獣医鷹子 5 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「そうか、やはり所轄は

動かないか、岡本はどう思う」

「ええ、僕も疑問に思って

いるんですが、上が決める事

ですから」

「おい、これを見てみろよ。

ここのお母さんの老人会の

仲間が調べたデータだよ」



「1ヶ所1ヶ所、丁寧に

歩いて聞いた後だよ」

「ええ」

「なによりすばらしいのは、

我々警察官にもわかりやすいように

主観を一切入れていない、


100ヶ所近く有るのに全部だ」

「これは、お母さんの指示ですか」


「そうです、年寄りは自分の考えを

入れていってしまうから、

それだけは徹底したの」

「はい、これが源さんの当日の足取り」

データと地図を見せた

「朝5時に自宅付近から田端駅の方に

向って歩いているのが目撃されていますね。

3人に」


「そうなんです。それまでずっと

家にいたんです。それなのに、

明け方わざわざ駅のベン

チに行って寝ますか」

「困った、家の中は片付けて

しまったし、証拠がなにも無いだろう」

「いいえ、まだそのままよ」

「えっ」


「片付けは、私が引き受けたのよ。

鍵も持っているし」

「よし、鑑識を頼もう」

「どうやって」

「実は我々は今度同じ課になって、

僕が課長なんだ。

内容は言えないけどな」

「えっ、中村さんが課長?」

3出発

「うん」

「ところで、調査課ってなにやるところ」

里佳子が言った。

「色々調べる所です」高橋がすぐに答えた

「じゃあ、ぴったりじゃない」

「そうですね。協力しますよ」

中村が言った

「本当、いいの?」

里佳子が笑っていった

「はい、出来たばかりの課だから、

なんでもやります。

それに鷹子に頼まれたから」


「信じられないでしょうけど、

この子獣医の所へ勤めたら。

動物の言葉がわかるようになっちゃって」

「お母さん」鷹子が止めた。

「そうですね、獣医さんは動物の気持ちがわかるみたいですね」

高橋が納得したように話した。


「違うのよ。鷹子の場合は別なの、

もっとすごいのよ。話せるんだから」

「ええ、私は以前からその話は

聞いていますよ。鷹子さんに」

その時猫がのしのしと中村の所へ来た。

「おおゴンか。まだ元気だな」

「ううん、そっちは。ごえもん」

「そっくりじゃないか」

「うん、息子だから」

10年前、鷹子は高校2年生で都内でも

有名な進学校早竹高校に通っていた。

「コウちゃん、東大に入ったの凄い」

「うん、おれ官僚になる」

「わー、素敵な目標、どこの?」

「まだ決めていないけど。」

「私も東大狙おうかな」

「簡単に言うな。それで、どうするんだ?」


「さー、何になろうかな」

「おい、学部決まっていないのか」

「じゃあ、私も官僚を狙います」

「じゃあか」

田端商店街の入り口から10軒入って

右側にある地元では有名なお惣菜屋である。

夕方になると行列ができ、

鷹子は子供の頃から手伝いをしていた。


「鷹子、ごめんね。勉強忙しいだろう」

「いいよ。大丈夫、勉強は学校で

しっかりやっているから、

それに私この店に食わせてもらっているから」

鷹子の前をトラ縞の雄猫が尻尾を立てて歩いている。

体重は6キロ、お腹は太く足が短い

ひょうきんなスタイルである。


「あはは、あら、ゴン。どこへ行くの?」

「パトロールの時間だから」

「そうか。肉屋と魚屋と焼き鳥屋さんか

夕食要らないね」

「そりゃあ、かわいそうだよ」

「最近ゴンちゃんに似た

子猫外を走り回っているよ」

「あはは。死んだお父さんに似てもてるんだよ。

あの人が拾ってきた猫だから」

「ええ、お父さんもてたの?」

「もてたよ、いい男だったから」

「あ~、そう」


そこには、めがねをかけた髪の長い

学生風の男が立っていた。

「鷹子のこと好きなのかね。彼」

「ん?」

「でも、お客さんだからね」

「何の事?」

ある日曜日

「こんにちは」

耕治が自転車で店の前に着いた

「よっ、東大生」里佳子が言った

「あの、鷹子は」

「高校へ行ったよ。OB会でしょ」

「ええ、それが来ないから

心配して来たんです」

「おかしいわね」

その目の前をゴンが尻尾を立てて

プルプルとさせて歩き出した。



「ゴン鷹子の居場所知らない?

まさか知らないよね」

「鷹子さんどんな様子で出ました?」

「お弁つづく