※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「フェニックスの巻」の次。「ファイヤーバードの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです

 

「夢?」
アリスがつぶやく。
「驚いたわ。急に倒れるんだもの。たまたまトンニャンが通りかかったから良かった。すぐにアリスの家に連絡したら、家政婦さんが車で迎えに来たから、私達も手伝って一緒に来たのよ」
エレンに言われてまわりを見回し、アリスはやっと自分の家の自分の部屋だと気がついた。
「エレン、私、アリスに話があるの。先に帰ってもらってもいいかしら?」
エレンは不思議そうな顔をしたが、黙ってトンニャンの言葉に従った。
 
アリスは起き上がろうとしたが、身体が動かない。口をきこうとしたが、声が出ない。金縛りにでもあったような状態だ。アリスはトンニャンを見た。トンニャンはアリスに近づくと、じっとアリスを見つめた。
アリスの心の中で、アリス以外の声が聞こえてきた。
 
「アリス、これ以上、深入りはやめなさい」
 
アリスは心の中で叫んだ。
「トンニャンね。こんな事しても私は負けないわ。負けるもんですか」
声がまた聞こえる。
 
「知らなくてもいい事を知る事は、あなた自身の身を滅ぼす事になりますよ」
 
アリスは心の中で精一杯その声に抵抗した。
 
気がつくと、アリスは一人で自分のベッドに寝ていた。
「トンニャンは?」
どこにもいない。
「あの声はトンニャン?・・・それとも、前の夢の化け物?」
 
 
トンニャンがマンションに戻ると、チェリーとコーラが夕食を準備して待っていた。
部屋に入るなり、トンニャンはチェリーとコーラに、アリスが魔性のものにとりつかれた、と話した。
「理由は、人間として考えなくてもいい事を考えた事。私が男かもしれないって」
コーラとチェリーは納得がいかなかった。
「だってトンニャン、ルシファー様の前ではいつも男じゃない。アリスは間違ってないわ」
「そうよ。アンも見えるんでしょ。どうしてアリスだけ?」
トンニャンは首を振った。

「アンとアリスは違うわ。アンは人間でも特異稀な霊能力者よ。アリスはただの人間。アリスは私の正体を知ることにやっきになって、知らなくてもいい事を思いついた。つまり、その時邪悪な心にスキができ、魔性のものが入り込んだの」
そしてトンニャンは、アリスを今救えるのはケルビム(智天使)に昇格したばかりのチェリーしかいない、と説いた。
チェリーはうなずきながら腕を組んだ。
「でも、アリスが心から助けを求めなければ、どうしようもないわ」
コーラも同じように腕を組むと、ため息をついた。
「その時は・・・私が何とかするわ」

続く
ありがとうございましたm(__)m

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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