獣医鷹子 10 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

ユウが帰った後、診察にやって来た

猫のアメリカンショートヘアが

苦しそうに咳をしたていた。

「どうしました」

「最近咳が止まらなくて」

「そうか、どうしたのかな?みどりちゃん」


鷹子が聴診器を当てると

「すみません。レントゲン撮りますね」

そのレントゲンの写真で

肺は真っ白になっていた。

「これは結核だです。すみません。

どんな所にお住まいですか?」


「どういう意味ですか?」

「かなり換気が悪そうですね」

「わかりますか」

「はい」

「実はマンション中のどの部屋も

カビが生えて、問題になっているんです」

「そうなんですか。そうすると奥さんも

健康診断を受けたほうが

いいかもしれませんよ」


「そういえば最近、

私も息苦しい事があります」

「あの、マンション業者には

苦情を言っているんですか

ええ、なんども言っているんですが。


でも何もしてくれなくて、


引っ越したくても売れないんですよ。あれじゃ」

「お気の毒に、今日一日みどりちゃん預かりますね」

「お願いします」


次にも同じ症状の猫が同じ

マンションから運び込まれた。

その猫も苦しそうにしていた。

その猫もやはり肺炎を起こしていた

「もう頭にきた、このマンションなんなんだ」


鷹子は独り言を言った

「すみません。マンションの

業者教えていただけますか?」


「はい、東京駅の前の

ウインザーという会社です

東京駅ですね。私が談判してくる」

「先生、うちの子は」

「はい、お預かりします。

それとマンション中にいるペット

私が全部診察いたしますから、

紹介していただけますか?

手遅れにならないうちに」


「はい、ありがとうございます

源太郎の部屋に、里佳子と赤星がいた。

赤星は生ゴミと台所を見ていた。

「藤木さん、三沢さんは

当日鍋を食べたいたようですね」

「ええ、でもちょっと量が多いわ」

「そうですか、なるほど」


「ええ、白菜の葉っぱ10枚、

ねぎ2本、鱈が2匹あときのこ。

これだけ量を捨てるとなると2人分、

しかもほとんど食べていないわ」

「ビールの空き缶が2本ありますね」

「ええ、絶対もう1人いた」


「はい、一応この残り物分析してみます」

「お願いします」

「ちょっと待って下さい、

ひょっとしたら毒かも

赤星は中村に電話をした

「課長、三沢さんの

解剖所見手に入りますか?」

「うん、もう私の所に届いている」


「胃の内容物は」

「ない」

「無いんですか。死因は?」

「ああ、中毒死だ。アマニタトキシンの」

「わかりました」

「藤木さんひょっとしたら、

きのこの中毒で全部吐いたのかも知れない」

「どんな、食べ物なんですか」


「ドクツルダケと言うきのこです」

「吐いたものは?」

「たぶんトイレですかね」

赤星は流し台の中を調べた。

「あった、あった。

天ぷら。調べてみます」

「はい」

里佳子は三沢早苗に電話をした。

「もしもし、三沢さんのお宅ですか」

「はい」若い女性が電話を受けた

「このたびはご愁傷様です。

東京の藤木と申しますが。

奥様いらっしゃいますか」

「はい」


「電話代わりました。

先日はお世話になりました」

「あの、お葬式はいつ」

「今晩が通夜で、明日」

「私もご焼香に上がらせていただきます」

「ありがとうございます。

遠いのにわざわざ」

「いいえ」


「赤星さん私青森へ行ってきます」

「はい、私もこの練り物調べてみます」

「お願いします」

「はい」

「鷹子。私青森に行ってくるから」

里佳子は電話をした。

「待ってよ、急に。私も行くわ。

お母さん一人じゃ心配だから」


つづく