獣医鷹子 9 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

その日の午後、団子坂近くの

宮田獣医に優子が来た。

「こんにちは」

「優子さん、お久しぶり」

優子を診療室へ案内した。

「すみません。無理言って」

「ううん、健康診断だから」



「こんにちは」フェレットを抱き上げた。

「名前なんて言うのかしら」

「るるです」

「るるちゃんか、元気かな~」

聴診器を胸に当てた。

「何が聞きたいのかな?」

「一緒に住んでいる家族構成です」



「ええと、3月まで老人が時々

遊びに来てかわいがってくれけど

最近は飼い主さん、亜子さん。

だけだって、とてもかわいがって

もらってとても幸せだって」

「付き合っている男性なんかいないかな?」

「いないようよ。毎晩帰ってくるから。

ストレスもないし、健康です」



「はい」

「あっ、昨日男性が部屋に来たって」

「キザな男性だって」

「えっ」

「たぶん仁ね」

「あはは」

「ねえ、優子さん。

仁の事好きなんでしょ」

「ええ、とても」ユウは顔を赤らめた


「何やっているのかな。

女の気持ちわからないで」

「良いんです。こうやって

一緒に仕事しているだけで」

「うん、でもあまり親しいと

恋愛感情が生まれなくなるからね。

がんばって応援するから」



「ありがとうございます。

でも鷹子さんと仁さんって

どんな関係なんですか?」

「心配?大丈夫。あいつ、いとこ」

「そうなんですか」

「死んだ父親が、かわいがていたから」

「ひょっとして、218日が命日ですか」

「うん、そうだよ」

「お墓は?」

「谷中霊園」



「じゃあ、毎月18日にお参り行くのは」

「私の父でしょ、まだ行ってくれていたんだ。

もういいのに。

私だって年4回しか行かないのに」

「そんなにお世話になったんですか」

「そうでもないんだけどね。

後は本人に聞いて。

私より詳しいから。誰よりも」

「はい、そのうち」



「はい、るるちゃん、異常なし」

「ありがとうございました。

でも鷹子さん凄い、動物と話せるなんて

ドリトル先生みたい」

「あら、それ以上かもよ。

でもこれはナイショね。

誰だって家庭の事知られたくないでしょ」



「あはは、そうですね」

「私は、あくまで動物を救うだけに

この能力を使うのよ。仁だけよ、

こんな事に私を利用するのは」

「あはは、あそうそう、

ペットシェルターって何ですか?」

「捨てられたペットを保護して、

新しい貰い手を捜すところよ」

「ああ、それを鷹子さんが」



「ええ、その施設の維持費を私が

仁のアルバイトで稼いでいるわけ」

「そうなんですか。仁が携帯電話を渡せって

今時、携帯持ないの変だよ」


ユウは紙袋に入れた携帯を渡した

「そうか、貰って置くわ」

「それと、今度私の友達が何人かトリマーに

なったからよろしくお願いします」

「いいわよ、紹介してあげる」

「よろしくお願いします」

「はい、るるちゃん。バイバイ」



つづく