」

「こんなのがいったい、何人いるんだ」


「300体位」

「そんなに?」

「だって40年よ」

「そうか、成仏させりゃいいだろう」

「誰が信じる?誰がやるの?」

「そういえば、さっき鬼退治と言ったのは?」

「ちょっとそこに停めて、大丈夫だから」

神田橋の路側帯に礼司が車を

停めても一台も車は来なかった。

「車が来ない」

「心霊ライトを点けると

車はこっちの世界に移動するの」

「ほほー、こっちとは?

「鬼のいる世界よ」


魔美はカーナビを触ると

「ここの白いのがこの車ね」

「うん」

「それで、こっちで動いているのが、鬼なの」

「鬼?」

「ほら、こっちへ向かっているわ」

鬼は箱崎のほうからやってきた。

目の前に見えたのはライオンくらいの大きさで、

人間の顔をベースに口が大きく裂け、

牙が伸びていて頭の両側に角が生えていた

身体は茶色い毛で覆われていた。


「おい、まるで人間の顔のライオンじゃないか。


こっちに向かってくるぞ」

「大丈夫、手出しは出来ないわ」

鬼は20メートルくらい近づくと、

立ち止まって2本足で

立ち上がると3メートル近くの

大きさになった


つづく