入学式・・・なんのことだろう。

「たまたま となりになってさ、

ちょっと 話したじゃない。」

「となり、金髪の子じゃなかったぞ。」

うん、と柚季がうなずいた。

あれ・・・もしかして、染める前なのか。

「その時、晃二となんとなく話がはずんでさ、

晃二『今度遊びに来れば?』って言ったじゃない。」

そういえば、そんなことあったかも・・・。

「それから自己紹介の時、中学が一緒の子が少ないから

早く名前で呼び合える友達がほしいって、言ってたよね。」

たぶん・・・言った。

「それを覚えてたのか。

でも、あれからあんまり学校来てないよな。」

柚季が急に黙りこんだ。

晃二はちょっと悪いことを言ってしまったような気がした。

柚季はしばらく黙っていたが、

意を決したように顔をあげた。

「晃二には感謝してる。カオルさんと逢わせてくれたし。

それに、もう友達だと思うから 本当のこと、言うね。」

カオルとは逢わせたわけじゃないけど・・・。

「母親が入学式の後 男 連れて来て、

急に結婚するって言うんだ。

私も もう高校生だから わかってくれるだろうって。

あ、本当の父親とは小さい時に別れて、

どういう理由だか知らないけど、一度も会ったことないの。

でも、いつか会えるって信じてた。」

柚季は言葉を切って、ちょっとつらそうにした。

晃二は父親のいない柚季に、

少し親近感を覚えている自分に気がついた。

「私の父親は別れたおとうさん一人だけだもの。

今は会えなくても、きっと会える時が来ると思うの。

だから・・・あんな男、認めたくない!」

柚季が唇をかんだ。

晃二には柚季の言っていることが、なんとなくわかった。

母親には母親の人生がある。そんなこと百も承知だ。

だが、それでもなおかつ、新しい父親を受け入れることができない。

子供だと言われても 嫌なものは嫌なのだ。

ありがとうございました(。-`ω-)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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