晃二の家にカオルがやってきたのは、

もう一年ほど前になろうか。

ある日突然 父がカオルを連れて

帰って来た。

その日は雨が降っていて、

玄関先でたたずむカオルは心なしか髪が濡れて

すねたような横顔は、びっくりするほど

美しかった。

当時受験生だった晃二は、

戸惑いながらも父とカオルを中に入れた。

リビングのソファーに座ると父は

「今日から一緒に暮らす。」

と言い、晃二をますます混乱させた。

いったい何が起こったというのか。

母が亡くなって十年余り、

女の影を露ほど見せなかった父の

まさか若い愛人・・・

それとも、隠し子じゃあるまいに。

「とうさん、急に何言い出すんだよ。

事情をわかるように説明してくれよ。」

父が言いにくそうに口をゆがめる。

やっぱり隠し子・・・。

「・・・それに、俺だって男だよ。

こんなきれいな人と一緒に暮らすなんて、

まずいと思うけど。」

晃二がカマをかけるように言うと、

二人はキョトンとし、

さらに父が笑いをこらえながら言った。

「この緑川カオルくんは、男だから。」

 

「晃二、いる?」

カオルが突然部屋に入ってきた。

「カオル、部屋に入る時ノックしろって言ったよね?」

「ごめ~ん。」

「その話し方よせよ。」

あれから一年、晃二は無事高校に進学し、

カオルのいる生活にも慣れた。

カオルは今 19歳。

最近の悩みは、このカオルの女装癖だ。

「あのさ、カオル。

その格好なんとかならない?」

「え~、なあに、その格好って。」

「だから、そのしゃべり方は・・・。」

ありがとうございましたm(__)m

カオル#2へ続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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