丈之介の家では、珍しい客が訪れていた。洸綱が鍔をたどって、丈之介を見つけたのだ。
丈之介は洸綱の前に手をついていた。

「丈之介、もうよい。顔を上げるのじゃ。わしはおまえが生きていてくれて、嬉しいぞ。


おまえと桔梗の子、丈丸も成人して兵衛と名乗り、我が娘葵と夫婦になった。すぐにもひき逢わせたい」


丈之介が顔を上げると
丈おじ、良い知らせだ。大悟が生きておったぞ
という声とともに、芹乃が帰ってきた

 

 

「では、桔梗は生きておると言うのだな
洸綱が額にしわを寄せて言った。


菊之介と大悟は、父丈之介、伯父洸綱とそれぞれ名乗りを交わし、お互いの今までの事情を話した。

一番驚いたことは、桔梗が生きていて、菊之介を生んだことだった。


その為長い間、三つ口定継の側室でいたことは、菊之介の命を守るためとはいえ、少なからず丈之介と洸綱に衝撃を与えた

丈之介は何も言わなかったが、洸綱は露骨に不快感を現した


桔梗が生きていることを喜べない様子にすら見える。菊之介は、そんな洸綱に怒りを感じた。

伯父上、失礼を承知で申します。新城を三つ口に奪われたのは、涼原の力がなかったからです」
大悟は慌てて菊之介を押さえようとしたが、菊之介は止めなかった。


「それに、隠れ里でひっそりと親子四人暮らしていた幸せを取り上げたのは、伯父上ですよね。
その時、もう母はわたしを身ごもっていたのです

 

母は、城での生活に未練はありませんでした。
父上と兄上たちと暮らせれば、何もいらなかったのです。
それを取り上げておきながら、母上が定継の側室になったからといって、その態度はなんです。

 

では、わたしと母上は、死ねばよかったということですか
誰が好き好んで、敵の女に成り下がるものですか。


すべては、わたしの命を救いたいがため、愛する父上の子供を産み育てたいがためではりませんか



すっと丈之介が、菊之介の腕を取った。
「もう、やめるのだ、菊之介
「しかし、父上。父上も母上を・・・」


「わかっている。桔梗のことは信じている。だが菊之介、失礼なことを言ってはならん」

 

続く
ありがとうございましたm(__)m


※相関図、写真が下手で、曲がってて、すみません。2001年作成。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ