獣医鷹子 4 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

すみません。ないのですが

「そうですか、では口頭で外形

を言います身長165cm、体重70kg、

盲腸の手術後あり鼻の脇にほくろ、

左目の上に1cmほどの傷」

「あの、何処へ行けば」早苗はオドオドと言った

「心当たり有りますか



「たぶん主人です。

どちら様が確認を?」

「ええ、三味線のお弟子さんの」

「藤木里佳子さんですか?」

「はい」

「間違有りません、

すぐにそちらへ行きます」




翌日、鷹子が店のシャッターを

開けると薄紫のコートとベージュ

のスカートに紙袋を持った、

この辺では見かけない年老た

女性が立っていた。



「あの、藤木里佳子さんは」

東北なまりの話し方で鷹子は

三沢源太郎の妻だとわかった。

「母です。三沢さんですか」

「はい」鷹子は階段を駆け上がった

「お母さん、源太郎さんの奥さんが」



里佳子は早苗と、2階の部屋でしばらく

話をすると目をはらして降りてきた。

早苗は、深深と頭を下げ、

頭をもたれゆっくりと歩いて帰っていった。

「お母さん、どうするんだって?奥さん」

「ああ、解剖が終わったら引き取って

娘さんと青森へ遺体を運ぶんだって」



「あ、そう。娘さんいるんだ。

ちょっとホッとした」

「かわいそうね、だって源太郎さん」

その先は声が詰って里佳子は話せなかった。

そのまま、2階へ上がって津軽三味線を弾きはじめた。



里佳子は、歌の伴奏の三味線より

メロディのある津軽三味線が好きだった。

「お母さん、夕ご飯できたわよ」

「いいよ、要らない」

「お母さんしっかりして、

このままじゃ源太郎さんうかばれないよ。

元気だして、私明日仕事だから」



「そうか。今日は悪かったね。休ませちゃって」

「いいけど。ごえもん」

白と黒のがらのごえもんは

鷹子の膝の上に乗って顔をなめ始めた。

翌朝、里佳子は鷹子に言った

「鷹子源さん、事故じゃない。

殺されたんだよ。」

「どうして」

「源さん酔っ払って凍死するような

酒の弱い人じゃない、絶対何かある」

「そうね、どうしてあそこにいたのかしら、

アパートまでそう遠くはないのに」

「誰かに会っていたんだよ。きっと」

「警察は調べているのかしら」



「調べていないよ。事故死だって

警察が奥さんに言っていたよ」

「どうしよう、もし事故死じゃなかったら

源太郎さんかわいそう。お母さん、

私達で調べようよ。だから元気だして」

「うん、でも私達警察じゃないからね」



「大丈夫よ、あの中村耕治、

コウちゃん警察庁のキャリアなの。

ねっ、事情を言って聞いてもらおうよ」

「あの時の中村君?」

「そうよ」

「そりゃ頼もしいね。

その前に源さんの足取りだけ

調べてみるよ。老人会使って」

「さすがお母さん、がんばって」



翌日、店を閉めた卵々亭に

中村が男を連れてやって来た

「こんばんは」


里佳子がその声で店の入り口の隣にある

玄関にでた

「コウちゃんわざわざありがとうございます」

二人が居間に入ると

「部下も連れてきたよ」

「ご無沙汰しています。鷹子さん」

「えっ」

「高橋です。高校の剣道部で

キャプテンをやらさせていただきました」

「高橋君、憶えています。

大学へ行ってチャンピョンになったそうですね」



「はい、鷹子さんには合宿の時いつも

さし入れをしてもらって本当に感謝しています。

本当に美味しかった、

いまでも部の方へさしい入れい

ただいているそうで」

「いいえ、あまりものですから」



4人は鷹子の作ったシフォンケーキを

食べながら話しをした。

「それで114日の夜、

源さんは田端、駒込、日暮里の何処の

居酒屋でも飲んでいないのよ」

「調べたんですか」

「ええ、老人会みんなで」

「す、すごい」



「実は、司法解剖の結果


凍死じゃないんだ」

「それで警察は捜査しているの」

「所轄は事故死として処理しているから

本庁は動けないんだ」

「そうですか」


「こんばんは」

「来た、はーい」

岡本が入ってきた

「あーっ、中村さん、高橋さん」

「おっつ、岡本」



「はい、ご無沙汰しています

中村警視、高橋警部補」

「まあ、今日はプライベートだから」

「よし君ここに座って」

「今日はなんですか」


「もう仕事終わりでしょ。

じゃあ食事にしましょうか、

ビール出しましょうね」

「はい」

「久しぶりに男性が来たから嬉しいわ」

里佳子はニコニコして、

すき焼きの肉を運んだ


つづく